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第11話

イスに座っている僕の目の前で、マシュー兄妹が土下座している。


あれから、しばらくして、最初に声をかけてくれた女性(リリさんと言うらしい。)が僕を呼びに来てくれて、別の部屋に移動したところ、土下座しているマシュー兄妹の目の前に座らさせられたのだ。


土下座している二人の頭をよく見ると、二人とも大きなタンコブをつくっていた。


さらに土下座している後ろには仁王立ちして、禍々しいオーラを放っているダンジョンマスターのサランがいる。体から発せられているオーラは、蜃気楼のように空間が歪んで見え、時折り、黒や紫色が混じっているようで、どことなく毒々しい印象を受ける。

ダンジョンマスターの怒りを表しているように感じる。僕も気をつけていないと気絶しそうだ。


「さて、二人は彼に言うべきことがあるよね?」


サランが先ほど話していた穏やかな口調ではなく、オーラと同じような言葉にトゲがある話し方で、マシュー兄妹に話しかけた。


・・・いや、実際にオーラがマシュー兄妹をつついている。その度にマシュー兄妹の体がビクッ! ビクッ!ってなってるぞ。・・・あのオーラみたいなのはダンジョンマスターのサランが操っているのかな?


「ク、クスタ。あのさ……」


「そこはクスタ様じゃない? 君たち、迷惑かけたこと理解している? それとも何かな? まだお仕置きが足りなかったのかな?」


ダンジョンマスターのサランがマシュー兄の言葉をさえぎる。禍々しいオーラがマシュー兄妹を包みこんだ。 


「す、すいません! ごめんなさい! 許してください!」

「バカ兄! 何してんの!」


「いや、君も同罪だからね。」

「ごめんなさい! 許してください!」


マシュー兄を罵った妹に対してもダンジョンマスターのサランからの一言ですぐに謝罪した。兄妹が叫びながら謝罪をする。


(・・・冒険者ギルドのマスターが二人に説教しても、聞く耳を持たなかったあの二人が、ここまで従順になるなんて・・・)


「ほら、迷惑かけた人に謝罪すべきだと思うよ。」


「「クスタ様。今回は私たちの勝手な都合でダンジョンに連れてきたこと、さらに、契約書にサインさせこと、申し訳ありませんでしたぁ!!」」


マシュー兄妹が床に頭をつけて謝罪してきた。やっぱりこの二人のせいで僕が知らない間に契約書を書いていたことになったのか・・・


「サラン様。僕は記憶にないんですが、契約書ってことは、契約が結ばれているってことですか?」


僕の問いかけにダンジョンマスターのサランが顔をゆがめた。


「そこが今回の大きな問題点でね。本来は本人の同意がないと契約できない仕組みなんだ。しかし例外も作られていてね。今回はその例外を悪用されたんだ。」


「例外ですか・・・」


「そう。共通言語が話せない人物。かつ、生命の危機がある状態であること。そういった場合においては本人の同意は取りづらいからね。」


(たしかに言葉が通じない人だと難しいな。それに命の危機に契約書の説明をされてもな・・・そんな状況じゃないもんね・・・ん? まてよ・・・)


「えっと、僕は言葉話せますけど・・・それと生命の危機って・・・」


ダンジョンマスターのサランの顔がさらに歪んだ。マシュー兄妹へ向けた視線がさらに厳しいものになった。この人? なら視線で人を殺せるんじゃないかな。禍々しいオーラはさらに巨大になり、マシュー兄妹へと降り注いでいる。


(・・・マシュー兄妹が地面にめりこんでいる気がするけど無視しよう・・・)


「こいつらはダンジョンに君を誘いだした。そして人目の少ない場所へと誘導。そこでマシュー兄が君の意識を奪った。その後、君を切りつけ、大量出血で君を会話ができない状態かつ生命の危機に瀕した状態にした。その状態でこいつらは、君の雇用契約の手続きを始めたんだ。さっき言っていた例外の条件、言葉が話せないかつ、生命の危機。両方を満たしているよね?」


(たしかに条件は満たしている・・・でも・・・)


「他人が言うことではないと思いますけど・・・そんな簡単に例外が使えていいんですか?」


ダンジョンマスターのサランは歪めていた顔をほぐすためか、眉間に手をやり、揉むように動かしながら話してくれた。


「・・・元々、この例外はギルドマスターの魔王様が弱った者であろうとも、言葉の話せない者であろうとも、この世界に生まれた尊い命に変わりはない。ダンジョンはそういった者の受け皿となるべきだという考えから生まれたんだ。」


(魔王ってそんな考え方をするんだ。もっと悪い人? かと思っていたよ。)


「・・・それをこいつらは・・・クスタ君だけじゃなく、魔王様の善意まで悪用するとは・・・」


(・・・善意で作られた例外を悪用しちゃったら、そりゃ怒られるよね。)


土下座していたマシュー兄妹は、地面に埋まり過ぎて、その姿が見えなくなった。やっぱりあのオーラってダンジョンマスターのサランが操っていたんだね。とんでもない力だな。おそろしい。


(・・・悪い奴らだったけど、マシュー兄妹のご冥福をお祈りします。)


僕は、2人のために目をつぶった。

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