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15 海の怪神アネモネ

 ロスリカ王国

 ダイチたちは、サンルーズ港に戻ると、パー商会クアナ・パーに教都ロロスでの出来事、外務大臣ファオスカー、財務大臣バンゴール、近衛聖騎士団団長ムーアたちとの会見について語った。

すると、パーは、深く深く頭を下げ、

 「これで・・これで、多くの民が救われます。テラさんたちには、感謝の言葉もありません」

パーは店先で泣き出していた。

 「パーさん、ロスリカ王国の再建はこれからです。これまでのフリーダムとは異なる、別の戦いがあると思います」

テラが、パーの肩に手を乗せて言った。

 パーは、両目を指先で擦りテラを見て、

 「もし、新たな国王と重臣たちが、今回の魔族関与を隠蔽(いんぺい)するようでしたら、我々が国民に開示します。・・・この国が生まれ変わる千載一遇の機会です。

 近衛聖騎士団ムーア団長とも連携が取れる道を模索していきます。

そして、必ずや・・・」

と、決意を秘めた拳を固く握った。

 ドワーフのファンゼムと白熊獣人のリッキも、協力を惜しまない旨をパーに伝えた。


 ダイチたちは、魔界神ディアキュルスの逃げ帰った地の把握に成功し、今後の対策を検討することとした。その地は、魔王ゼクザールの居城とは限らないが、重要拠点であることには間違いないと判断したためだ。

 テラたちのヘッドウインド号にダイチも乗船して、アジリカ連邦国コモキンまで一緒に帰還することになった。

 「テラ、帆船に乗るのは初めてだ。ワクワクする」

ダイチは、見送りに来ていたパーたちに勢いよく手を振りながら言った。

 「まあ、私の人生の半分は、船の上よ。

それからね、レミが、この航海には不吉が渦巻くと、占いに出たと言っていたわ。用心した方が身のためよ」

 「不吉な事? ・・・帆船の旅に比べれば」

 「レミの占いは結構当たるわよ。その時になって後悔しないでね」

テラは、ニヤリと微笑んだ。

 ルクゼレ教徒に追われ、逃げる様にサンルーズ港を出港した12年前と異なり、ヘッドウインド号は、多くの人々に見送られてゆっくりと出港していった。

 

 眩しく高く青い秋の空、銀色に(きら)めくエメラルドグリーンの海、頬を撫でる心地よい潮風、船首が切り裂く波の音、ヘッドウインド号は、船体を上下に揺らし順調な航海をしていた。

 船首に立つダイチは両手を広げて、胸いっぱいに清々しい空気を吸い込んだ。

 「ふぁー、最高だー! カミューも船旅で良かっただろう」

 『パク、モグッ、ゴクリ。ああ、確かに船旅は美味いな』

 カミューは、レミが釣り上げたカツオのたたきと、キュキュが海面から鷲掴みをして捕らえてきたマグロの刺身に舌鼓を打っていた。

 キュキュもリッキも口一杯に頬張っている。

 「ダイチさんはもう食べなくていいの?」

テラがダイチの脇まで来て尋ねた。

 「テラの生活はすごいな。こんな大海原で、人生の半分の時間を過ごすなんて・・・

 おお、テラ、見ろ、あれ! 水面を魚が次々に跳ねていくぞ。魚の群れじゃないか」

ダイチは2時の方向を指さした。

 「きっとあの魚の群れは、大きな魚に追われているのね」

 「そうなのか。魚の遊びではなく、生死を駆けた逃走なのか」

 テラは、子供の様にはしゃいでいるダイチの横顔と背を眺めて、思わず微笑んでいた。

 「テラは、俺と同じくこの世界に飛ばされて、ここで地に足を付けて・・・いや、甲板に足を付けて生きて来たのだろうけれども、元の世界に戻りたいとは思わないのか」

 テラは、ダイチの顔を見て首を横に振る。

 「ううん。私は、ものごごろがつく前にこの世界に来たので、元の世界の記憶はないの。テラと呼ぶ実の母親の顔と声も朧げだし・・・私の母親はマナツ母さんよ」

 「そうなのか・・・マナツと共に生きて来たんだね」

 「ダイチさんは、元の世界に戻りたい?」

 「・・・そうだなぁ。この世界は過酷だ。それに、俺は元の世界に友人や教え子、夢などの多くのものを置いてきたから、寂しい気もするよ。

 でも、この世界でクローとカミュー、お世話になった鍛冶屋の人たち、それにテラやマナツたちとも出会えたので、この世界で生きていくことも悪くはないと考えているよ」

ダイチがテラの顔を見て気持ちを語った。

 ダイチの純粋な気持ちが映し出されている黒い瞳に見つめられ、テラは胸がキュッと痛み、視線を下に逃がした。

 「つい半年前までは、俺の人生が突然変わる・・・生きる世界も、人生の全てがひっくり返るような事を想像すらしていなかった。正に青天の霹靂だったよ」

 「私もジャジャイさんの遺志が、人類存亡を賭けた人魔大戦につながるなんて、思ってもみなかったわ」

 『主、前方に巨大な魔物の気配だ。これは・・・これまで出会った地上の魔物の強さを遥かに超えているぞ』

カミューが、マグロの切り身を頬張りながら、思念会話を送ってきた。

 『テラ、強力な海の魔物に心当たりはあるか』

クローも尋ねてきた。

 「海には巨大、獰猛、群れるなど、厄介な魔物は多くいるわね。

 そうねー、Aクラスならクラーケン。AからSクラスならメガロドアかな」

 『ガツ、ガツ、人間の尺度でいうSクラスより遥かに強いぞ』

カミューが、カツオのたたきを頬張りながら思念会話を送ってきた。

 「それより強いとなると・・・怪神アネモネ・・・別名、海神とも言われる伝説のSSクラスの魔物だと聞いたわ。

 1度だけ出会ったことがあるけれども、海面に直径100m位の大きな渦巻をつくって、イルカや船を呑み込もうとしていた・・・」

 『それだな・・・怪神アネモネ、曲りなりにも神のつく二つ名がある魔物か。

 フフフフッ、狩りは神獣の(たしな)み。久しぶりに腕がなる』

カミューは獰猛な表情をして、牙を光らせた。

 「おい、クロー、大丈夫か」

 『12時の方角だ。まだ、回避できるぞ』

 『クロー、余計なことを言うな! 我は、その怪神アネモネと戦うぞ』

 「カミュー、ちょっと待て。お前が戦うとしても、俺たちを巻き込んで危険に晒すな」

 『よかろう。我だけで行く・・・いや、後学のためだ。主も我の背に乗って、その戦いを見届けよ』

 「え、なぜ、俺が後学のために・・?」

 「あら、それなら私もキュキュの背に乗って、見学に行きたいな」

 『テラ、よく言った。その貪欲(どんよく)な知識欲と好奇心、実に天晴だ』

 『ちょっとテラ、船長が船を離れてどうするのよ』

 「マウマウ、許してね。少しの時間だし、副船長のファンゼムもいるわ・・・何よりも、怪神アネモネの姿を見ておきたいのよ。私たちだって、いつ、どこで遭遇するかも知れないので、その時のためよ」

 「ファンゼム、進路取舵10時」

 「了解。進路取舵10時」

ヘッドウインド号が10時の方向に進路を変更した。

 「テラ、突然にどうしたのじゃ」

 「12時の方向に、アネモネがいるみたいなの」

 「何じゃと、あの怪神アネモネかー」

 「アネモネの大渦に巻き込まれたら一溜りもない。危ういところだった」

リッキも胸を撫でおろした。

 「通りで、私の占いに不吉が渦巻くとあったから、アネモネの事だったのね」

 「これから、カミュー様とダイチさんが、アネモネ退治に向かいます。と言う事で、私は後学のために、キュキュに乗って見学に行ってくるわ」

 「いかにカミュー様とダイチであっても、水中にいる怪神アネモネと勝負できるのか」

リッキが不安そうに言った。

 「いつの間に俺も戦う事になっているんだ。俺は見学だけ。アネモネと戦うのはカミューだからね・・・」

 『では、神龍の加護を一応、ダイチとテラには加えておく。では、行くぞ』

カミューの眼が一瞬輝くと、カミューは翼を広げ、ダイチを背に乗せたまま大空に飛び立っていった。

 テラを乗せたキュキュがその後を追って行った。

 「・・・ああ、行ってしまったわい。何も好き好んで怪神アネモネと戦うとは・・・神獣と召喚術師とは、理解し難い者たちだ」

ファンゼムが呆れていた。

 「レミは船尾から両舷と後方を警戒。俺は船首で前方を警戒する」

リッキがレミに指示をだした。

 「了解」


 「カミュー、海面を見ろ。イルカの群れが逃げているぞ」

 紺碧の海面を幾つもの白い飛沫を上げて跳躍しているイルカの群れが見えた。

 『ああ、アネモネの渦から懸命に逃げているな。アネモネはこの先だ』

 ダイチは、振り返って後続のテラを見て、海面を指さした。テラは海面を見渡し、親指を立てた。

 『見ろ。大渦だ・・・主、船が巻き込まれているぞ』

 「なんだって・・・商船のようだな。カミュー、助けるぞ」

 クローが冷静に状況を分析し、思念会話でダイチに告げる。

 『助けに向かっても、間に合わぬ。あの商船は渦の中心に沈む』

 「カミュー、それでも、助けろ!」

 『主、最善を尽くす。船よりもこのままアネモネを潰す方が早い。行くぞ!』

カミューが渦の中心に向けて急降下をした。

 ダイチの髪は風圧で後ろに靡き、口や目が変形していく。

 カミューの急降下を見たテラが商船に気づく。

 「あ、アネモネの渦に商船が巻き込まれている。キュキュ、急降下よ。あの商船を助けるわ」

 商船の甲板では、船員たちがパニックになっていた。その中で、30歳前後の洗練された艶やかさを持つ女性が船員に指示を出す。

 「帆は満帆」

 「キャプテン、だめです・・・渦で帆が役立ちません」

船員が悲鳴のような声で叫んだ。

 副キャプテンを務める二十代半ばの容姿端麗な女性が容赦なく喝をいれる。

 「泣き言は言うな!! 生き残りたければ、キャプテンの命に従え。満帆だ、急げ!」

 「「「へ、へい」」」

 「渦の中心脇まで一直線に降下し、スイングバイで脱出を試みる。降下時に追い風を満帆に受ける用意をしろ・・・まだだ、まだ・・・総員、何かを掴め。体を固定しろ。

 3、2、1、取舵いっぱい!!」

 「取舵いっぱーい!」

 商船が渦の中心脇めがけて渦を滑降して行く。すり鉢状の水面の傾斜を利用して、船体が猛烈な速度で滑り落ちて行く。

 「いいか。渦の中心右をかすめて、取舵。そして、追い風を捕えたらそのまま渦から飛び出す」

 渦の最深部から巨大な赤黒く光沢のある触手が無数に伸びてきた。太さが電車の車両程もある触手が、海面と甲板上をふらふらと揺れ動く。

 「キャプテン、助けてくれー。アネモネの触手だー」

 キャプテンは左手にロープを握り、右手でサーベルを抜く。素早い突きを繰り返し、穴を開けていくが効果は薄い。

 「くっ、ダメか」

そ の時、黒い閃光が舞った。アネモネの触手が両断される。再び黒い閃光が一閃、二閃と繰り返される。切り落とされた触手が海に沈んでいく。

 「・・・テラ!」

キャプテンがテラを見て叫んだ。

 副キャプテンもテラの顔を見る。

 「え、あ、テラ。なぜ、ここに・・・」

テラがキャプテンに叫ぶ。

 「メグ、船員に、操船の指示を!」

 「取舵いっぱーい!」

 「取舵いっぱーい!」

 「舵を戻せ」

 「舵を戻せー!」

 商船は大渦の斜面を駆けるように登り始めた。

 エーアデが声を振り絞って励ます。

 「良い進路だ。最後まで気を抜くなー!」

 その時であった。渦の中心から長さ100mを越える触手を数十本振り回すイソギンチャクに似た巨大な姿が現れた。触手の生える中心に数十mの口があり、その口には鋭い牙が喉の奥にまでぎっしりと並んでいた。イソギンチャクの巨体からは青白くて透明なクラゲの傘のようなヒレが4つ付いていた。

 「怪神アネモネだー」

 「・・・助けてくれー」

 100mを越える触手が天めがけて振り上げられた。触手の先についているアネモネの眼が、船を見ている。

 その触手を睨みながら、エーアデは右手を伸ばして手を開く。

 「バニッシュ」

 アネモネの触手から光沢が消えた。

 渦の勢いが弱まり、渦の中心から水が盛り上がり始めた。

 渦と風を見て、メグが叫ぶ。

 「取舵ーいっぱーい!! ここで追い風を捉えれば。我らは逃げられる」

 船体が揺れ、操舵手が甲板を転がった。エーアデが駆け寄り舵に手を伸ばして掴む。

 「取舵いっぱーい!」

 波と遠心力で揺れる甲板で、テラは、振り上げられた触手の攻撃に備えて、飛願丸を下段に構えていた。メグもエーアデもロープを握りながら、瞬きもせずにアネモネを見ていた。

 ピカッ、アネモネの体を白い閃光が貫通していく。テラの頬が白く眩しく光る。

 「これが神龍の息吹なのね」

テラは、この白い閃光の中で笑みを浮かべた。

 ドゴゴゴゴゴーーーン、ドカァァァーン、大量の海水が、瞬間的な蒸発による体積の膨張となって爆発した。船は、海面から湧き上がる爆風で、盛り上がるミルククラウンの円形水壁に巻き上げられて、宙に高く浮いた。

 「カミュー、水蒸気爆発だ。何とかしろ。船が危ない」

 『問題ない。船ごと神龍の加護をかけてある』

 「だから、船が水蒸気爆発に耐えられたのか」

 『外部の衝撃は防げても、加護内部での落下による衝撃ダメージはあるはずだ』

クローが冷静に呟いた。

 「え!」 

 海面のミルククラウンは消え、その中央から巨大な水柱が、宙に曝け出している船底めがけて突き上がって来る。

 ダイチは思念会話で叫んだ。

 「テラ、サクだー」

 テラは宙に浮く甲板の上で導きのペンダントを握った。バリバリバリッと落雷が大気を裂いた。

 突然、船は漆黒の球体に包まれ、下から突き上げて来る水柱を2つに割った。

 球体は、そのまま宙を漂う様にゆっくりゆっくりと降下し、静かに海面に着水した。漆黒の球体が消えると、船はまだ高い波に揺れていた。

 「サク、ありがとう」

 『カミューの仕業か』

サクが、紫色に輝く有色透明の瞳でカミューを睨んだ。

 「カミュー様が、怪神アネモネに神龍の息吹を撃ったの。仕方がなかったのよ、間一髪だったから。」

 『カミューには、これで貸し借りなしだな』

テラは、サクの右の口角が僅かに上がるのを見逃さなかった。

 メグは甲板を見渡すと、物品が散乱し、よろよろと起き上がる船員たちの姿が見えた。

 「エーアデ、ダメージコントロール。状況の確認と連絡、復旧」

 「はい。・・・総員に告ぐ。各班でダメージコントロール」

 「「「「おう」」」」

 メグは、テラの顔を見て笑顔になる。

 「テラ、ありがとう。また助けられたわ。でも、貴方は、一体どこから現れたの? それに、あれは一体・・・」

メグの視線が一点に向けられた。

 エーアデは、テラの肩をポンと叩き、

 「急に現れてあのぶっとい触手を斬り落としていくなんて、驚いた・・・助かったわ。それから・・・あれ」

ごくりと唾を呑み込んでからサクを眺めた。

 甲板にキュキュと、ダイチを乗せたカミューが降りて来た。

 「ひえぇぇぇ!」

 「助けてくれー」

船員たちが絶叫した。

 それどころか、甲板を逃げまどい、転がり、這いつくばり騒然となっていた。

 テラは、甲板より3m程高い舵の横まで駆け上がり、階下の船員たちに向かって声を上げた。

 「話を聞いて!

 私は交易・冒険者チーム、女神の祝福のキャプテンテラ。私の仲間を紹介するわ」


 「テラとダイチたちの目的は分かったわ。差別と迫害を受け続けて来た我々は、平等な世の中を何よりも夢見ている。その実現は、ダディ・ナ・プロジャナタ、シュリ、バルバロスの遺志。そして、私たちの希望と意思でもあります。私たちは喜んで参戦する」

メグは、ダイチに向けて手を出した。

 「目指す夢は同じ」

 「歓迎する」

ダイチは、メグ固い握手を交わした。

 『ダイチ、エーアデもパラレルを越えてこの世界に来た者だな』

 「え」

 『主、折角、生得スキルに鑑定があるのだから、もっと使わぬか』

 「・・・おお、なるほど。種の欄にパラレルの境界を越えたホモ・サピエンスとある。俺やテラ、マナツと同じだ。間違いない」

 『エーアデは、先ほどのアネモネに反属性魔法バニッシュを使っていたな』

 「俺は気づかなかった。ところで、反属性魔法って何だ?」

 『対象の魔力を一時的または永久的に消失させる魔法だ』

 「消失であって、無力化ではないのだな」

 『消失だ。この魔法の使い手は貴重だ。魔力そのものを封印できる』

 『脈々と受け継いできた全神龍の記憶にもない魔法だ』

 「パラレルの境界を越えた人間で、生得スキルが反属性魔法、それは対象の魔力を消失させるか・・・」

ダイチは、船員にてきぱきと指示をだしているエーデアの後姿をじっと見ていた。


 ダイチたちは、メグとエーデアたちと別れ、ヘッドウインド号に乗り込んだ。

 「メグたちがアネモネの大渦に巻き込まれておったとはな。無事に救えてよかばい」

 「あれから海賊稼業はきっぱりと足を洗い、豊饒の里と呼ぶ楽園をつくり、現在は農水産業と生産業、そして交易をして生計を立てているそうよ」

テラがメグたちの現在について補足した。

 「操船や対魔物戦はお手の物だろうしな」

メグやエーアデ、海賊の船員たちを思い出し、リッキも嬉しそうに言った。


 ヘッドウインド号は、アジリカ連邦国コモキンに帰港した。

 マナツとジム、息子のジンとレイ、そしてガイらがテラを笑顔で迎えた。マナツの喜びようは、尋常ではなかった。涙を浮かべてテラを抱きしめ、頭を撫でながら、ずっと声を震わせていた。

 マナツとガイからは、先のアジリカ連邦会議で、魔王ゼクザールへの交戦及び全ての人々への人権の尊重への議案が、満場一致で可決されたと報告を受けた。

 ダイチもジパニア大陸に到着し、ヘッドセットによる通信が可能となったため、通信を再開した。

 「緊急招集。女神の祝福は、アジリカ連邦、コモキンに参集のこと」

 これは、ヘッドセットからヘッドセットへと中継され、仲間全員に送信された。


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