異変・前
ダミアンとの勝負から、早くも、五日が経った。
真視眼の子とは、仲良くやっている。
名前は、『サラ』という。
名だけの、人は珍しいが、私は魔王なので、この制度を知っている。
確か、制度の名は……『異能力者認識制度』だっけ。
異能力者には、名しか与えられない。これを作ったのは、私ではない。
私の部下だ。だから、私には、責任は来ない。
それにしても、まだ、その制度が、使われているとは思わなかった。
てっきり、期限が来たかと思われていたが、延長されていたのか。
それと、最近、ルララが、私に対する接し方が、少々冷たくなってきている様に感じた。いつもなら、「頑張ります!」や「任せてください!!」など、元気であるが、最近は、「はい…」や「お任せを」などの、テンプレ的な返事だ。まるで魔王が、別に居るような、気がする。
まぁ、それはないだろうが……
とにかく、異変が起きているということ。それが、目に見えてわかる。近い内に、なにか変化が起きると予想する。あくまで予想だ。こればかりは、勝手には動けない。
だが、予想と言う範囲に、留まらせなければいい。
予想というものは、時に判断を鈍らせる事もある。そのため、予想を、より、確実にすることが大事である。幸い、私の知っているものに真視眼持ちが居る。
今は、まだ、未来視に、進化はしていないが、私の力で、真視眼から、未来視へと、進化させることができる。サラが、承諾すれば、すぐできる。
だが……先日言った。その返事は、「少し、考える」という返事を貰った。
少し待てば、返事が来ると願おう。
■【異変に気付いてから二日】
「ここの、魔法式理論は、魔法陣内の文字と、形、角度、魔力を流し込む大きさで、変化や、未知の魔法を作る事につながります」
なるほど。今の理論とは、こういうものか…
さっぱりわからん。
やはり、千年で、変わっているものが多い。魔王の名前や、理論、他色々。
いちいち、現代の、常識を使う事はない。私は魔王。自由に生き、自由に考える者。悪に染まった魔族には、制裁を。善を働くものには、幸福を。
これは、私が最も大事にしている事。美学だ。
おっと、授業を聞かなければ。
「教科書、二◯ページを開いてください」
ルララに言われた通り、指定されたページを開く。
【ロスト魔法】
ここのページには、ロスト魔法の名前などが載っている。特に、気になったのが、飛行魔法。
飛行魔法が、ロスト魔法とは、思えない。なぜなら、私は、今使える。更に、千年前の民は、ほぼ飛行魔法が使えた。これはかなりまずい状況だ。
一刻も早く、サラの力を借りなければならない。この先、何が起きるのかを、はっきりさせて、その後に、備えよう。
■【休み時間】
「サラ」
「な、なに?」
「あの件なのだが……考えてくれただろうか…?」
「うん。しっかり考えた」
「それで……返事は?」
ニコリと笑いながら、サラは言った。
「いいよ」
「ありがとう」
ここは、廊下。なので、転移で、めったに人が来ない、倉庫の、裏に来た。
「え……?ここは…?」
「倉庫の裏だが」
驚いた顔をしていたが、いつもの表情に戻ったサラ。
「じゃあ……始めよう」
「うん」
集中力を高める。
「ふぅ……アップグレード」
サラの真視眼に、アップグレードという、進化魔法をかける。
サラの真視眼は特殊で、魔力に対する、耐性が強いため、かなりの魔力を込めない限り、失明などはしない。
「な、なにこれ……見える情報が…多く…視界も広くなって…」
「完了だ」
眼自体は、変化はない。変化したのは、真視眼だ。害はない。
「サラ。今から、私が、言うことを、その、未来視で見てほしいのだが、できるか?」
「う、うん。指示してくれるなら」
「では。まず、この後、何が起きる?眼に魔力を込めるように…」
「見えた!」
サラの、顔が、段々と暗くなる。
「どうした?」
「えっと……私が見たのは、ルララ先生が、暴走するところまで…その後は、びっくりして見れませんでした…」
「そうか……ありがとう」
暴走、か。あまりわからない。
なぜ、暴走するのか。そのきっかけを知りたいが、かなりショックな出来事らしい。
サラにも、負荷はかけたくない。
仕方ないか。
■【授業】
この授業も、ルララが、担当だ。
サラが見た、未来もこの授業中のことだろう。
さて、どうなるのやら。
場合によっては、措置を考えなければな。




