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第2章 第2節 ユカリの中学時代の思い出~ユカリのいじわる心

『あ、赤い糸を捕まえてくれた~!本当に運命の赤い糸ってあったんだ。星の王子様が本当に現れた!願いがなかったんだ!』


ユカリは、本気で思った。そして彼の顔を見た。


『年上、高校生かな?何か声をかけないと。でも何を話したらいいの』


ユカリは、彼が声をかけてくれたことが耳に入らず、ぽーっとして彼を見つめるだけだった。


すると、彼の表情が少し変わったことに気づき、ユカリははっとした。

そして慌てて答えた。


「ありがとう、お兄ちゃん・・・」


ユカリは思った。

『今日は、お気に入りのワンピや帽子をしていてよかった~。彼に大人っぽく見えてるかな?』


ユカリは、普段はそんなことは思いもしない。

しかし、神社でお祈りした後にイメージとおりの彼が現れ、「これは女神様が運命の赤い糸の人に巡り合わせてくれたんだ」と思い込んでいた。


ユカリは、彼を完全に運命の人、星の王子様、ナイトが現れたような妄想に近いくらい美化していた。


ユカリは声をかけようとした。

『やっぱり声かけるなんてできない、どうしよう、どうしよう』


ユカリは心の中で動転していた。


すると彼から話しかけた。

「よかったね。お嬢ちゃん」


ガ~ン

ユカリは衝撃を受けた。

ユカリは、ただでさえ小学生に見られることに強いコンプレックスを持っていた。


『お、おじょうちゃんって!少しは大人っぽくみえてるかなって思ってたのに~。

この人ってまるでデリカシーないじゃないの!』


理想と現実のギャップに、ユカリは珍しくむっとした。


再び、彼から声がかかった。

「お、お嬢ちゃん、どうしたのかな?」


カッチーン!

『また、お嬢ちゃんって・・・』


一目ぼれと焦りと自分勝手な思い込みが原因による失望の感情が同時に起きた。


『この人、運命の赤い糸の人でもナイトでも王子でもない!』


一目ぼれした相手に、いきなり全面否定された気分になって感情が交錯し、ユカリは本当に切れてしまった。


「お嬢ちゃん、お嬢ちゃんって、あたし、小学生じゃないもん!

これでも中学1年なんだから!」


いきなり、ユカリが切れてしまったので、彼は動揺した。


ユカリは言ってからはっとした。

『あ、あたしって何てこと言ってしまったんだろ。親切に風船取ってくれたのに』


すると、何と彼は謝ってきた。


「ごめん、ごめん、俺が悪かったから」


ユカリはびっくりした。

その彼をよく見ると身長は180cm近くあり、低身長のユカリからみれば、かなりの長身に見えた。


スラっとして細身だが意外と筋肉質。何かスポーツやっている感じ。


『けっこうかっこいいかも。悪い人じゃなさそう。

こんな私に謝るなんて優しい感じ・・・』


彼はじーっと私を見ている。


ユカリは再び、ぽっーとした。

内心は複雑だが、ユカリは、けっこう恋っぽい性格。


『どうしよう、完全に嫌われたかな。

今ので変な女って思われたかも。

謝ったほうがいいかな?もっとお話ししたいし。

よし、謝ろう!』


ユカリはそう思い、そっと彼の表情をそーっと覗いて見た。


しかし、彼の表情はさっき謝ったのとは裏腹にいかにも『面どくせーガキだな』という表情がはっきり顔に出ていた。


ムカー

『も~、やっぱりこの人、あたしを子供だとバカにしていた!

適当に謝ればやり過ごせるだろって顔している!』


ユカリは、さらにムカっとして、切れて彼に言った。


ユカリ「今、あたしのことガキみたいだって思ってたでしょ!」


彼「お、お嬢ちゃん、俺ね、別にそんなふうに見ていないよ」


ユカリ「ほら、また、お嬢ちゃんって言った。やっぱりガキだと思っていた~!」


彼「あ、本当にごめん、このとおり謝るから」


『一体、この人、何回謝るの?』


彼が焦っているのがよく伝わってきた。まるで子供のように困った顔をしていた。


『なんか、このお兄ちゃん、あたしに何度も頭下げている・・・。

へえ~けっこうかわいいところあるんだ・・・』


そんな彼を見て、ユカリに意地悪心が出てきた。

そして、彼に意地悪なことを言ってみた。


「何でそんなに謝る必要あるの?

やはりガキだって適当に謝れば収まりつくんじゃないかって思ったのね。

もう、絶対許さないから!!」


ユカリは、何も言い返せず、おじおじする彼を見て、彼がなんだかかわいく見えてきた。


『ナイトでも王子でもなかったけど、なんだかおもしろくなってきたかな・・・』


ユカリはそう思った。そして思わず吹き出してしまった。


「ぷ、あははは」

ユカリは何度も彼の謝っている姿がおかしく笑ってしまった。


さっきまでの緊張がすっかりとけてしまった。

ユカリは、緊張と安心と一目ぼれと怒りの感情がなくなり、ただ、大笑いした。


そしたら、彼も笑い出した。


「あははは」

「あははは」


二人は、その場でしばし笑っていた。


「まいったな、俺、すっかり騙されたよ」

「お兄ちゃんって、馬鹿正直ね。でもおもしろかったわ。」


「おもしかったって・・・。大人をからかうもんじゃないよ」


「何よ、お兄ちゃんだって高校生くらいじゃないの」


「俺、高校一年、君、小さいけど中1でしょ。

3つも違うよ。3つも違えばもう大人と子供」


「あ~、また小さいって言った~」


彼は、ギクッとした表情をした。

その表情をみて、ユカリは今度は微笑みを浮かべていった。


「ま、いいか。風船とってくれたしね。

よし、じゃあ、これで、ゆ・る・し・て・あ・げ・る」


彼は、ふう~って息をした。

そんな彼を見て、ユカリはくすっと笑った。


「そうだ、御礼にこの赤い風船、おにいちゃんにあげるよ!」

ユカリは、彼に風船を差し出した。


「いや、俺、ふう風船なんてもらっても困るから」

「はい、あげる!」


ユカリは彼の話をまるっきり無視するように、強引に彼の手を掴み、風船を握らせた。


「あたし、これで帰るから!それじゃあ、バイバイね~」


そういって、ユカリは走って階段を降りていった。


彼は、ユカリが理想の彼として思っていたナイトや星の王子様とは程遠かった。

でもユカリにとって、ここまでずけずけものを言え、自然に話ができた男性は生まれて初めてだった。

ユカリは彼に興味を持ち始めていた。


・・・

彼と別れ、おばあちゃんの家に着いた。


ユカリは、離れの自分の部屋の机に座って、永森神社での出会いを思い返していた。


「ナイトでも王子でもなかったけど・・・」

ユカリは今になって、彼を思い出したらドキドキしてきた。


「やっぱり、あたし、彼に恋してる!」

それは、ユカリにとっての初恋だった。


「赤い風船あげたから、これで赤い糸が繋がったかな?また会えてお話できたらいいな・・・」


ユカリは、その夜、胸が苦しくなって一睡もできなかった。



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