政府がカジノリゾート候補地選定の本格手続きを開始
1|ニュースのポイント概要(要点整理)
2025年12月29日、日本政府は カジノを中心とする統合型リゾート(Integrated Resort:IR)の次期候補地選定手続きを本格的に開始すると発表しました。今回の手続きは、2027年に予定されている申請受付に向けた制度面・応募体制整備の一環であり、IR整備法にもとづく制度的な枠組みを拡充するものです。
ポイントは以下の通りです
これまで大阪を唯一の候補地として認定していた政府が、追加のIR候補地選定へ動き出した
IR整備法(Integrated Resort Implementation Law)の規定どおり、合計3か所までIRを設置可能
申請受付期間は 2027年5月〜11月(6か月間) を予定(草案ベース)
この動きは、日本政府による長らく停滞していたカジノ誘致政策の再始動と位置付けられています。
2|統合型リゾート(IR)とは――政策的背景
まず、統合型リゾート(IR)とは何かを理解しておく必要があります。
IRはカジノだけでなく、ホテル・国際会議場・ショッピング施設・エンタメ施設などを併せ持つ大型観光複合施設であり、「カジノが主役の観光都市型開発」と言っても差し支えありません。
日本では2016年に 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(通称IR推進法)」 が成立し、2017年に関連整備法も施行されました。これによって、カジノを含むIRの誘致・運営が合法化され、観光振興・地域活性化の切り札として位置付けられました。
とはいえ初期段階から議論は紆余曲折があり、カジノ解禁に対する世論の賛否、依存症対策、治安維持の懸念などが絶えず指摘されてきました。
3|これまでの経緯:大阪が唯一の認定例
これまでのIR誘致・選定の流れは以下の通りです:
第1回公募(2021年〜)
全国の自治体が候補地として応募。大阪府・市、長崎県などが申請しました。
審査と選定(2023年)
審査の結果、 大阪IR構想のみが認定 されました。大阪は米大手MGMリゾーツと、日本のオリックスらを中心とした事業者グループが開発を進めています。
長崎県は不認定に
長崎県の計画は資金計画の不透明さを理由に国が承認しませんでした(長崎県側もその後継続を断念)。
大阪は着工段階へ
2025年には 大阪・夢洲での工事が本格化 し、2030年ごろの開業を目指す計画が進行しています。
つまり、当初想定された 3か所までのIR誘致枠のうち、最初の1か所(大阪)が認定・着工へ向かっている状態 というのが現状です。
4|新たな選定プロセスの内容と意義
今回の発表は、 大阪に続いて新たなIR候補地を選定するプロセスの本格化 を告げています。内容のポイントは次の通りです
① 公募期間・申請期間の設定
政府は 2027年5月6日〜11月5日(6か月間)を公募申請期間とする草案 を観光庁が公表しました。自治体が応募するには、候補地周辺の地域整備計画や投資計画などをまとめて申請する必要があります。
② 選定可能な枠はあと2か所
IR整備法律に基づき、日本で設置可能なIRは 最大3か所まで とされています。大阪がすでに認定済みのため、残り 2か所の権利を巡る争奪戦 が再び始まることになります。
③ 政府が示す政策目的
政府はIRを 「宿泊滞在型観光促進」「国際競争力強化」「雇用創出」などの観点から戦略的な観光政策」と位置付けています。
観光産業が日本経済の主要な柱の一つとなる中、IRは欧米・アジアの主要都市との競争で重要な役割を果たすと見られています。
5|応募が予想される地域・自治体の動き
現時点で具体的な正式応募は出ていませんが、以下のような地域が誘致意欲を示している可能性があります
北海道
寒冷地観光資源が豊富な地域で、冬季観光を含めた年中観光の起爆剤としてのIR誘致には地元で期待感もあります。過去の報道では北海道知事が公式に検討姿勢を示すとの声もあります。
他の地方都市
北陸、九州、中部など観光資源がある自治体が含まれる可能性も報じられていますが、地方自治体の慎重姿勢が見られるという報道もあります。
また、福岡県や和歌山県などが 選定プロセスへの参加を見送る可能性 を報じる報道もあります。自治体側がギャンブル依存症対策や財政負担を懸念して慎重姿勢を取るケースが増えてきています。
6|賛成・反対の論点(社会的議論)
IR誘致に関する議論は、日本国内で長年続いてきました。主な論点は以下の通りです:
賛成意見
地域経済の活性化
外国人観光客誘致や関連産業への波及効果による経済効果が期待される。
雇用創出
建設時・運営時に多くの雇用が生まれる可能性。
国際競争力の強化
長期滞在型観光の拠点として、アジア諸都市と競争可能。
反対・懸念点
ギャンブル依存症の問題
カジノを中心とする施設であることから、依存症対策が社会的に大きな懸念として挙げられています。
治安や社会問題
犯罪増加や周辺地域の治安悪化への懸念。
自治体財政への負担
大規模な公共投資や、税収見通しの不確実性に関する懸念がある。
これらの議論は、誘致を検討する自治体ごとに温度差があり、地方自治体が本格的に応募すべきかどうか判断に苦慮しているケースもある と報じられています。
7|世界におけるIR・カジノ戦略との比較
日本は世界的には 大型観光IR戦略の遅れ を取り戻そうとしている段階です。アジア圏では、マカオやシンガポールなどが既にIRを観光戦略の中心と位置付けており、多くの観光客を集めています。こうした海外の成功例を参考に、日本政府は「観光立国」の実現を目指してIR政策を進めています。
8|まとめ:日本のカジノ政策は第二ステージへ
2025年12月29日の政府発表は、 IR選定プロセスの再始動=カジノ誘致戦略の第二ステージへ進む ターニングポイントとして評価できます。
初回公募で大阪のみが認定された日本のIR政策が、新たな選定ラウンドへ移行
2027年5月からの申請受付が見込まれ、全国の自治体が応募を検討可能
地方自治体内部でも賛否両論あり、議論は今後深まる見込み
今後の動向としては、 どの自治体が本格的に応募するか、応募区域の計画内容はどうなるか、国と自治体の調整は進むか などが大きな焦点となります。




