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登山家ガチプリンセス・エリン

むかしむかし、ある国に、プリンセス・エリンという勇敢な少女がいました。王女でありながら、彼女は絹のドレスよりも登山靴を愛し、宮殿の舞踏会よりも山の頂を目指すことに心を燃やしていました。


ある日、エリンは「星見の山」と呼ばれる険しい山に登る決心をしました。この山の頂上には、願いが叶うという伝説の丘があると語り継がれていたのです。


冷たい風、崩れやすい岩肌、そして霧の中を何日もかけて登り続けた末、ついにエリンは頂上へとたどり着きました。そこには、雲よりも高い場所に、月明かりに照らされた草の丘が静かに広がっていました。


その夜、流れ星が空をいくつも駆け抜けました。エリンは手を胸にあて、そっと願いました。


――「私の旅の心を理解し、共に歩める人に出会えますように」


そのときです。風が止まり、丘の上に光の粒が集まりはじめました。現れたのは、小さな羽を持つ美しい妖精。彼女は笑って言いました。


「あなたの願いは純粋で、風のように自由。だから、星の国から呼びましょう。あなたと同じ空を目指す者を。」


妖精が魔法の粉を空へ放つと、星がひとつ、音もなく落ちてきて、まばゆい光となって消えました。


すると、丘の向こうから、旅の服をまとい、コンパスを手にした若い王子が現れました。彼の名はリオ。彼もまた、広い世界を歩く旅人だったのです。


「星が導いたなら、君が僕の行き先なのかもしれないね」と、王子は微笑みました。


ふたりはその夜、焚き火を囲みながら語り合い、同じ夢と自由な心を分かち合いました。


やがてふたりは国へ戻り、結婚しましたが、豪華な城には住まず、風と星を友とする旅の生活を選びました。


人々は語ります。


あの夜、星に願ったプリンセスと、魔法に導かれた王子の愛は、いまも世界のどこかの山で、静かに灯り続けていると─ー

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