第30話 モニカの特殊能力/ヒメカ
「マ、マズいわね……」
「どうしたんだい、ヒメカ……王女?」
「もしかしたらテロリストが教会の中にも……」
「何だって!? それじゃ急いで教会に……」
ガッシャーンッ! ガッシャーンッ! ガッシャーンッ!
「 「 「えっ!?」 」 」
彼がそう言っている矢先、教会の窓ガラスが何枚も吹き割れる音がした。
教会の中で何が起こったの!?
そう思い不安いっぱいの中、割れた複数の窓から植物のツルみたいなものがグニョグニョと出てきた。
え、あれは何!?
すると続いて植物のツルみたいなものに巻き付かれた状態の獣人族、おそらくテロリストらしき者達が飛び出してきて大声で喚いている。
「くそーっ、放しやがれーっ!!」「うぎゃーっ!!」
あれは魔法なのかしら?
でもあんな魔法は今まで見たことがないけど……
「彼等もテロリストなのか? もしそうなら助かったよ。参拝者の中にテロリストが紛れ込んでいるかもしれないなんて考える余裕もかったから……」
カズヒトが少し安堵の表情をしている。
「僕の察知魔法では全然気づけなかったのにヒメカ王女の感知魔法はやっぱり凄いですねぇ?」
アルスが感心してくれている。
「そ、そうかな? でもあの植物のツルのようなものを操っているのは一体誰なのかしら? というかあれは魔法なのかな?」
本当にあんな魔法は見たことがないけど……あ、もしかして!!
教会内が静香になる。そして……
ギー……
教会入口の扉が開き、中から1人の神官が出てきた。
「 「 「モニカ!!」 」 」
「モニカ、もしかしてこれがあなたの言っていた生まれながらの特殊能力なの!? 『自然を操る能力』っていうのはこれのことなのかしら!? それとも私が知らないだけで、これも魔法の1つなの!?」
私が慌てるように質問するとモニカは軽く微笑む。そして
「ヒメカ王女、これが『イズー一族』に代々受け継がれている生まれながらに持っている特殊能力ですよ。でもまぁ、これはごく一部の能力でありまして今回は教会の中に設置している観葉植物さんにご協力いただきました……」
「 「 「えっ、観葉植物を操っていたのか!?」 」 」
私達3人は目を丸くしながら驚いたけど、モニカはすました顔で今度は私に問いかけてきた。
「で、どういたしましょうか? 彼等を全員葬るか、それとも尋問要員として生かしておくか、ヒメカ王女が決めてください」
こんな危険な者達は生かしておくのは1人くらいでいいとは思ったけど、もし尋問で口を割らなかった場合は非常に困ると考えた私はとりあえず全員、生かすことにしようと思う。
「そうね。尋問要員として全員、生かしましょう。1人くらいは首謀者や潜伏先などを白状するかもしれないし……」
「さすがヒメカ王女、良い判断ですね」
ドーンッ!!
あっ、まだ爆発音が聞こえる!
ここから約1キロくらい北の方から聞こえたわ。まだ街の衛兵たちはテロリスト達を殲滅できていないみたいだわ……
「ヒメカ、いやヒメカ王女! 今度こそ君はここに残っていてくれ!? 俺とアルスで爆発音がした場所に向かうから」
「で、でも!!」
「俺とアルスなら数10秒で現場に駆けつけることができる……それに時間を争うことになる場合もあり得るし……だから君はモニカと一緒に教会近辺を守ってほしいんだ!」
そ、そうよね。私は2人のようなスピードで移動はできないから一緒に行けば2人は私のスピードに合わせないといけなくなる……そうなれば助けれる人達を助けられなくなる可能性が……カズヒトの足手まといにはなりたくない。
はぁ……私もアルスや獣人族特有の加速魔法が使えれば……もしくは現在修行中の最上級魔法の1つ『瞬間移動』を取得できていれば……まだまだ『真の無双カップル』までは程遠いわね……
「わ、分かったわカズヒト……ここは私とモニカに任せて2人は急いで爆発音がした場所に向かってちょうだい!!」
「よし、ここは頼んだぞ!!」
「ヒメカ王女、行ってきます!!」
ビュンッ ビュンッ
2人はそう言うと一瞬で私の目の前から消えたかのような速さで走り去った。
その様子を見ていたモニカがぽそりと私に声をかける。
「カズヒト様のあの足の速さ……いえ、あの身体能力は『魔法が主流のこの世界』の歴史を変えるかもしれませんね……」
それに関して私もモニカと同意見だった。




