3ページ 木の人形①
イタリア。 夜。
「まだ着かないの?」
ネモフィラとチャールズは、仕事で森の中を歩いていた。
仕事のことを考えなくてはいけないのに、以前の出来事でネモフィラは頭がいっぱいだった。
あの出来事はなんだっただろうか。
「まだ気にしているのか」
チャールズが声をかけてきた。
心配そうに見つめていた。
「気にしてないよ。元の体に戻ったし。私たちは管理人としての仕事をこなさないといけないんだから」
元気に返す。
チャールズはすぐに向きを変える。
「元気ならそれでいいさ」
チャールズは歩く。
やはり心配しているのだろうか。
でも、あの出来事を考えてもどうしようもない。今は仕事に専念するだけ。
「もう着く」
村に入ってすぐ、ハサミを大ハサミに変え、警戒する。
妙な静けさだった。
今は人が眠っている時間帯で誰もいない。
ただ街灯や家の明かりがなく、月明かりでしかなかった。
バリッ!
突然ガラスが割れた音がした。家の窓から何かが出できたようだ。その正体は月明かりで明かされる。
「人形!?」
その人形は、一体だけでなく、多く飛び出してきた。しかも手には、包丁やナイフなど刃物を持っていた。
子供の笑い声がした人形たちが襲いかかる。
人形から人の気配を感じる。
ネモフィラとチャールズは左右に分かれる。
「チャールズ!」
「分かってる!」
チャールズも気付いている。
「この人形・・・人間だ」
人形は、まだ突っ込んでくる。
「どうする?」
「決まっているだろ。キャストを探すだけだ!」
人形を傷つけないように避ける。ネモフィラは何か光の反射する。
もしかして。
ネモフィラは人形を避け、ハサミを大きく横に振るう。
ブチっと切れた音がし、人形がぼたぼたと地面に落ちていく。
「やっぱり・・・」
ブチッとまた切れた音がした。振り向けば、チャールズも気付いたらしく、人形を避け、剣を振り回す。人形は地面に落ちる。
「チャールズも気付いてよかった」
「まあな」
チャールズは落ちた人形を見た。人形に糸が付いている。
「糸で操られていたか」
チャールズは目を細める。
糸で人形を操るキャストと推測する。
「何してくれてんだよ!」
突然子供の声がした。声した方向に向く。教会の屋根に人影が見えた。よく見れば、人形が座っていた。人形にしては大きく、子供くらいの大きさ。鼻が棒だった。
「あんた。ピノッキオでしょ」
ネモフィラはにらみつける。
『ピノッキオの冒険』
イタリアの児童文学作品。
ゼペットじいさんが丸太から木の人形を作り、ピノッキオと名付ける。ピノッキオが人になるための物語。
原作通りの悪い子供の人形だった。
「何?お姉ちゃん?遊んでくれるの?」
一瞬でネモフィラは、ピノッキオの目の前まで飛び出す。大ハサミを大きく振り、ピノッキオを村の外の森まで飛ばす。
ここで戦うわけにはいかない。人間を巻き込ませるからだ。ネモフィラは手っ取り早くピノッキオを村の外へ飛ばした。
ネモフィラは、ピノッキオがいる森の中へと向かう。




