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第5話 ヤーマ連合王国/カズヒト

 俺が転移したこの国の名は『ヤーマ連合王国』


 『不戦国家』を掲げた平和を愛する国で建国してから約2000年、『不戦国家』の名の通り自ら他国を攻めたことは無いそうだ。しかし敵が攻めてきた時は容赦なく叩きのめす力を持った国でもある。

 

 ヤーマ連合王国は『ムーア大陸』の西側をほぼ治めている超大国で国王の名は『オーガ・タケル』といい年齢は45歳、ヤーマ連合王国一の魔法の使い手でもある。


 しかし、ヒメカといいタケル国王といい、本当にこの国の人の名前は日本人っぽい名が多いよな気がする。特にオーガ一族を始め中枢で活躍している人達の名前は日本人っぽい名前が多いように思えてしまうのは俺の考えすぎなのだろうか?


 まぁ名前のことはさておき、この国の中枢都市は標高1000メートル級の山を削ったと思われる高い場所にあり近代的なビルが数多く立ち並んでいて俺が想像していた異世界ファンタジーっぽい建造物とは程遠い。


 ヒメカが言うには大陸東側諸の国々は俺が想像しているような建造物の方が多いとのことらしいが……


 そしてビル群に囲まれた中心にこの国の首都『アスカール』という大都市があり、その中心に一番高い建物の立派な王宮がある。


 さすがに王宮だけは俺が異世界に対してイメージしていた通りのヨーロッパ風の建物だが『スカイツリー』並みの高さがあって宮殿というよりも塔のようにも見える。


 地球にある数々の宮殿とは色んな意味でレベルが違いすぎている感じだ。


 夜になると都市全体が宮殿やビル群の灯りで幻想的な夜景になり、これはまさに日本の首都『東京』と同じで懐かしさを感じてしまう。


 その灯りだが……都市の灯りは魔法で灯されているわけではない。

 この国には日本、いや地球と同じく国全体に電気が通っているのだ。


 ヒメカから聞いた話によるとこの国は『風力発電』『水力発電』『太陽光発電』で電気を作っているという。


 なんとも環境に優しい国なのだろうかと感心してしまうが、魔法が使えるこの世界に果たして電気は必要なのだろうかと転移初期の頃の俺は思っていた。


 でもこの国の歴史を知るにつれて電気エネルギーが必要な理由は理解した。


 実はこの国の人達の魔力はムーア大陸に住んでいる人間の中では最弱らしい。『とある理由』で年々最弱になってしまったそうだ。


 なので魔力値100超えのタケル国王やヒメカはヤーマ連合王国の歴史の中で何十年ぶりに生まれたレアな存在なのだ。


 その『とある理由』こそ俺がヒメカとの結婚を躊躇してしまう原因でもあるのだが……


 いずれにしても魔力最弱の国家が魔力値100以上の人間がゴロゴロいる外敵の攻撃を防ぐためには『電気エネルギー』が不可欠となり、数多くの兵器が開発、製造されているということなのだ。


 外敵からの攻撃を防ぐために国の周りにはとてつもなく大きくて分厚い鉄の壁が何重にもそびえ建っている。


 そしてその壁の上層部や中層部にはロケット砲らしきものが数多く配備されていて凄い光景になつている。更にこの国全体には何重もの防御魔法がかけられているのでちょっとやそっとじゃ攻撃なんてくらうことなどないということらしい。


 まさに電気エネルギーによって製造された兵器と魔法で守られている『鉄壁要塞都市』なのだ。


 それは連合王国に加盟している他の王国も同等の防御態勢をとっている。ちなみにこの世界にも『異世界ファンタジー系』でお馴染みの『エルフ族』や『ドワーフ族』『獣人族』が存在していて彼等が治めている国も連合王国側である。

 


 しかし国を守るために電気エネルギーが必要不可欠なら電力不足になる可能性だってある。だからそうならないためにもヤーマ連合王国の技術力で簡単に『火力発電』や更に進んだ『原子力発電』の開発だって可能なように思える。

 

 だがそういうことではないらしい。

 建国以来からの掟で『火力発電』など他の発電方法は禁止になっているそうだ。


 現にこの国には自動車に似た乗り物『鉄輪車てつりんしゃ』がたくさん街中を走っている。勿論、建設に必要な重機も充実している。


 そしてこれらに使用されている燃料は『黒油こくゆ』と呼ばれる液体を生成したものだ。


 今から約2000年くらい前に『黒油こくゆ』と呼ばれる液体が当時ヤーマ王国が治めていた土地の近くで発見された。


 おそらく『黒油』とは日本でいう『石油』のことだろう。そしてその黒油を生成した『ガソリン』のような『鉄輪油てつりんゆ』を燃料にして鉄輪車は動いている。他の乗り物も同様だ。


 なので黒油を利用して火力発電なんてこの国の技術なら簡単にできるだろうし本気で採掘すれば『ウラン』に似た物質もすぐに見つかるだろう。しかし掟を破るわけにはいかないと歴代国王が禁じているのだ。


 そこで俺の中で疑問が生じるのだった。


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