第21章 ヘテロクロミアからの涙
第21章 ヘテロクロミアからの涙
軍事都市ガイ。
南の城壁付近では、飛行して魔法を唱える魔族をカミューが次々と撃ち払っている。
北の城壁付近では、上空ではダイチめがけて魔族4匹が詠唱し、地上ではダイチを5匹が取り囲んで武器を構えている。
ダイチは黒の双槍十文字を横に払いながら、武器もろとも魔族兵を両断する。一瞬、上空を見上げて、
ゾーブ
「エクスティンクション」
魔力がわずか1の魔法使いであるダイチは召喚術士である。
召喚無属性魔法エクスティンクションは、目標の1点に反発エネルギーであり、負の圧力を持つダークエネルギーを召喚する。
空中で魔法を唱える魔族の1匹から透き通った球が膨張した。それは瞬きよりも短い出来事だった。球形が目に見えた訳ではない。ダイチの想定した効果範囲であるゾーブ大の直径3メートルの透き通った球が存在を示すかのように、球形の輪郭内で背景が歪んだのだ。その刹那、球形の輪郭が1点に収縮し消滅した。球状の範囲を飛行していた魔族2匹が一瞬にして消滅していた。
ダイチは、エクスティンクションのリキャスト9秒を心でカウントを開始する。
ダイチにとって9秒は果てしなく長く、それは時が止まり、永遠に続く時のような感覚になっている。全てがスローモーションのように見える。
9
ダイチは視線を地上に戻すと、大斧を振り下ろしてくる魔族を、白菊で大斧もろとも両断する。
8
左手に握っている黒の双槍十文字を横に薙ぎ払う。
魔族は、後ろに跳び躱す。
7
ダイチの背中に火弾が直撃する。ダイチは前に飛ばされる。
6
前にいた魔族が大剣を振り下ろし、ダイチを袈裟斬りにする。
5
大剣がダイチの首元を切る。
ダイチは苦痛の表情を浮かべたまま、大剣を振り下ろした魔族の腹を白菊で払う。
4
魔族は上半身と下半身に分かれる。
ダイチはそのまま前のめりに武器を握ったまま手をつく。
ダイチに3匹が一斉に切りかかる。
3
大斧の一撃、剣の一撃、槍の一突きがダイチの背に浴びせられる。
2
ダイチは、耐えきれず地面にうつ伏せに倒れる。
魔族3匹は、一斉に後ろに跳ねる。
1
極炎2発がダイチの背中に直撃する。
0
ダイチは、炎の中で空中から魔法を放った魔族2匹を見る。
ゾーブ
「エクスティンクション」
飛行していた魔族2匹が一瞬にして消滅する。
9
ダイチはゆっくりと立ち上がる。
8
神龍の加護によって守られているとはいえ、ダイチにはかなりのダメージが蓄積している。
7
魔物3匹は、及び腰になっている。
6
ダイチは、前に1歩跳ぶと槍で魔族兵の胸を突つく。
5
そのまま白菊で横の魔族の首を撥ねる。
4
ダイチは残った魔族1匹を見る。
3
ダイチが、魔族に半歩前に進む。ダイチは、ダメージと疲労で魔物がぼやけて見えている。
2
魔族は、体の向きを変えると飛行して逃げ出す。
1
巨大な曲刀がこの逃げる魔族を斬る上げる。
0
空中で鮮血を出して落下する。
「ゲオーグの兵に臆病者はいらぬ」
ダイチは、白菊を左腰の鞘に納め、黒の双槍十文字を中段に構えた。
ゲオーグは、巨大な曲刀を下段に構えた。
『ダイチ、大丈夫か』
「ダメージでしんどいな。ふらっとする」
『エクスティンクションは、無理か』
「ああ、目も霞んでいる。地上でこのまま撃ったら、俺まで巻き込みそうだ」
クローと思念会話で話した。
ゲオーグは、1歩踏み込み、巨大な曲刀を下から斬り上げてきた。ダイチは黒の双槍十文字の穂先をその曲刀の軌道に合わせて下方へ出す、穂先の左の刃で曲刀を抑え込みにいった。
巨大な曲刀は上まで振り上げられたが、その刀身は半分を失っていた。
ゲオーグは、半分となった曲刀を目にすると、
「・・・・勝負はお預けだ」
そうゲオーグが叫ぶと、半分となった曲刀をダイチに投げつけ、そのまま後方へと飛び立っていた。
ゲオーグはかなりの高度まで飛ぶと、
「置き土産といくか」
身を翻して城内へ魔法を唱え始めた。ゲオーグは、魔族の持つ残虐な殺戮本能のままに行動していた。
『ダイチ、彼奴はガイの城内に魔法を撃ちこむ気だ』
クローが注意を促した。
「もう、躊躇てはいられないな」
ゾーブ
「エクスティンクション」
詠唱中のゲオーグは消滅した。
「カミュー、そっちはどうだ」
『こっちは、これで最後だ・・・よし、終わった』
「クロー、魔族はもういないか」
『ああ、全て倒した』
「ふう、ガイを守った。ナギ王国の勝利だ」
うおーーー! 勝ったー。魔族に勝ったぞー
ガイ城壁から歓喜の声が上がる。
ダイチは歓声のする城壁を思わず見た。城壁の上には、弓や槍、剣などの武器を掲げて叫ぶ兵士と抱き合いながら喜びを分かち合っている兵士が見えた。
やがて、それは城内の避難民にも伝わり、城壁を揺るがす大歓声となった。
うおおおおー
勝ったぞー
助かったー
ナギ王国の勝利だー
城内の大歓声が、青空に吸い込まれていく。
ダイチは大歓声を聞きながら、仰向けに倒れた。
「ふう、やったな。クロー、カミュー」
『ああ、勝ったな』
『我々の勝利だ』
「俺たちの勝ちだー」
ダイチは仰向けのまま、黒の双槍一文字を高く上げた。
死闘が繰り広げられた大地から晴れた青い空に向かって一直線に延びる黒の双槍十文字は、祖国のために戦い、命を落とした数多の英霊たちを慰める十字の墓標のようにも見えた。
ダイチは、心の底からほっとした、緊張の糸が切れ、安息と充実で満たされていた。
・・・パコ、パコ、パコ
ゆっくりと蹄の音が近づいて来る。
ダイチは顔だけ蹄の音にゆっくりと向けた。
「あああぁー」
ダイチは跳び起きた。
「メルファーレン侯爵、お久しぶりです。救援にきていただきありがとうございます・・・俺が礼を言うのも変ですね・・・いえ、失礼しました」
安息から一転、虚を突かれたダイチは、しどろもどろになっていた。
メルファーレン侯爵は無言のまま下馬した。
「・・・ダイチ、久しいの。論功行賞での王宮以来だ。其方がナイトの称号を得て、俺が今度は戦場で会おうと言ったことは覚えているか」
「はい」
「その言葉通り、戦場で会えたな」
「はい、光栄でございます」
「其方の槍裁きは見事であったぞ。黒の双槍十文字の特徴を生かした無双の槍術だった。片手に槍、もう一方の手に刀、唯一無比の槍術だ」
「ありがとうございます。メルファーレン侯爵に、この槍を扱えるよう精進せよと仰せつかりましたので、私なりに努力をしてまいりました・・・・ま、まさか、その後も、見られていたのですか」
「ああ、空中から城内めがけて魔法を唱えている魔族が、消滅するところも見た。あれはやはり、其方がやったのだな」
「・・・はい、私の魔法です」
「唯一無比の魔法だな」
「恐れ多いお言葉です」
カミューがダイチの元へ戻って来た。
カミューを見止めると、メルファーレン侯爵は、その場で片膝を着き、
「過日には、ローデン王国の危機をカミュー様にお救いいただきましたこと、国王グリードリヒ・ローデンに代わり、このジーク・フォン・メルファーレンが厚く御礼を申し上げます」
深々とお辞儀した。
『むう。メルファーレン侯爵とやら、其方の活躍も見事であったぞ。ポポイの魔族迎撃戦では、住民の保護を優先した戦術は称賛に値する』
「カミュー様より、そのようなお言葉をいただき、ありがたき幸せです」
メルファーレン侯爵はダイチを一目見てから、
「カミュー様、失礼ながら申し上げます。今日は何故、ナギ王国をお救いに来られたのですか」
『魔王ゼクザールが封印から解かれた。人類絶滅の野望を持つゼクザール討伐を目指す我らは、この地に居る神獣を、そこのダイチの召喚神獣とするために来た。そこで魔族の侵攻を受けるナギ王国に加勢した』
「このダイチが、神獣を召喚神獣にするためとは、いかなることですか」
「カミュー」
ダイチが、カミューの目をじっと見て訴える。
『主、この男は信頼に足りる。話してもよかろう』
ダイチは頷いた。
『ゼクザールを倒すためには、6神獣の力が不可欠である。しかし、6神獣はなかなか個性が強くてな、これを束ねて1つの力とするには、召喚術士の能力が必要となる。その召喚術士がダイチなのだ』
メルファーレン侯爵は、ダイチの目を見た。そして、ダイチの力量を図るかのように、頭の上からつま先までゆっくりとその鋭い視線を落とした。
「メルファーレン侯爵、俺を品定めしているのですか・・・その刺すような目つきは怖いです。ものすごく怖いです」
ダイチは心の中で絶叫していた。
『我は、既にダイチの召喚神獣となっておる。ダイチは我が主だ』
「・・・・・」
メルファーレン侯爵は、僅か一瞬であったが眼を見開いた。
ダイチはメルファーレン侯爵の一瞬の眼の動きから驚いていることを悟った。
「初めて見た。魔人のあの眼の動き」
魔人でも驚くことはあるのだなと思うと、吹き出しそうになるのを押えた。
そこにリリーとカガリ、騎馬28騎が馬を走らせて来た。
ダイチとメルファーレン侯爵の脇で馬を降りると、リリーとカガリ、28騎の兵士はメルファーレン侯爵に片膝を着き、謹んで謝意を述べた。
アルベルト王子が左太腿に傷を受け、従う神聖国家防衛隊の兵たちも重軽の傷を負っていた。そして、体力の限界も近かった。
神聖国家防衛隊は、王都ロドへの凱旋を目指していたが、緊張が高まっていた。王都ロドの留守を任されたドリゥーンの謀反を懸念していたのである。アルベルト王子の凱旋に城門が閉じられ、城壁から矢の雨が降ってこないかと心配をしていたのである。そうなれば内乱となる。
しかし、城門はアルベルト王子の凱旋を祝うかのように開かれていた。
神聖国家防衛隊が内乱の戦に備えて、隊列を組みながら城門に近づいて行くと、城門の中から兵士が走り出て来た。その数は増え1000人を超える兵士が城門から走り出して来た。兵士たちは城門へ続く道の左右に整列した。
神聖国家防衛隊は、城門から出て来た兵士の200メートル手前で止まった。
神聖国家防衛隊の兵士は、息を飲んだ。城門からドリゥーン王子が馬に乗って現れると、そのまま神聖国家防衛隊まで駆けて来た。
ドリゥーン王子はアルベルト王子の前まで来ると、下馬して跪いた。
「アルベルト王子、ご勝利おめでとうございます。このドリゥーンは、ここで城の防衛に当たっていた兵1000をアルベルト王子にお返しします。お受け取りください」
と、ドリゥーン王子は頭を下げた。
脚に深手を負っているアルベルト王子は、馬上から兵に支えられるようにして降りると、
「兄上、王都ロド防衛の任、お疲れさまでした。兄上がここを守っていただけたので、私と兵たちは、後顧の憂いなく魔族との戦に専念できました」
そう述べると、ドリゥーン王子の手を取って立ち上がらせた。
アルベルト王子とドリゥーン王子は馬を並べて、絶え間ない歓喜の声の中を王都ロドへ凱旋した。
王宮グレートフォレスト謁見の間
謁見の間には、大理石の柱が等間隔で並んでいて、床には白地に金の模様のある絨毯が敷き詰められ、高い天井には大きな黒い喪旗が下げられていた。正面の高い玉座の後ろには、白い雪の結晶の上で翼を広げる銀の雷鳥の意匠のある青い大旗が掲げてあった。
玉座の階下には、両側に多くの重臣と白い鎧の衛兵たちが並び立っていた。重臣たちは、首元までダブルボタンがあり、肩には金色の肩章が垂れ、首が隠れる長い襟のある白い上着と白いズボンはいていた。白服には金色の縁取りがあって体が動くたびに光った。
玉座は、空席のままになっていた。
玉座に向かって、左に王位継承権1位のアルベルト・フォレスト王子と、その左には王位継承権3位のルーナ・フォレスト王女。
玉座の右には王位継承権2位のドリゥーン・グリーンフォレスト王子とその右にローズ・グリーンフォレスト第2王妃が座っていた。
階下の中央には、臨時軍務大臣兼近衛長官ブラッサム・フォン・ホワイト侯爵、その後ろには、部隊長として戦った諸侯が居並び、片膝をついて頭を垂れていた。
ホワイト侯爵が玉座に向かって、左の王位継承権1位のアルベルト・フォレスト王子に報告をする。
「アルベルト王子に申し上げます」
ローズ第2王妃が声を張り上げて言った。
「ホワイト侯爵、お待ちなさい」
階下の重臣たちにも緊張が走る。先の謁見では、アルベルト王子の支持を表明したローズ第2王妃だが、この場での制止に疑念が走った。
ローズ第2王妃は、実子のドリゥーン王子を伴いアルベルト王子に歩み寄る。
階下の重臣は息を飲んだ。
ローズ第2王妃と実子のドリゥーン王子は、アルベルト王子の前で跪き、
「アルベルト王子、国家存亡の危機における臣下の命を賭した戦の戦果報告です。国家の主として、臣下のためにもあの席で報告をお聞きください」
そう言って王座を指した。
アルベルト王子は、ローズ第2王妃の瞳を見つめると、深く頷いた。
アルベルト王子が立ち上がろうとした時に、左腿の戦傷でよろめいた。階下の重臣も思わず声を上げた。
ドリゥーン王子が、アルベルト王子の腕を掴むと、
「アルベルト王子、これまでの非礼をお許しください。これからは王の杖として、お支えしていくことをお誓い申し上げます」
ドリゥーン王子がアルベルト王子の瞳を見つめて言った。
アルベルト王子は、
「ありがとう。では、兄上、肩をお借しください」
そう言って、ドリゥーン王子の肩に手を回した。
ドリゥーン王子の肩に支えられて、アルベルト王子はゆっくりとした足取りで、王座まで歩いていった。脚に傷を負っているため、そのゆっくりとした歩みに階下の重臣たちには過酷で長い道のりを歩いているように思えた。アルベルト王子はその長き道のりを経て王座に辿り着いた。
今、ここにアルベルト王子は、王座に就いたのだ。
ホワイト侯爵が玉座のアルベルト・フォレスト王子に報告をする。
「アルベルト国王陛下に申し上げます。魔族の北方からの侵略は、アルベルト国王陛下率いる神聖国家防衛隊が撃破。その際に、ダイチ殿、カミュー様、クロー様の多大なるご助勢と雪乙女様の大いなるご助力もありました。
南方からの侵攻は、軍事都市ガイ守備兵の奮戦及び対魔族軍事協力によりローデン王国から駆けつけたメルファーレン侯爵率いる軍勢並びにダイチ殿、カミュー様、クロー様のご助勢、王都ロドからの救援隊によって撃破しました。ここに我が軍の勝利をご報告いたします」
「臨時軍務大臣兼近衛長官ブラッサム・フォン・ホワイト侯爵、大儀であった」
「はっ」
「ホワイト侯爵、我が軍の戦死者はいかほどか」
「現在、戦死者5402名。重傷者は902名を確認しています。正確な数につきましては、精査後に改めて報告いたします」
アルベルト王子は、目をつぶった。
「このナギ王国とその民を守るために、5402名の尊い命が犠牲となった。まず英霊に戦勝の報告と安らかな永眠を願い、そして国の再建を誓い、祈りを捧げる」
アルベルト王子が立ち上がる。階下の重臣も一斉に立ち上がった。司教が透き通った声で祈りを捧げた。
アルベルト王子は、数歩前に歩み、高らかに宣言をした。
「我らナギ王国の勝利だー」
謁見の間にいた重臣、部隊長の全てが立ち上がり、両手を高らかに揚げて雄叫びを上げた。
「おぉぉぉぉぉー」
「うおぉぉぉー」
戦勝の雄叫びは、謁見の間の床、壁、天井に掲げた黒い喪旗までも振動していた。
アルベルト王子は、城の広場に突き出たバルコニーに立った。下には城壁内に詰めかけた住民と非難民9万人が詰めかけていた。城壁の外には30万人が見守っていた。
アルベルト王子は詰めかけた民に向かって良く通る声で語った。それは、祖国のため。家族のために散っていった尊い命への祈りの言葉、残された家族へのお悔やみの言葉、復興の約束と協力への呼びかけ、そして、勝利宣言だった。
民の大歓声は王宮を、森を、流れ落ちる滝を震わせた。大地にこだまし、天高く突き抜けていった。
アルベルト国王陛下、万歳!
救国の王、アルベルト国王陛下、万歳!
アルベルト国王陛下、万歳!
救国の王、アルベルト国王陛下、万歳!
城外には、自ら戦場に赴き、指揮を執った若き救国の英雄の国王就任を祝福する歓喜の叫びがこだました。
バルコニーでアルベルト王子の後ろに控えるルーナ王女の体は震え、唇からは言葉ならない声が漏れ、ヘテロクロミアの瞳からは涙が止めどもなく頬を伝わっていた。
王宮グレートフォレスト国賓会談の間。
大きなテーブルを挟んでアルベルト王子以下重臣とローデン王国メルファーレン侯爵、副官のロイ、以下5名が対座していた。
対談は10分と短い時間ではあった。アルベルト王子からのローデン王国への謝意が述べられた。内務大臣エルバン・フォン・ラングエッジ侯からは、今後の両国の発展のための軍事同盟に前向きな姿勢と、明日に戦勝記念祝賀会。明後日にはローデン王国兵への感謝と慰労会。7日後には、英霊への慰霊式典を実施することが発表された。明日に戦勝記念祝賀会、明後日にはローデン王国兵への感謝と慰労会には、ローデン王国兵も参加することとなった。
なお、アルベルト王子の正式な戴冠式は、予定通り2ヶ月半後に実施される。
迎賓館ホワイトヒル。
メルファーレン侯爵は、迎賓館ホワイトヒルに滞在していた。
副官のロイ・ボンドが、迎賓館ホワイトヒルを訪れていた。執務室で、メルファーレン侯爵とロイの2人はテーブルを挟んで座っていた。
ロイが、
「メルファーレン様、アルベルト次期国王の若さには驚きました」
「ああ、だが聡明だった。エルフは見かけで判断はできんと言うことだ」
「確かに。アルベルト次期国王は、私よりも年上の可能性もありますな」
「私とロイの年齢を合わせても、半分にもならないかもしれんぞ」
「・・・・なんと、それほどまでに」
「あのアルベルト次期国王は、良き王となることだろう」
「軍事都市ガイの防衛後に、騎士のダイチ殿とお話しなされていたようですが、何か気になることでもおありでしたか」
「・・・魔王ゼクザール討伐のことだ。その時にはロイ、お前にも来てもらうぞ」
「勿論です。メルファーレン様の赴く所へは、例え、地獄であってもお供いたします。騎兵300騎も同じ決意です・・・魔王ゼクザール討伐となると、人類対魔族、互いの興亡をかけた一戦となりますな」
「・・・ああ、共存はありえない。互いの覇権と繁栄をかけた戦いだ」
「全人類のための戦・・・これ程の誉はありません」
「ロイ、我らの勝利のために、これまで以上に備えなくてはならぬな」
「メルファーレン様、殺傷能力がなく魔力消費が莫大な故に、埋もれていた範囲重力魔法グラビティは、メルファーレン様のおっしゃる通り有効な魔法となりましたな。慧眼、恐れ入ります。
ただ、グラビティは、魔力の消費が激しいため、魔法は2回程度が限界ということが課題となりますな」
「ああ、これまで空は、魔族と魔物の独壇場であった。これで魔族も魔物もその制空権を失う。ロイ、重力魔法の資質をもった者を国内から探し集めるのだ」
「はっ。制空権をもつ魔族と魔物への武器として炸裂火炎砲が開発されましたが、範囲重力魔法グラビティ。新しい戦術の時代となります」




