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3.労働力の節約

 今の社会問題の一つに、少子化問題があります。このまま放っておけば、労働力不足と、その少ない労働者への大幅な負担増が避けられないのが現状です。もちろんこれは、年金問題などにも絡みます。言うまでもなく、労働者世代が高齢者に対して少な過ぎるから起こるのです。

 さて。少子化問題が解決しない、という前提で話を進めます。そうした場合、労働者の負担増にならないようにする方法は、何か考えられないのでしょうか?

 実はあります。もっとも、金銭的な負担は変わりません。やはり、少数の労働者世代が多くの高齢者世代を支えなければならない。しかし、実質的な労働負担は増やさない方法ならばあるのです。つまり、同じ労働で、多くの賃金を受け取れるようになるのです(もっとも、賃金が増えた分は、高齢者へ回る事になるのですが)。

 では、具体的にそれがどういう事なのか説明しましょう。

 通貨循環モデルで、生産効率が上がり、労働者が余っている状態を思い浮べてください。5人だけの社会。仮に、生産物Aを5個、1人で生産している状態だとしましょう。これだと他の4人は失業者になってしまいますが、もしこの4人が高齢者だとしたら、どうなるでしょうか? そして、労働している1人が、他の4人に通貨を回し、養っているとしたら。

 この回している分を、現実に当て嵌めるのなら年金になる訳ですが、このような状態、つまり生産効率を高めて、労働者が余る状態を作り出せれば、労働負担を増やさないようにする事が可能です。

 もちろん、これを実現する為には、生産効率を高める必要があります。では、そんな当てがあるのかというと、実はあります。

 今(2010年)は、流通業界に人が溢れています。そして、この部分での労働力の節約が可能なのです。もちろん、IT技術によって。

 流通業界は、生産者→中間業者→小売店という流れで生産物が流れます。このうち、中間業者が一番複雑で、いくつもの会社が絡んでいます。そしてこの部分は、情報技術で省く事が可能なのです。そうなれば、労働力を節約する事ができます。

 生産者→小売店 というのが究極の形ですが、ここまでいかなくても、労働力を大幅に節約する事ができるはずです(これは、既にある程度は起こっています。それにより、失業者が出ているのですが)。

 ただし、この方法には問題点もあります。一人当たりの収入が増えるという事は、同時に労働コストが増える事を意味しています。日本国内だけで閉じていれば何の問題もないのですが、現実社会には国外があります。国外の、少子化が進んでいない国に比べて、その分で国際競争力を弱くしてしまいます。生産物の価格が高くなってしまうのですが。

 さて。似たような方法で、更に別の手段も存在します。

 先の話を繰り返しますが、流通業界は、生産者→中間業者→小売店という流れで生産物が流れます。そして、消費者の需要の情報はその逆の伝わり方をします。小売店→中間業者→生産者と。しかし、この伝言ゲームによって、需要の情報は正しく生産者側に伝わりません。結果として、実際よりも高く需要情報が伝わってしまうケースが多々あるそうです。そして、その所為で無駄な生産が行われ、派生して、無駄な流通と無駄な廃棄物処理も生まれてしまいます。もちろん、そこにはコストもかかっている訳ですから、これをなくせれば労働力を節約する事が可能です。

 (具体的な資料が何かは忘れてしまったのですが、これにより全体の20%ほど無駄が生まれていると、確か書かれてありました)

 この場合、生産量の削減を伴うので、当然、GDPが減る事なってしまいます。

 やり方は、生産物、つまり商品の予約制をもっと普及させる事です。どれだけその生産物が売れるか分からないから、過剰に生産してしまうのです。予約によって、初めから、消費者がそれを買うと分かっていれば、過剰な生産をしてしまうリスクは少なくなります。

 もちろん、これも情報技術の活用によって実現できます。ネット上で予約注文し、それを生産者側が受けてから生産する。というスタイルが、一般的になればかなりの無駄を削減できます。もっとも多少は不便になってしまうかもしれません(ネットを利用しない人は特に)。ただし、無駄を削減した分だけ、生産物の価格は安くなります。

 (もちろん国外でこの節約方法が行われていなければ、価格競争には有利に働きます)。


 さて。

 今まで説明してきた話は、実は二酸化炭素削減方法にもそのまま使えます。不景気の状態では、労働力の節約をしてしまっては問題がありますが、これは余った労働力を環境問題対策に回すなどすれば(1章で述べた方法ですね)、クリアできます。

 仮に先に述べた方法を実施して、10%の生産物削減ができれば、その分だけ、二酸化炭素排出の削減が期待できます。また、余った労働力を、二酸化炭素の固定化などに回せば当然、その分、二酸化炭素排出量は減る事になります。


 因みに、今回説明に用いてきた通貨循環モデルは、時間当たりの循環量の違いや、外国の存在を無視してきました。しかし、当然、現実に当て嵌める際には、これらを考慮しなくてはなりません。

 例えば、一年間に6万円分、循環する通貨を増やすのなら、6万円分の通貨発行が可能ですが、これを一ヶ月で循環するようにすると、12で割って、5千円分の通貨発行になります。

 つまり、同じ生産物でも、それを支払う時間単位をどうするかで、発行できる通貨の量が変わってきてしまうのです。

 仮に公共料金の支払いを義務付けて、初め一年間単位にしていたものを、後で一ヶ月単位にした場合、インフレ圧力になる可能性があります。


 今回は以上です。

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