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エピローグ

「おー。悪いな、健次郎」


悪いな、で済めば警察はいらない。


俺は、のんびりと喫茶店に入ってきたコータを睨んだ。


「ちゃんと美優の首に縄つけとけ」

「つけてても、引きちぎってお前のところに行くだろ」


確かに。


コータは俺の隣に座っている有に気付くと、笑顔になった。

そして驚くべき緊張感の無さで有に「久しぶりー」とか言ってやがる。


「間宮さん。色々とありがとうございました」


有が立ち上がり、コータに頭を下げる。


「有、コータに礼なんて言う必要ないぞ。その分俺がしっかり美優の世話させられてるから」

「俺が頼んだわけじゃないだろ」


好き勝手言いやがって。


「あれ、美優は?」


俺は無言で後ろを振り向いた。

コータも俺の後ろを覗き込む。


そこには、隠れるようにしてチョコレートパフェを頬張る美優が。


「美優!朝からそんな甘いもの食っちゃダメだろ!健次郎も。甘やかすなよ!」

「たまにはいいだろ。な、美優?」

「うん!パパのケチー!」

「俺はケチってる訳じゃない!たく、それ食ったら帰るぞ、美優!」


いつも通り「ヤダ!」と言うと思いきや、

美優は笑顔で「うん!」と言った。

ところが。


「おじちゃんの家に、ね」

「美優!」

「美優、しばらくおじちゃんの家に泊まることにしたの」

「「おい!」」


俺とコータは同時に叫んだ。


「なんでだよ!」

「だってー。美優がいなかったら、おじちゃん、そのお姉ちゃんと『えっち』するんでしょ?」


コータが、怒りで真っ赤になる。

ちなみに有も真っ赤になったが、こっちは恥ずかしさからだろう。


「美優!!お前、そんな言葉どこで覚えた!?」

「えー?みんな小学校で言ってるよぉ?涼クンに『中学生になったらえっちしようね』って、

誘われちゃったし」

「どこのどいつだ!その涼クンってのは!!!」


落ち着けコータ。


「怒んないで、パパ。ちゃんとお断りしたから」

「よ、よし」

「美優の『初めて』は、おじちゃんにあげるって、美優決めてるの」

「はあ!!??」

「おじちゃんとはもうキスもしたしー。一緒のベッドで寝たしー」

「美優!!!」


こんなに焦ってるコータは初めて見る。

面白い。


「おお、美優、ありがとう。おじちゃんは嬉しいぞ」

「でしょでしょ?後10年くらい待っててね」

「美優は発育いいから、そんなに待たなくても大丈夫だろ」

「じゃあ、5年ね」

「そーだな。楽しみにしてるよ」

「美優!!健次郎!!」



笑いを堪える俺。

本気で怒るコータ。

同じく本気でムスッとする有。

まんざら冗談じゃなさそうな美優。


そーいや、

「有」に「ユウ」さんに美「優」。


みんな「ゆう」だ。


俺とコータの周りには、とんでもない「ゆう」ばっかりだな。



「・・・私は、『有』じゃありません。『花』です」


有が、いや、花が、

大騒ぎしているコータと美優に聞こえないよう、小声で俺にそう言った。


「そうだったな。俺ももう理事長じゃない。健次郎でいいよ」


俺も小声で答える。

花は何故か赤くなってコクンと頷いた。


「・・・あのさ、花、」

「はい」

「4年前・・・組長は花を抱いたのか?」

「え?」


花はキョトンとした。


「あ・・・ああ、あの時の事ですね?」

「うん・・・」


もう忘れたつもりだった。

もう気にしないつもりだった。


でも、さっき有とキスした時、

4年前に廣野家の中に消えていった組長と「有」の後姿を唐突に思い出したのだ。


でも、俺が花にそれを訊ねたのは嫉妬からじゃない。

嫉妬してたなら、逆に俺はそんなこと聞いたりしない。

現にこの4年間、組長にその事について訊ねたことはなかった。


俺が今花にそれを訊ねたのは、

多分組長は花を抱いてない、と思ったからだ。


だって、組長は今でもユウさんを愛している。


それを確認したかったんだ。



だけど花は、嬉しそうに、そしてちょっと意地悪な顔をして笑った。


「気になりますか?」

「気になるっていうか」

「ふふふ。秘密です」


お。

そんなこと言えるようになったんだな。



花が、コータと美優から見えないように、

テーブルの下で俺の手を握った。

俺も、握り返す。



もう何度も寝た仲なのに、妙に照れくさい。

まるで、今から付き合い始めるみたいだ。

いや、過去、女と手を繋いでこんなに照れくさかったことなんてないんじゃないか?


つまり、俺は今までこんなに真剣に誰かを好きになったことがなかったわけで・・・


もうすぐ27歳のくせして、

初恋に胸をときめかす中学生みたいだな、俺。

情けないやら恥ずかしいやら。

これじゃ、美優の方がよっぽど大人かもしれない。


やれやれ。



俺は、目の前で繰り広げられているコータと美優のバトルに苦笑いしながら、

花の手を握る左手にギュッと力を込めた。







――― 「FIRST LOVE」 完 ―――








最後まで読んで頂きありがとうございます。

久々の廣野組シリーズいかがでしたでしょうか?


統矢×ユウのお話は「18years」、

コータ×愛のお話は「SECOND LOVE」をご覧ください。

また、ワンパク娘・美優の中学生時代のお話は「MSKプロジェクト」でどうぞ。


さて次のお話は・・・誰が主人公でしょうか???

みなさんも知ってる子だと思いますよ。

お楽しみに!


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