第19話 美少年アルス/ヒメカ
お父様に『予言書』を見せてもらってから数日が経つ。
相変わらず私とカズヒトは誰もいないところではラブラブで更に愛を育んでいたけど、1人になると寝つきが悪くなっていた。
最初は私達の関係を誰にも、あ、お父様は別だけど他の誰にも公表していない苛立ちから寝つきが悪いんだと思うようにしていたけど、それが原因ではないのは分かっている。
予言書の内容をカズヒトに伝えないまま、いつもと同じ幸せな日常をおくっているという罪悪感が寝つきの悪さの原因だと思う。しかし今の私は彼に予言書の内容を伝える勇気がない。
だってカズヒトは……
予言書の内容を知れば必ず私や国を守るために戦うはずだから……
いくら彼の身体能力値が999だからといっても安心できるはずがない。
もし万が一、彼の身に……そう考えると不安がこみ上げてくる。
だから私は予言書のことをカズヒトに伝えることはできなかった。
でもいずれは私から伝えなくてもお父様が彼に伝えることになるのでしょうけど……
【ある日のオオガミ剣術道場】
今日は私の剣術稽古の日。
カズヒトが『剣術大会』で優勝して直ぐに開いた剣術道場が王宮に一番近い町『アスカール』の一角にあり私は朝から訪れていた。
剣術大会で優勝したカズヒトには弟子がいる。
名前は『キービ・アルス』といい、ヤーマ人と獣人族のハーフで18歳の少年だ。
アルスは獣人族のハーフといっても猫のような大きな耳と尻尾が生えているくらいでその他はほとんどヤーマ人寄りの見た目をしていて身長も小柄で華奢な体系をしている。
でも顔は少年の顔というよりは『美少年』と言ったほう良いレベルなくらい綺麗な顔をして女の子の服装をしても誰も彼を男の子だと気づかないレベル……だから私が気にしすぎるだけかもしれないけど気が気じゃないの。
私のことをあれだけ愛してくれているカズヒトだし……それにあのカズヒトに『そんな趣味』はないとは思うけど、どちらかと言えばアルスの方がカズヒトに対する接し方がどことなく怪しいというか……
師匠に対するというよりも好きな人に対しての接し方に見えてしまうので、あんな可愛い顔をした美少年に迫られたら……カズヒトの心にグッときてしまったら……
まぁ、私の考えすぎだとは思うけど……うん、絶対に考えすぎだわ。
「おはようございます。ヒメカ王女にカズヒト師匠!」
「おはよ、アルス……」
「おお、おはよう、アルス」
な、何この子!?
日に日に服装が……肌が露出しすぎてない!?
「ア、アルス……あなたその服装は何? 上の服は胸のあたりをサラシのようなものを巻いて隠しているだけでお腹やおへそが丸出し……それに下は黒皮のショートパンツだなんて……これが今から剣術稽古をする人の服装なの?」
「え、僕の服装変ですか~? この方が動きやすいと思いまして……」
「でも普通サラシって胸じゃなくてお腹周りに巻くものじゃない!」
「まぁまぁヒメカ、いやヒメカ王女、お説教はそれくらいにして稽古を始めよう。俺はアルスの服装はとても動きやすそうで良いと思うしさ」
「カズヒト……」
本当にあなたは動きやすいという理由でアルスの大胆な服装を認めているの?
ほ、本当にそれだけなの?
「それでアルス? 前から思っていたんだがお前は体も小さくてそんなに力もあるわけではないし、だから普通の剣よりも短剣を使った方が合っていると思うんだがどうかな?」
「おーっ!! さっすが師匠です!! 実は僕もそう思いだしてきたところだったんですよ~! 師匠と同じ思いだなんて……まるで『両想い』ですね~!?」
ななな何を言ってるのこの子は!?




