ブランコ
掲載日:2026/05/09
ブランコに腰を下ろす。
鎖が小さく鳴った。
鎖を持つ手は、何も感じない。
少し窮屈だった。
足先が地面に触れてしまう。
昔は届かなかったのに。
隣のブランコは空いたまま。
赤く残っていた夕日が、ゆっくり夜に呑まれていく。
「先にいくなよ」
吐き出した声は、誰にも届かないまま消えた。
─木々が大きく揺れる。
街灯に照らされた場所だけが、色鮮やかだ。
それ以外は全て黒。
─隣の鎖が鳴る。
視線を向けても、そこには誰もいない。
風が頬を撫でる。
公園の隅には、花束が二つ並んでいた。




