変な令嬢が来ましたわ!
そうやって穏やかな時間が流れてた時、遠くから馬車の音が近づいてきた。
見ると、派手なドレスに金髪の巻き髪を揺らした女が降りてくる。
宝石とフリルが過剰で、歩くたびにジャラジャラ音がするじゃない。
「誰かしら?」
「隣の領のセレスティーナ・ロックフォード様です」
とメイド長のアニエスが小声で教えてくれた。
「ルイス様! お会いしたかったの!」
ルイスを見つけるやいなや、大げさに手を振っている。
でも、ルイスは無視してクッキーを食べてるの。ふふ、さすがね。
セレスティーナが私に気づく。
「あら、あなたが噂の辺境伯令嬢? こんな畑仕事、みすぼらしくて私には到底考えられませんの」
「みすぼらしいかどうかは、あなたの価値観ですわ。ルイス様と、わたくしは、こんなにも立派な野菜を育てているんです。」
「ルイス様は私の婚約者ですの!変なお遊びに誘わないでくださいませ。」
「婚約者?あら、それはあなたの勘違いよ。ルイス様は誰のものでもないわ」
肩を竦めてみせると、ルイス様が静かに口を開いた。
「俺は誰のものでもない」
「そんな……!ルイス様ったら!」
顔を真っ赤にして怒る彼女。
その様子は、まるで子供の喧嘩を見ているようで、思わず笑ってしまった。
なんだかこの令嬢もおてんばで可愛いですわ!