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ある程度の不安定が無いと、生きてるって思えないんだ

作者: P4rn0s
掲載日:2025/12/02

財布の中身を数えて溜め息をつくほど困っているわけじゃない。

だけど、欲しいと思ったものを迷わず買えるほどの余裕もない。

そのあいだの、どこか曖昧な場所で生きていると、自分がどんな生活を望んでいるのかすらぼやけてくる。


月末になると家計簿アプリのグラフを眺めて、まあまあ順調だと思った翌週には、予想外の出費がすっと顔を出す。

そのたびに「もう少しお金があればな」と思うのに、本気で贅沢したいわけでもない。

ただ、心の中に広げた小さな地図の片隅に、余裕という名の空白が欲しいだけだった。


通勤電車の広告には、知らないブランドのバッグや旅行の写真が並んでいる。

見ていると欲しくなるけれど、実際に買う自分はあまり想像できない。

買えないわけじゃないのに、買った後の自分の姿が曇って見えるからだ。

きっと、贅沢をすること自体じゃなくて、贅沢をしても揺らがない生活の土台が欲しいのだと思う。


友人がボーナスで新しい家具を買った話をしていた。

「高かったけど、いい買い物だった」と笑う彼女を見て、羨ましいよりも眩しい気持ちがした。

お金を使うことに迷わない人は、それだけで世界をひとつ広く持っているように見える。


自分はどうだろう。

コンビニのレジ前で、スイーツを買うかどうか悩む時間がやけに長い。

買っても困らないのは分かっているのに、手を伸ばす瞬間に「本当に必要?」という声が浮かぶ。

必要かどうかより、罪悪感が勝つことの方が多い。


それでも、お金がすべてじゃないことくらい分かっている。

それでも、無いよりはあったほうが、きっと心の幅は広くなる。

そのことも分かっている。


だから今日もまた同じことを思う。

劇的な成功なんて望まないし、誰より豊かになりたいわけでもない。

ただ、欲しいと思ったものを手に取るとき、胸の奥がざわつかない程度の余裕がほしい。

それが、ささやかだけど確かな願いだ。


ほどほどに満たされて、ほどほどに足りない生活。

その真ん中で、私は小さな未来のために貯金アプリを開く。

画面の数字はゆっくりと増えたり減ったりしながら、

まだ見たことのない明日へ続いていく。

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