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第2話 運命の出会い/カズヒト

 この子は何て言っているんだ!?

 というか一体どこの国の言葉なんだ?


 何を言っているのか全く分からないぞ。

 ただ何を言っているのか分からないこの子がさっきの声の主では絶対にないことだけは理解できたよ。


 っていうか、一体ここはどこなんだ!?

 何で俺は外で寝ているんだ!?

 やはり夢なのか?

 

 目の動きだけで辺りを見渡してみると、どうも俺は小高い丘の上にそびえる大きな木の下で彼女に膝枕をしてもらっているみたいだ。


 ちなみに後で分かったことだが、この時、彼女が俺に言った言葉は『良かった~やっと目を覚ましたわ。ねぇねぇ、あなたはどこから来たの?』である。


 それとこれも後から分かったのだが、木にもたれて眠っていた俺をたまたま散歩中の彼女が見つけ、このままだと体が痛いだろうと思ってくれたらしく彼女にとっても人生初めての異性に対して膝枕をしてくれたそうだ。



 この状況を理解できない俺はどうすればいいのか困惑した表情をしていると彼女は何か思いついた表情をしする。そして自分の胸に手を当て「ヒメカ」と言った。というか、そういう風に聞こえたので俺は「ヒメカ?」と言葉に出した。


 すると彼女はとても可愛らしい笑顔で大きく頷き何度も自分の胸に手を当てながら「ヒメカ、ヒメカ」と連呼している。


 おそらく彼女の名前は『ヒメカ』なのだろうと理解はしたが、日本人っぽい名前なのに全然聞いたことのない言語を使うので不思議過ぎて頭が混乱しそうな俺がいた。


 でも今は混乱している場合ではないと言い聞かし軽く深呼吸をしながら冷静さを取り戻し、未だ彼女の膝枕状態のままの俺も自分の胸に手を当てこう言った。


大神和仁おおがみかずひと……」


「オオガ ミカズヒト……!?」


「切るところが違うよ。ってか、やっぱり俺の言葉も通じているはずないよな?」


 俺は再度、自分の胸に手を当てこう言い直す。


和仁かずひと……」


 おそらく『ヒメカ』ってのは下の名前だろうと勝手に判断した俺は下の名前だけを名乗ることにした。


「カズヒト……?」


「うんうん、俺は和仁かずひとだ」


 俺も笑顔で大きく頷いた。


「カズヒト! カズヒト!」


 彼女は俺が頷くのを確認すると満面の笑みで俺の名前を連呼しだした。


 こんなに名前を連呼されたのは生まれて初めてかもしれない。それにこんな美少女に名前を連呼されたら悪い気はしないな。


 俺が満足そうな表情をしながら「うんうん」と何度も頷いているとヒメカがまたしても笑顔で訳の分からない言葉を話してきた。この時の彼女の頬は少し赤かったと思う。


「カズヒト……&&)&%$'####''(($%$'(? '' #"%%&"$'''&……フフフ」


 俺の名前と最後の『フフフ』と笑っているのだけは理解できたけど……


 ちなみにこれも後で分かったことだが、ヒメカはこう言ったんだ。


「カズヒト……そろそろ起き上がってくれないかな? さすがに足が痛くなってきたわ……フフフ」



 これが俺とヒメカとの出会い……運命の出会いだった。


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