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第18話 愛する人への思い/カズヒト

 ヒメカが少し潤んだ目をしながら俺を抱きしめてきた。


「おいおいヒメカ、まだ俺は仕事中なんだぞ……」


 でもそんなことを言いながらヒメカの髪の心地よい香りに癒される俺もいるのだが……


「ふーん、仕事中の人がバルコニーでボーっと外を眺めてたんだぁ」


「あ……ご、ごめん……」


「フフフ、冗談よ冗談……」


 たまにするヒメカの意地悪そうな表情もとても可愛いく思う。つくづくヒメカは俺にはもったいない女性だよ。俺みたいな人間がこんなにも幸せで良いんだろうか?


「はぁ……」


「カズヒト、どうしてため息なんてつくの? ここはカズヒトも私をギュッと抱きしめるところじゃないかしら?」

 

 ヒメカはそう言いながら頬を少し膨らませている。


 そんなヒメカの顔を見ていると俺は申し訳の無い気持ちになると同時に正直な気持ちを伝えないといけないという思いになった。


「正直に言うよ。俺はヒメカのことを心から愛している。ヒメカのためなら何だってできる。その思いが強くなればなるほど、俺はどうしようもなく辛い気持ちになってしまうんだ……」


「どうして辛くなっちゃうの!? 私達は両思いなのよ。カズヒトは何か思うところがあって結婚に対して躊躇しているみたいだけど、私はカズヒトと結婚したい! 私の旦那様はカズヒトしか考えられないわ! それにお父様だって……」


「え? タケル国王が何か言っているのかい?」


「い、いえ、それはそのぉ……また時期が来れば話すわ」


 ヒメカはそう言うと会話が途切れてしまった。そしてヒメカは俺の前に移動しながらそっと頬にキスをしてきた。


「ヒメカ……」


 そしてキスのあとヒメカは俺の胸に顔をうずめながら質問をしてきたのだが、その内容に少し驚いた。


「あのね……もし、もしもだけど、この国で戦争が起こったらカズヒトはどうする?」


「え? 戦争だって? 急にそんなことを言われると驚いてしまうけど……もしかして他国に何か不穏な動きでもあるのかい?」


 タケル国王が何か言っていたのだろうか?


「ううん、今のところはそんな報告は受けていないわ。でも……でもね、カズヒトも知っていると思うけど『魔族帝国』や『魔法連邦国』はいつ攻めてきても不思議ではない状況だというのは分かるよね?」


「あ、ああ……そうだな。いつ敵が攻めてきても大丈夫なように各連合王国の周りには最新兵器を配備しているし……」


「うん、そうよね。だからもし敵と戦争になった場合、カズヒトはどうするのかと思って……私は正直に言うとカズヒトを私の国の戦争に巻き込みたくないの」


「え?」


「だってそうでしょ? これはムーア大陸内での戦争であって異世界から来たカズヒトにはないも関係のないことだから……カズヒト

カズヒトが危険な目にあう必要なんて……」


「ヒメカ……」


 俺に対するヒメカの想いはとても嬉しい。でも……


「ヒメカ、俺のことを気遣ってくれてありがとう。でもさっき言ったように俺はヒメカのことを心から愛しているし、ヒメカのためならなんだってやるつもりだって言っただろ? だから仮にこの国で戦争が起きてしまってヒメカが危険な目に合うのなら俺は絶対に命懸けで君を守る。それだけは俺の中で決めていることなんだ。それにこの5年で俺はヤーマ連合王国が大好きになったし、もうこの国が俺の故郷なんだよ。だから俺の故郷を守るのは当然のことじゃないか?」


 魔力値ゼロの俺がどれだけのことができるのかは不安ではあるが……


「カズヒト、それでも私は……ううん、もうこの話は止めておくわ」


 ヒメカはそう言うと俺の胸に顔をうずめながら黙り込んだ。


 俺がこの世界に転移してきた理由……俺はずっと考えていた。

 そして出た答え……


 それはヒメカを守るためなんだと俺は思っている。いや、思いたいんだ。


 ギュッ


「カズヒト……」


 今度は俺からヒメカを強く抱きしめ彼女の唇にキスをした。


「愛してるよ、ヒメカ……」


「カズヒト……うん、私も愛してるわ。それでね……もうそろそろお仕事は終わりでいいんじゃないかなって思うのだけど、どうかな?」


 ヒメカが頬を赤くしながら言ってきたので俺は察しがついた。


「ハハハ、そうだな。今日の仕事は終わりにしよう……ヨシッ!」


「キャッ♡」


 俺はヒメカをお姫様抱っこし、別の部屋へと移動するのだった。


 ヒメカ……


 何があろうとも俺は絶対に愛する君を守るから……

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