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笑顔の裏側  作者: スノーフレーク
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演者

スノーフレークです。

また連載始めまーす!

更新遅れたらすみません

「あなたはとてもいい子ね、嫌な仕事でも文句も言わずにやってくれるもの。」

「この仕事もよろしくね。」

母の声に私はただ笑顔で頷くだけ。文句なんて言わない、言えない。私に逆らう権利はない。

私は決して笑顔を崩さない。

何も楽しくないのに、ただただ私は笑顔という紙を顔に貼り付ける。

演者(わたし)は、「いい子」を演じる。

そうして誰にも言えないことが増えていく。



ジリジリジリ、ジリジリジリ。

空気を揺らす耳障りな音が、私に朝を告げる。

私は、もともと朝は強くない。それに、この身も凍えるような12月。尚更布団から出たくない。

でも、早く起きないと母親のヒステリックな叫び声と鉄拳が飛んでくるだろう。

だから…、私はまた笑顔を作り、元気な声で言う。

「お母さん、おはよう。 気持ちの良い朝だね。」

お母さんは眼を擦りながら言った。

「あー、天音、おはよー、早くご飯作れ。」

「はーい、すぐに作るから、待っててね。」

キッチンへ行って、食パンを一枚、スライスチーズを一枚とった。

食パンの上にチーズを乗せて、電子レンジに入れる。

タイマーを30秒に設定し、時間が経つのをぼーっと待った。

「ピーッ」

音がして、私はレンジからパンを取った。簡単ピザトーストの完成だ。

チーズが良い感じに溶けていて、美味しそう。

ピザトーストをお皿に乗せて、母親のところに持っていく。

たちまち母親は笑顔になった。

やっぱり、人の笑顔を見るのは嬉しいな。

「じゃ、いただきまーす!」

サクサクと、美味しそうな音と共に、トーストは減っていく。

幸せそうな姿を横目で見ながら、着替えと歯磨きを済ませ、髪を耳の下で2つにまとめる。


通学鞄を片手に、ドアを開けて外へ出た。

やっぱり、とても寒い。

北から吹く風が、まるで私を切り裂くかのようだ。

自転車に乗り、ひたすらペダルを回転させる。

2、3分続けると、私たちの通う中学校の大きな校舎が見えてきた。

ペダルにぐっと力をこめてこぐ。

…到着。

正門を通り、自転車から降りて駐輪所に停めた。

玄関で靴を脱ぎ、上靴に足をいれる。

「?!」

足を激痛が襲い、ほんのわずかだが血が出る感覚がした。

「画鋲…?」

呆れた、毎日毎日同じような事ばっかね。

それでも笑顔は崩さない。

黙って教室まで行く。ドアを開けて、中に入り、自分の席へ座る。

筆箱と問題集を取りだし、ひたすら問題を解く。

「カサッ」

ふと、机の上からそんな音がして、目を向けてみる。

そこには、丸められた紙があった。どうやら、誰かが投げたらしい。

まぁ、誰が投げたかは察しがつくけれど。

紙屑を開くと、殴り書きでこう書かれていた。

「杠、今日も学校に来てるの? ご苦労様。 よく来れるねー。 早く学校辞めろよ。て言うか死ね。」

毎日毎日…、しつこいなぁ。

どうせ私の上靴に画鋲を入れたのもあいつらだ。

「ご苦労様」はこっちの台詞だ。

それでも笑顔は崩さない。


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