サンマ漁獲量が13年ぶり世界1位へ ― 日本近海に漁場が戻る可能性
サンマ漁獲量が13年ぶり世界1位へ
2026年1月6日、日本のサンマ(Pacific saury)の漁獲量について世界1位に返り咲く見込みであると最新データが発表されました。報告によれば、日本の年間漁獲量は約6万4737トンとなり、長年世界首位を争ってきた台湾を抜いて13年ぶりのトップに立つ見通しです。
これは単なる統計上の数字の変化ではなく、海洋環境の変動と北太平洋の漁場形成が大きく影響していると専門家は指摘します。以下でポイントを詳しく整理します。
「漁場」と「海流」の関係
サンマの生態と漁場
サンマは日本人にとって秋の代表的な味覚であり、北海道から東北沿岸にかけて回遊する回遊魚です。秋になると北太平洋の沿岸水域で脂の乗ったサンマが大量に漁獲され、食卓や市場に供給されますが、漁獲量は年によって大きく変動します。
サンマは冷たい海水を好み、プランクトンなど餌の豊富な冷たい海域を回遊します。一方で、日本列島の南を流れる暖かい海流「黒潮」は、サンマが回遊しやすい冷水域を日本近海から遠ざけてしまう性質があります。
黒潮の流れの変化が好影響に
専門家の分析では、黒潮の流れが例年とは異なり東へそれたことが、サンマの漁場形成につながったとみられています。
例年は黒潮が日本列島の太平洋側に沿うように北上し、暖かい海水が沿岸域を覆ってしまうため、冷たい海水を好むサンマはそれより外側に留まる傾向がありました。ところが、最近の変化で黒潮がすぐ東へ流れた結果、本州の東側の海域で冷たい海水の影響が大きくなったとされています。こうした場所こそサンマが好む水温環境であり、これが日本近海に「漁場」が新たにできた理由だと分析されています。
漁獲量が増加した背景
不漁から一転、大量漁獲へ
ここ数年、サンマ漁は不漁続きでした。水温上昇や海流の変動の影響で、従来の漁場が縮小し、漁獲量が大幅に落ち込みました。例えば2024年には、ある年の漁獲量が過去10年のうちでも相対的に低い水準にとどまるなど、漁業関係者や消費者の間で危機感が高まっていました。
しかし、2025年から2026年にかけて漁場環境が改善され、多くのサンマが日本近海で確認されるようになりました。結果として、年間の漁獲量が大幅に増え、世界1位に返り咲く見込みとなっているのです。
国際的な背景と資源管理
近年の国際協調と漁獲枠の議論
北太平洋では日本だけでなく、ロシア、台湾、韓国、中国などもサンマ漁を行っています。資源管理のための国際協定や漁獲枠調整が行われることもあり、2025年には北太平洋漁業委員会などでサンマ漁獲枠削減案が議論された過去もあります。こうした資源管理の枠組みは、乱獲防止とサステナブルな漁業維持に向けた重要な取り組みです。
しかし今回の世界1位復帰は、単純に日本が漁獲枠を伸ばしたというよりは、環境変動によってサンマの漁場が日本近海に広がり、結果として漁獲量が増加したことが大きな要因とされています。漁獲枠や資源管理制度だけでは説明できない、海洋環境の変化が主役とも言えます。
漁業と消費者への影響
食卓への恩恵
サンマは日本の秋冬の代表的な食材であり、刺身や塩焼き、寿司(「さんま寿司」など)として古くから親しまれています。漁獲量が増えると、価格の安定化や供給の改善につながる可能性があります。実際、豊漁が続いた年には市場価格が下がり、一般消費者にとって手に取りやすくなることもありました。
逆に、不漁が続くと価格が高騰し、家庭の食卓からサンマが遠のくことが続いてきました。漁場が戻りつつある今回の動きは、消費者や漁業関係者にとって歓迎すべきニュースになります。
物流と加工の課題
一方、漁獲量の急増は港や物流システムに負担をかけることもあります。例として、2025年には漁獲量が予想以上に増えたことで水揚げ処理が追いつかないケースが出てきました。これは漁港や加工場の設備・人手不足といった社会的・経済的な課題と結びついています。
今後の展望と注意点
海洋環境の変動は継続
サンマの漁獲量増は喜ばしいニュースですが、黒潮の流れや海水温は毎年変動します。漁場が安定して日本近海にあるかどうかは気候変動の影響も大きく、将来的な予測は依然として不確実です。漁業者や研究者は、短期的な豊漁だけでなく、資源管理と持続可能性の視点から長期的な漁業戦略を模索する必要があります。
産業としてのサステナビリティ
サンマ漁を含む水産業は、日本の地域経済にとって重要な柱です。世界1位の座は象徴的な意味を持つだけでなく、漁業コミュニティの活性化や漁業関連産業の発展につながる可能性があります。だたし、乱獲や環境破壊、気候変動は依然として大きな脅威であり、科学的データに基づく資源管理と国際協調が不可欠です。
まとめ
2026年のサンマ漁獲量は約6万4737トンとなり、13年ぶりに世界1位の見込み。
黒潮の流れが例年と異なり東へそれたことで、日本近海にサンマの漁場が形成されたと分析されている。
漁業・消費者・市場への影響は大きく、価格や供給の安定化が期待される一方で、物流や資源管理の課題も存在する。
今後も海洋環境の変動は続くため、持続可能な漁業制度と長期的な視点が求められる。




