第27話 反逆者/カズヒト
ミサが始まってから約30分後
ドカーンッ!! ドカンッ!! ドカンッ!! ドーンッ!!
突然、教会の外から耳の中が張り裂けそうな複数の爆発音が聞こえてきた。
爆発の衝撃で教会も地震が起きたような揺れがする。
「 「 「キャーッ!!!」 」 」
教会内にいる参拝者達は大声で叫ぶ者、その場にしゃがみこんで震えている者、外に飛び出していいのか、この場にいた方がいいのか、どうしていいのか分からず教会内をウロウロしている者……全員パニック状態になっている。
「皆さん、落ち着いてください!」
最上級神官のモニカや他の神官達は大きな声で参拝者達に落ち着くよう声をかけているが、さすがにそれだけではパニック状態が収まるはずもない。
これは事故なのか? それともテロ……
「ヒメカ、この国でテロみたいなことは今までにあったのかい?」
「うーん……昔はどの連合国にもヤーマ王国と連合を組むのを反対していた小規模な『反連合組織』があってそれが暴走してテロリスト化してしまって各地でテロを起こしていたらしいわ。でも約25年くらい前に軍務大臣ソーガ・エイシが中心となって各地の組織を壊滅させてからはこの20数年、連合国内でテロが起こったというのは聞いたことないわ……でもこの爆発音って……やはりテロなのかしら? 20年前の事件のこともあるし……」
ヒメカは最後に何か20年前がどうと言っていたが爆発音で掻き消されてしまった。それにしてもテロリストを壊滅させるなんて、軍務大臣のソーガ・エイシは数々の功績を残しているんだな?
さすが『連合王国の英雄』と呼ばれているだけのことはある。息子のカイシも父親を見習ってほしいものだ。
「カズヒト、どうかしたの?」
「え? ああいや、別になんでもないんだけど……いずれにしてもこの爆発音でテロとはまだ断定はできないな。もしかしたらどこかの工場で爆発事故が発生したのかもしれないし……とりあえず俺は外に出て状況を確認してくるからヒメカは教会にいてくれないか?」
「えーっ!? それは嫌よ。私もカズヒトと一緒に外へ行くわ!」
ヒメカは絶対にそう言うとは思っていたけど……
「で、でも……王女様を危険な目に合わせるのは……」
「心配しなくて大丈夫よ。なんてったって私はこの国で2番目に高い魔力値の持ち主なんだからね。カズヒトだって私の防御魔法や攻撃魔法がどれだけのレベルかは知っているでしょ? 『魔力最強女子ヒメカ&連合国最強の男カズヒト』が揃えば何も恐れることは無いし、それになんだかカッコイイじゃない」
なんか凄い異名をつけていないか?
それにカッコイイというのはこの状況では相応しくないと思うけど……
でもそうだったな。
ヒメカはか弱い女性ではなかった。
俺の前ではいつもか弱くて可愛らしい、時には甘えたの女の子らしく振舞うからつい俺も勘違いしてしまうが、ヒメカが本気を出せばアスカールの町を吹っ飛ばせるくらいの魔力を持っているんだった。
よし、それなら……
「モニカ!! 俺達は外の様子を見てくるから教会内のことは頼んだぞ!?」
「はい、お任せください。参拝者達は私がお守りいたします!!」
俺達は急いで教会の外に出た。すると教会の周りにある数ヶ所の建物から火の手があがっている。この様子じゃ事故じゃないな。
これは間違いなくテロだ……
でも何故だ?
ヒメカが言っていたことが正しいなら『反連合組織』は25年前に壊滅したはずだし……それとも新たに創られた『反連合組織』なのか?
でもこんな平和な連合国に反旗を翻すなんてどういうことなんだ?
平和を望んでいない輩がいるとでも……?
そんなことを考えながら俺達は教会の正門に到着した。
「カズヒト、あれを見て!!」
そうヒメカが大きな声で言うので俺は彼女が指さす方を見て驚いた。
そこには両膝を地面につけうなだれているようにしているアルスがいたのだ。
そして彼の前には獣人族と思われる男性が血を流して倒れている。
「アルス、どうしたんだ!? 何があったんだ!?」
「アルス、あなたもしかして怪我をしているの!?」
ヒメカも心配してアルスに声をかけている。するとアルスは俺達の声に気づき後ろを振り向いたが、彼の頬には涙が流れているのだった。




