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伝説の国を創った男

【とある国の屋敷】


 まさかこういう結果になるとはなぁ……


 この俺が『この世界』で『伝説の国を創った男』と呼ばれるようになるとは考えもしなかった。


 こういう結果になったのも『あの日』があればこそ……

 あの日がきっかけとなり始まったのだ。


 『あの世界』で偶然に……いや、今となっては必然的に『ヒメカ』と出会い……

 そして俺達はお互いに愛し合う関係になったからこそ……


 時間が経つのは本当に早いものだな。この俺が今年で60歳だからな。

 しかし『この時代の人間』としては長寿なほうかもしれないな。


 だからそろそろお迎えが来てもおかしくはないはずだ。

 まだ俺の内臓のほうは元気みたいだが、いかんせん体力や気力が無くなってきている。それに一番問題なのは頭の方だな。


 あれだけ貴重な経験をしながら『過去の記憶』が曖昧になってきるところがある。

 これは少し寂しい気持ちもある。


 よしっ……


 俺の記憶が完全に無くなってしまう前に……

 いや、俺の命が尽きる前にこれまでの激動の人生を振り返りながら『歴史書』みたいなものを書き残すのも悪くはないな。


 俺達が愛する者達を守る為に命を懸けて戦い、そして歩んできた歴史を後世の者達に少しでも知ってもらいたい……そんな思いになっている俺がいる。

 

 しかし……俺が歴史書なんてものを書いて後世まで残るのだろうか?


 いつの時代もこういった歴史文献というのは『時代の権力者』の都合のいいようにいとも簡単に捻じ曲げられるところがある。


 『真の歴史』が捏造されてしまうものだからな。


 奇跡的にそういったことから逃れたとしても時代時代の学者達の論争に巻き込まれたあげく最終的に間違った論評の方が教科書に記載されたりすることもある。


 現に俺が子供の頃に学んだ歴史がそれを証明しているではないか。


 だから俺が苦労して歩んできた本当の歴史を書き残したとしてもいつの間にかに間違った歴史に書き換えられる可能性は高いかもしれない。

 

 でも、そうなったとしてもそれは仕方がないし、未来の権力者や学者達に俺が文句を言えるわけがないからな。


 それにこの俺が大切な人達を守るために行動していた結果、『伝説の国を創った男』と呼ばれるようになってしまったのがそもそも信じられない話なのだから……


 しかし……


 もしかすると俺がこれから書こうとしている『歴史書』が先で書き換えられたとしても俺の様な少し皮肉れた性格の人間が『偽るの歴史書』の矛盾に気づき、正しい歴史へと導いてくれることだってあり得ることだ。


 自分で自分を皮肉れた性格と言うのも複雑な気持ちにはなるが実際そうだから否定できないし、この性格だからこそ、この激動の時代を乗り切りここまで来れたのだとも思う。


 そんな俺みたいな性格なんてごく一部の人間だけかもしれないが、遠い未来まで『本当の歴史』が正しく語り継がれることもあり得るかもしれない。


 だから俺は少しの期待を抱きながら『真の歴史』『伝説の国ができるまでの歴史』を書き記していこうと思う。


 愛するヒメカや信頼する仲間達、そして……

 俺達が共に苦難を乗り越えながら歩んできた道のりを真の歴史を後世に……



 俺が20歳の頃に『真の歴史』は始まった。


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