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第33話 真の英雄/カイシ

「何だ今の爆発音は!?」


「地震が起きたのかと思ったぞぉ」


「近くの工場で事故でも起こったんじゃないの?」


「いや事故ではないな。今、感知魔法をめぐらしたがどうも反乱? いやテロなのか? 不穏な奴等が……獣人族? 何十人もアスカールで暴れているみたいだ」


「本当か、グリス!?」


「ああ、間違いないな」


「ではこうしちゃいられない。魔剣は今度だ!! 俺達は連合王国貴族軍人としてテロリストからアスカールを守らないといけない!! よし急いで行くぞ、グリス、ダルゴ!!」


「ワ、ワシも行くぞ!! 開店したばかりの店を壊されてはたまらんからな!!」

 


――――――――――――――――――――――――――


 はぁ、はぁ、はぁ……


「3人とも大丈夫か?」


 ん? ダルゴが倒れているぞ!!

 でも息はしているから気絶しているみたいだな……

 魔力を使いすぎたみたいだな。

 


「カイシ、悪いが私も魔力を使いすぎてしまったみたいだ。それにしてもこのテロリスト達は思った以上にしぶとくて強いな」


「まぁ獣人族の戦闘力はワシ等、ドワーフ族に匹敵するからのぉ……しかし……さすがにワシも10人倒すのが精一杯じゃわ。もう力が入らん」


 このグリゴスも鍛冶屋とは思えないくらいの戦闘力だな。それに魔力を使わず肉弾戦であの獣人族を叩きのめしているんだからな……しかし、まだ敵は5人も残っている。


 さすがに俺も体力の限界がきたみたいだ……


 すると、そう思っている俺にテロリストの1人が話しかけてきた。


「おい、そこの若造! もうまともに戦えるのはお前だけみたいだな? それにお前、よく見たら軍務大臣の息子、カイシじゃないか。ちょうど良かったぜ。こんなところで国の重鎮の身内に会えるとはな……」


「どういうことだ!?」


「俺達の目的は連合王国の重鎮を1人でも多く抹殺することなんだよ。今日はアスカール教会にお忍びでヒメカ王女が参拝するという情報が入ったのだ。それに最近、教会に赴任したのがムーア教の最上級神官との情報も得たんでな。この2名が抹殺のターゲットだったが、まさか揺動部隊の俺達の前に英雄のバカ息子とも出くわすとは……今日はなんて素晴らしいテロ日和だ!! 長年の恨みをぶつけてやるぜ!!」


「き、貴様!! ヒメカ王女を抹殺するだと!? ふざけるんじゃねぇ!! 俺がそんなことをさせるわけがないだろう!!」


「クックック、強がるんじゃねぇよ。お前の実力は見切ったよ。身体能力値が高いだけのただのでくの坊め」


「な、なんだと~俺を舐めるな!!」


「クックック、前の剣術大会観たぞ」


「!!」


「お前、決勝戦で何もできずに気絶してただろ? 情けない奴だぜ。英雄の親父が泣くぞ。そんな奴がよくここまで俺達に対抗できたよな? でもお仲間も限界みたいだしお前もこれで終わりだな」


「ふざけるんじゃねぇ!!」


 頭にきた俺は残っている力を振り絞り男に向かっていった。

 しかし男は避ける気配が感じられない。


「フッ、だから若造なんだよ。こっちは死ぬ覚悟でテロやってんだよ……」


 グサッ!!


「ウグッ!!」


 俺の剣が男の胸を突き抜けた瞬間、男は刺さった剣を掴んだ。


「何!? 剣が抜けない」


 その時、グリスとグリゴスの叫び声がする。


「 「カイシ、危ない!!」 」


「今だ、お前等!! 英雄の息子を殺せーっ!!」


 剣が抜けずに焦っている俺の頭上に4人のテロリスト達が一斉に遅いかかってきた。


 ダ、ダメだ。防御魔法も間に合わない!!

 俺は死ぬのか?

 俺はここまでの男なのか……


 シャキ―――――――――――――――――――――ンッ


「え?」


 俺が諦めかけた時、何かが……テロリスト達とは違う何かが俺の頭上を物凄いスピードで横切った……と感じた瞬間……


 ボトッ ボトッ ボトッ ボトッ


 さっきまで頭上にいたテロリスト達の首と胴体が別々に俺の足元に落ちてきた。


「お前等!? 一体何が起こったんだ!? はっ!? お、お前は剣術大会の!!」


 俺に刺されている男が叫んでいる。


「こ、これは!? それにあの男は!?」


 俺の目線の先に1人の男が右手に剣を持ちながら背を向けて立っていた。剣先にはテロリスト達のものと思われる血がついていた。もしかして俺はこの男に……


 そして男が振り向くと俺に衝撃が走った。


 な、なぜ……なぜお前が俺を……


「な、何故俺を助けたんだ、カズヒト!?」


「カイシ、変な質問をしないでくれないか?」


「変な質問じゃない!! 俺はお前が大嫌いなんだ。それにお前だって俺のことを……なのに何で助けたんだ!? 俺が死んだ方がお前にとては喜ばしいだろ!?」


「フッ、助けるに決まっているだろ。ヒメカ王女の『大切な幼馴染』を死なせるわけにはいかないからな。お前達が死ねばヒメカ王女が悲しむじゃないか。俺はヒメカ王女が悲しむようなことは絶対にさせないと心に誓っているんだ」


「カ、カズヒト……お前……お前という奴は……」


 俺の完全な負けだ……


 俺の中からカズヒトに対する憎しみが消えた日であった。

 そして……


――――――――――――――――――――――――


【後日】


 俺は『オオガミ剣術道場』の門を叩く。


 勿論、尊敬するカズヒトの『二番弟子』になるために……

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