第16話 オーガ一族の血/ヒメカ
私に国を救えるような力なんて何もない。
魔力値が高くたって何も滅亡を防ぐ為の役にはたたなさそうな感じだし……
それに私なんかよりも魔力値や身体能力値はお父様の方が上なのに……
「何故、お父様ではなく私なのでしょうか!? お母様は命を賭けてお父様をお守りしたのに……」
「セリカが私を守ってくれたのは救世主が現れるまで、ヒメカが成人するまで私にこの国やお前を守ってほしいと考えてのことだと思う。それに国王が不在の国というのは内乱が起こりやすくもなるし、外敵にも攻められやすい。それこそ滅亡の道を辿ってしまう恐れもある。だから私は国の求心力のために生かされたのだと思っているんだよ」
「でも私に奇跡を起こす力など……」
「ところでヒメカはカズヒトのことをどう思っているんだ?」
へっ!?
「おおおお父様!? ななな何で急にそんなことを聞かれるのですか!? 国の滅亡という大事なお話をしている時に!!」
「だからこそだよ」
「???」
「私はヒメカとカズヒトはお似合いだと思っているのだが肝心の2人がお互いをどう思っているのか気になってね」
お父様は『だからこそ』と言いながらこんな質問をされているみたいだけど、私には『だからなに?』って感じで意味が分からないわ。それに質問に対してどう答えて良いのかも分からないし……とりあえずありきたりの言葉を……
「カ、カズヒトはとても素敵な男性だと思います。勉強熱心で頭も良くて剣術も一流ですし……誰からにも好かれていて……」
一部、彼のことを嫌っている人間もいるみたいだけど。
「それだけかい?」
「へっ? い、いえ……えーっと、それにとても優しくて思いやりもあって……私の家庭教師もボディーガードも剣術指南役も全力で頑張ってくれていますし……」
「だから心から愛していると?」
「はい、心からって……えっ!? お父様何を言わせて……」
私は体中が熱くなってきた。
「ハハハ、私が何も気づかない鈍感な父親だと思っているのかい? 2人は数年前から付き合っているのだろ?」
「はい……え? えーっ!? ごごご存じだったのですか!?」
「ご存じだとも。まぁ、私は嬉しく思うがね。で、どこまで進んでいるんだ? キスはもうしたのかい?」
お父様、何でそんなことまで聞くのですか?
恥ずかしくてたまらないわ!
カズヒトがいた世界なら『セクハラ』というもので訴えられるのですよ!!
「まぁ、これ以上は聞かないでおこうか。いずれにしても2人は私が想像している以上の関係なのはよくわかったよ」
「お父様、私は何もお答えしていませんが!」
「ハハハ、心配しなくてもいいヒメカ。私は2人が結ばれることには大賛成だ。というかそうなってくれなくては困るんだ。だから2人はこれからもお互いに愛を育んでくれ。そうすれば『この世界の未来』も……いや、今日はこれくらいにしておこう。ヒメカ、今日は驚くような話ばかりですまなかった」
「い、いえそんなことは……でもこんな大事なお話を途中で止めてしまってもいいのですか?」
「ん? 2人の関係の話かい?」
「ちち違います! 人類滅亡のお話です!」
「その話はまた近いうちにしよう。それよりも今日は来客があるんじゃなかったのかい? 早く部屋に戻ったほうがいいだろう?」
はっ!! そうだった!!
部屋にはカズヒトしかいなかったんだわ。
あの3人がカズヒトに何か危害を与えたらってそれはないわね。逆に返り討ちにされるのがオチだし……でもそれもマズいから早く戻らないと。
「それではヒメカ、宮殿に戻ろうか」
「はい、お父様」
「部屋に戻ったら『ヒメカ専属パートナー君』によろしく言っておいてくれ。あと2人の関係を私が知っているということはまだ彼には伏せていた方が良いと思うぞ」
「はい、分かりました……って、へっ!? 私専属のパートナーですって!!??」




