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エピローグ

 いつかこの日が来るだろうとは思っていた。


 このところマップスキルで毎日確認していたのだが、いよいよ俺の屋敷は魔王を討伐しようとする多くのプレイヤーや、助っ人のN.P.C.たちに囲まれてしまった。


 先月行われた競技大会の映像がユーザーの間に広まると、俺の居場所、つまりは魔王城の位置が簡単に特定されたのだ。今まで何度かプレイヤーに侵入されたことはあったが、単独でもあり魔王が住む城とは気づいていない様子だった。

 だが今回は違う。明らかに組織だっているのは、ここがラスボスの根城であると知っているからだ。マップを見ると、城の周りに200人を超える光点が表示されている。


 もちろん城の守りとしては、庭に水魔が待ち構える堀を新たに巡らせ、建物の至る所には魔法のトラップがさらに数を増やして追加されている。あまつさえN.P.C.の骸骨衛士たちが24時間の警備をしているのだから、簡単に攻略はできそうにない。とは言え、魔王城というものはいつか必ず陥落すると相場が決まっているのだ。撤退の潮時を間違えてはいけない。


「凛子、行くぞ」

「ああ、いいだろう」

 俺は凛子を連れて、事前に用意していた秘密の地下通路を抜け、魔王城から離れたセーフハウスに避難した。


〝ギャーーーーーーッッッッ!〟

〝助けてーーーーーーっっっっ!〟

〝うわあぁぁぁぁーーーーっっっっ!〟

 エアモニターで監視カメラの映像を確認すると、半分近くのプレイヤーが堀の水魔や庭にいる骸骨衛士に撃退されている。城の中に侵入した者も何人かいるようだが、ありきたりの毒矢トラップや落とし穴に引っかかって足を止めている。


〝ひいーーーーっっっっ!〟

 部屋の隅に置かれた宝箱を開けたプレイヤーは、お約束通りミミックに喰われた。

 どうやら個々のプレイヤーのレベルはあまり高くないらしい。


〝ドリャーーーッ!!〟

 一人元気に飛び回っているのはピヨちゃんだ。他にも競技大会で見た顔が何人かいるが、概ね混乱している様子だ。


「押本なら、逃げなくても全員相手にできるんじゃないのか?」

「俺は静かに暮らしたいんだよ」

 今後、魔王討伐イベントがユーザーの企画として何度も開かれるだろう。そうなれば、落ち着いて暮らすどころではなくなる。これから先もずっと騒がしいのだ。

 

 と言うわけで、今後は魔王の城でユーザーを待つのは魔王ではない。すでに意思を持つまでに進化した魔王城そのものだ。

 

 当然ながら、魔王城には末長く頑張ってもらうための命令をいくつも残してきた。倒された魔物は可能な限り復活させ、新たなトラップを無数に仕掛けるようになっている。

 なにせ、エネルギー源として大量の魔石を地下に埋めたので、これが見つかり破壊されるまでは、無人で稼働するテーマパークとして数多のプレイヤーを餌食にすることだろう。つまり、魔王城自体が巨大な罠なのだ。

 おまけに、城のいたる所にはプレイヤーへのご褒美として、いくらかの財宝を残してきた。これが発見されるといい目眩しになり、城に魔王がいないことにはしばらく誰も気づかないだろう。


 では、魔王はどこにいるのか。当然ながらこのセーフハウスではない。


「凛子、そろそろ出発するぞ」

「了解した」

 俺は念願だったキャンピングカーを購入した。


 このキャンピングカーでサポート業務を行う傍、特に行き先を決めずに温泉地をのんびりと巡るつもりだ。

 依頼の内容によっては車を置いて、飛行機や列車で移動することもあるだろう。あくまで車は移動手段の一つであって、寝泊まりは基本的にホテルや旅館を利用したい。

 そして、いずれまた綺麗な海の近くで暮らすことを目指して、静かで住みやすい場所を探すのだ。次は魔王城にならないように、住所変更の手続きはしない。


「押本、北に行ってくれ」

「サポートの依頼か?」

「いや、桜前線が北上中だ」

「なるほど、花見か」

「酒が飲めるなっ」

「凛子はダメだぞっ」

「押本だって運転があるじゃないかっ」


 ついでに各地のユーザーグループやギルドを訪問するとしよう。その際は、美味しい料理を出す店でも教えてくれると幸いである。


       『マジユニ! ~ゲームマスター凛子が征く~』 完

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