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大切な存在

作者: Zero

他人(ひと)には見えないものが見えるリンと、猫の霊ミミのお話。


※ホラーとして書いたつもりはありませんが、怖い話が苦手な方などは見る時間帯等にご注意ください。

※本作内の名前等は本作の中でのみのものとし、他所に存在するとしても関係のないものです。

私はリン。高校二年生。

私はどうやら他の人には見えないものが見えてしまう体質らしい。

所謂、おばけや霊が見えてしまうのだ。

そのため普段から、霊に効くお守りを持ち歩くようにしている。

いざという時には、これをかざすことでバリアのような効果を発揮することが出来るのだ。


そんなリンには悩みがある。

登下校時に使うルートの途中にいつもたたずんでいる霊がいるのだ。

迂回できる場所ではなく、その道を通るしかない。

お守りのおかげもあってか今まで何かされたことなどはないが、いつも早足で通り過ぎるようにしている。


そんなこともありながら日常を過ごしていたある日、どこからか猫の鳴き声が聞こえてきた。かぼそく、助けを求めているような鳴き声だ。

リンは鳴き声のもとを突き止めると、そこは路地裏で身動きが取れなくなってしまっている猫がいた。

放っておくわけにもいかず助けようとしたところ、激しく威嚇された。

それでもリンは助けようと動いたところ、その猫も状況を察したのかおとなしくなった。


その後、無事に助けることが出来リンはその場を離れようとすると猫も付いてきた。どうやら懐かれてしまったようだ。

いくら遠ざけようとしてもついてくるため、リンはミミと名付けてかわいがることに決めた。

そして「ミミ」と声に出して呼ぶと、突然あたりが光ったのだった。

リンはまぶしくて目を閉じた。しばらくして目を開けると、目の前には猫又となったミミがいた。

どうやらミミは猫の霊だったらしく、名付けをしたことで猫又になったようだ。


ミミはリンに懐いていたが気分屋なところもあり、いつもリンのそばにいるわけでもなく何日か姿を見ない日なんかもあったりした。

それでもリンにとってミミはかわいく、ミミにとってもリンは恩人であり好意があったのだ。


そんなある日、リンは学校の用事で帰るのが遅くなり、外はもう真っ暗になっていた。しかもそんな日に限って、お守りを家に忘れてきてしまったのだ。

いつもの帰り道、たたずむ霊のいる道をいつも通り速足で過ぎ去ろうとしたところ、突然その霊が襲ってきた。

攻撃される!そう思い、怖くなって防御態勢をとったリンは目を瞑った。

だが、しばらくしても何事もなかった。それどころか、なんだか争う音が聞こえてきた。


リンはゆっくりと目を開けた。そして状況を理解した。

ミミが助けてくれたのだ。

リンが襲われそうになった時に、とっさに間に入って回避してくれたのだ。

だが、ミミとその霊の強さは互角のように見えた。

お互いに攻撃され、攻撃し返すのを繰り返していた。

そんな時、ミミが隙をついて霊を撃退した。相手の霊は成仏したのだ。


リンはミミに感謝した。

だが、ミミも霊との戦いで力を使い果たしてしまったようだ。

徐々に身体はうすくなり、成仏しようとしている。

そんなミミを抱き上げリンは、

「有難う。助けてくれて本当に有難う。大好きだよ」

と泣きながら別れの言葉を言っていた。


それからしばらくたったある日。

リンはいまだに他の人には見えないものが見えている。

だが、登下校時に使うルートにたたずむ霊はミミが倒してくれたから、もうその道も怖くない。

それに、今でもミミが見守ってくれているんじゃないかと感じる。

リンにとってミミはとても大切な存在だった。

それはきっと、ミミも同じだろう。

人間と霊という異なる存在だったが、お互いがお互いをとても大切に思っていた。

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