第10話 ライバル達/カズヒト
「おい、カズヒト! ヒメカ王女はいつ戻ってくるんだ!?」
はぁ……面倒な奴らが来てしまったなぁ……
「さぁな……」
「おい、何度も言わせるんじゃないよ! ヒメカ王女はいつ戻ってくるんだよ!?」
「はぁぁあ? 俺がわかるわけないだろう」
「お、おい、その口の利き方はなんだ!? 俺は内務大臣モノーベ・ゴルドの長男、モノーベ・ダルゴ様だぞ!! そしてヒメカ王女とは幼馴染の間柄で……」
こいつは内務大臣の息子『モノーベ・ダルゴ』年齢は20歳で父親とは真逆で青い髪がフサフサしている俺より5つも年下の生意気な男だ。
「それがどうした? 俺は『ヒメカ王女専属家庭教師兼専属ボディーガード兼専属剣術指南役、大神和仁だが何か?』
「うぐっ」
「それに俺はお前の御父上である内務大臣ゴルド様のことはとても尊敬しているが、お前のことは何とも思っていない。俺に尊敬してもらいたければ、遊んでばかりしないでもっとこの国の為に働くんだな!」
「・・・・!!」
「ハッハッハ!! ダルゴよ、カズヒトにそこまで本当のことを言われると何も言えないな!! ハッハッハッハ!!」
今、ダルゴに向かって大笑いしているのが軍務大臣ソーガ・エイシの長男『ソーガ・カイシ』年齢はダルゴより1つ上の21歳だ。
「カズヒトよ。ダルゴはこんな男だが根は悪くないんだ。だから許してやってほしい」
「なんだ、カイシ! たった1歳しか変わらないのに何を年上ぶっているのだ!? それに根は悪くないだと? 心にも無いことをいとも簡単に言えたものだな!!」
「何だと、もう一度言ってみろ!? だがその時はお前の首が無いものと思え!!」
「ほらっ、簡単に本性を現したぞ」
「貴様!!」
「はぁ……2人とも、喧嘩をするならこの部屋から出て行ってくれないか? それとも俺が2人まとめて掃除ししてやろうか?」
「 「なっ、なんだと!?」 」
「やめるんだ2人とも!! お前達ではカズヒト殿には勝てないぞ」
今、2人を止めた男は宰相オットモー・ゲイルの長男『オットモー・グリス』年齢は3名の中では最年長の23歳だ。見た目は父親譲りで品があり性格も他の2人よりはマシだとは思うが何を考えているのか分からないタイプの男だ。
「グリス、身体能力値95の俺がカズヒトに勝てないだと!? 俺は父上に次ぐ身体能力値の持ち主なんだぞ!!」
「そうかもしれんが剣術はカズヒト殿の方が上だろう。先日の剣術大会ではカズヒト殿は圧倒的な強さで優勝したのだからな。カイシ、お前も決勝であっさりカズヒト殿に負けたではないか」
「そ、それは……あの日の俺は体調が悪かったというか……剣術だけの戦いで負けても納得できないというか……そうだ。そうなんだ。魔法も絡めた戦いなら俺は絶対にカズヒトには負けないぞ!!」
はぁ……情けない奴だ。俺が魔力値0というのを知っていてそんなことを言うのだからな……しかし、それでも俺は……
「カイシ、あなた最低ね!! カズヒトが魔力値0なのを知っててそんなことを言うなんて。男としてヤーマ連合王国の戦士として情けないと思わないの!?」
「 「 「ヒッ、ヒメカ王女!?」 」 」
おっ、やっとヒメカが戻ってきたぞ。これで少しは静かになるかもな。
「ちちち違うんだヒメカ王女!! これは言葉のアヤというか何というか……グリスが俺を煽るようなことを言うから……」
「私の責任にするんじゃないよ。ヒメカ王女の前でそんなことを言われるのはとても迷惑だな」
「グリス、貴様!!」
「ハハハ、俺を見下していたカイシが今はここにいる全員に見下されているようだな」
「ダルゴ、貴様まで!!」
「3人ともとりあえず静かにしてくれないかしら? ここはヤーマ連合王国王女の部屋なのよ。場所をわきまえなさい!!」
「 「 「ハッ、ハハッーーーッ!!」 」 」
ヒメカの鶴の一声で3人は我に返り片膝を床につけ頭を下げるのだった。
「でもカイシ、これだけは言っておくわ。もしあなたがカズヒトに向かって魔法を使用したとしても魔法発令前にあなたの首は飛んでいるから。私の専属パートナーを舐めないでよね!!」
「 「 「!!!」 」 」
ヒメカ……魔法発令前に首が飛ぶのは本当のことだが、『専属パートナー』ってのは何のことだ!?
これでは余計にあらぬ誤解を招くじゃないか!
まんざら嘘でもないんだが……




