第7話 『ヒト族』
ぱらぱらと本のめくる音がする。
王家の居館にある図書館。一人のエルフが長机の上に何冊か本を重ね、一冊の本を読んでいる。
読んでいる本の題名は「種族図鑑」著者はヒューマンの学者らしい。
俺は図書館の使用許可を得たので、この世界の情報を集めるため資料を漁っていた。見つけたのはヒト族の種族についてやエルフの王国の歴史、魔法入門書、創世記、冒険者ギルド発刊モンスター図鑑、英雄譚など。全ては無理なのでとりあえずは一番気になった「種族図鑑」を読んでいる。
ヒト族に該当する種族は、ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ノーム、ハーフリング、ドラゴニュート、巨人、獣人である。
ヒト族ではないが一定の条件を満たしている種族は亜人と呼ばれる。これに該当する種族は、マーマン、リザードマン、ケンタウロス、バグウォーリア、獣族など。
知能が低い、略奪を主として生活する、無差別に攻撃をするなどの種族は、魔物と呼ばれ、該当する種族はゴブリン、オーク、ハーピー、ラミアなど。
その獣は異常な自動回復速度を持ち、強固な皮膚、強靭な肉体、特殊な魔法適正、気性は荒く非常に凶暴。知性は個人差があり、そのほとんどが本能で動く。
これを魔獣と呼ぶ。
統一性のない外見で、ツノや翼、尾を生やしている。非常に高い身体能力と魔法適性を持っている。性格は残忍で殺戮や拷問を好む。これらを魔族と呼ぶ。魔族は大陸の東と近くの小大陸に陣取っており、英雄たちのおかげで勢力は衰えたものの未だにヒト族と争いを繰り返している。
幻獣とはその名の通り幻の存在である。目撃件数が少なくほとんど情報がない。魔獣の亜種という説が有力で、こちらは好戦的ではないようだ。
竜種。あらゆる生物の頂点に立つ者。翼のない者や、海中に住む者もいるが、ほとんどが四足歩行で翼を持っている。堅牢な鱗は生半可な攻撃や魔法を無力化する。その牙は最硬度の金属ですら砕き、その爪もまた容易く金属を切断する。属性の息は強力で一瞬で相手を死に至らしめる。長命で千単位の年月を生きることができる。その年月で培った叡智は様々な高位魔法を行使する。個体数は少なく、竜種の地、ファーヴハータ島や各地の遺跡で眠っていることが多い。
そして冒険者ギルドの役人達によって審議され、討伐、保護、観察対象に指定された生物、魔導生物のことをモンスターと呼び、主に魔族、魔物、魔獣、竜種、幻獣、希少な動物や植物も指定されることもある。
(色々な種族がいるな。人に魔族に竜か。まさにファンタジーの世界だ)
ここからはヒト族について詳しく書かれている。まずはヒューマンからだ。
ヒューマン。寿命は60〜100歳程度。平均的な身体能力、魔法適正はともに低い。が大きなばらつきがあり他の種族をも超える者もいる。知性は比較的高く、柔軟な思考を持ち様々な便利な道具を発明した。国は4つあり3つが大陸の中心に、1つは少し南の島国だ。種族内で国が分かれているのは2国だけであり、4つに分裂しているのはヒューマンだけである。ヒューマンは最も繁栄している種族であり、領地は広く、人口も多い。牧畜、栽培、交易、漁など幅広い分野で食料を確保している。それに伴い多数のギルドがあり、冒険者ギルドが最も有名。多種族とのハーフも多く所属しており、対応は国によって異なる。最後に、ヒューマンは基本的に個々では最弱の種族である。しかしてここまで繁栄できたのは、知恵を授けてくれた先達の方々と今を生きる不屈の精神を持った者たちのおかげである。そして「英雄」。彼らが居なかったら確実にヒューマンは滅び、他の種族もまた同じ結末が待って居たであろう。
「英雄」か。ユノも言っていたが相当な力を持っていたようだ。
エルフ。寿命は1000歳程でハイエルフとなったものは更に長い時を生きるが、正確な時はわからない。先祖は精霊で、身体能力、魔法適正が共に高く、知性も高い。更に長い耳が特徴的な容姿は整っており、「神の寵愛を受けし者たち」と呼ばれる。領地は広いが人口は少なく、森林地帯に住み、自然を大切にする。狩猟と採取を主として生活しており、弓の扱いに長けている。多種族との接触を避け、特に火を使うドワーフやヒューマンと仲が悪い。森の中に集落を形成し、文明レベルが低い―――というのは以前の話である。現在では国家を形成し、繁栄を謳歌しており、文明レベルはヒューマンに匹敵する。多種族との交流を深め、同盟を結んだ国はいくつかある。ドワーフとの仲は改善され、今では最高のパートナーとなっている。それは、エルフの領地に上質なミスリルの採れる鉱山があることが大きな要因だ。鉱山で地下での行動に優れるドワーフを高待遇で雇い、そこで採れたミスリルはドワーフの国では通常よりも安い価格で卸され、ヒューマンの国では高値で取引される。精錬や鋳造に使われる薪はエルフが提供し、エルフは安い価格でドワーフから武具を買う。犬猿の仲であった者たちが呉越同舟いや、一蓮托生の仲にまでなったことは本当に驚かされた。精霊樹の産地であり、ミスリルと共にエルフの国の稼ぎ頭である。多数のハーフがヒューマンの国に所属している。ダークエルフと呼ばれる異端の民もいる。
うわぁ。チート種族じゃん。長寿で高い身体能力と魔法適性、頭が良く、更には美形。ハイスペックすぎる。
ドワーフ。寿命は300〜400歳。身体能力は高く、魔法適性はヒューマンよりは高い程度。鍛治を得意とし、暑さに耐性がある。男性の見た目は髭をたくわえたおじさん。背は低く、寸胴の様な体型をしている。女性は幼女のような体型で、全盛期が長い。成長するとしかしハイドワーフとして生まれると、ヒューマンのような体型で引き締まった身体をしている。領地は山岳地帯が広がり、鉱山が多く、鉱業や鍛治が盛んに行われている。交易を主としており、武具や鉱石を輸出している。友好な国には人材を派遣したり、あとは出稼ぎに行く者、冒険者になる者もいる。岩肌の見える山が多く、食糧がすくないため厳しい土地でも生きることができるモンスターを狩るか、交易によって輸入することが多い。地下に大都市を築いており、そこに古代より継承されてきた魔法の鋳造炉がある。
つまり合法ロリか。素晴らしい。
ノーム。寿命は200〜250歳。身体能力、魔法適性は高いが、戦闘向きではない。体が小さく、ハーフリングよりも小さい。エルフと同じく先祖が精霊であるが、その力のほとんどは失われた。手先が器用で、優れた工芸技術や洋裁技術を持つ。主に調度品や衣服を輸出している。ノーム、ハーフリング、一部の獣人で連邦国を形成しており、エルフと同盟を結んでいる。
ハーフリング。寿命は100〜150歳。身体能力は高く、魔法適性はヒューマンと同程度。身長はヒューマンの半分ほどで、見た目は子供の姿をしている。専業戦士や冒険者、傭兵など戦闘関連に秀でた才能を持つ。見た目に反してが最も似合う種族である。国内では農耕や牧畜を担当し、兵士になる者も多くいる。小さきの英雄の話は人気があり、ヒューマンの国でも親しまれている。
この2種族は同じ国に所属しているのか。エルフとも同盟を結んでいるようだし、いつか会えそうだな。
ドラゴニュート。竜人。最強種たる竜の血を引く者たち。寿命はまちまちで100〜1000歳と、竜の血の濃さで変わる。身体能力、魔法適性もヒューマンの少し上程度から強力な魔族をも単騎で完封できる者までいる。個体数は少なく、連邦国の南にある強力なモンスターが蔓延る砂漠に住んでいるものが多いが、旅をするものもまた多い。食糧はあまり必要としないが主食はモンスター。見た目は体のあちこちに鱗があり、歯や爪は鋭く、小さなツノが生えているが服を着ればヒューマンと見間違えるほどだ。しかし、これは仮初めの姿であり、真の姿はまさに竜人。体のほとんどが鱗に覆われ、爪はさらに鋭く、ツノは相手を威圧する大きなものに変わる。翼と尾が生え、口からは属性の息を吐く。この形態は竜の血の濃さでその姿が変化する。濃ければ濃いほど竜の姿に近くなり、思考が単純化する。これはヒトという矮小な体に強大な竜種の血が流れているからであり、コントロールを失えば頭の悪い蜥蜴へと成り下がる。
おお。変身に暴走。男のロマンだな。
巨人。寿命は1500歳程。強靭な肉体は岩のように頑丈であり、身体能力は圧倒的だ。しかし、魔法の適性はほとんどなく、知能も低い。ただし知能は個体差あり。身長は15〜20m程でもっと大きい者もいる。原始的な生活をしており、個体数も少ない。生活の場所はギガス島と呼ばれる島で、あまり頻繁に食事はとらないが、一度に多く食べる。他の大地での目撃談はないが、神話などには巨人が出てくるものが多い。暗い話になるが昔はヒューマンに奴隷として捕らえられ、城門の警備などを強制的にやされていた。
巨人ね。島にだけいるのか。それにしても奴隷か。胸糞悪いな。巨人だけではないが今はどうなのだろう。エルフが奴隷にされるイメージはあるが。
獣人。寿命は60〜100歳。身体能力が優れており、魔法適性は低い。見た目は様々だがどれも動物の尻尾や耳などの部位を持ち、頭部が獣の者もいる。獣人と獣族は混同されがちだが、獣人はヒューマンのような骨格をしているが、獣族は獣をそのまま二足歩行させたような姿をしている。獣人の国は弱肉強食の世界で、弱き者は奴隷のように扱われ、酷い時は食糧となる。ほとんどの草食の獣人は弱く、立場は低いものだった。耐えかねた者たちは国を捨て新天地を目指し、はるか南西の小大陸に安住の地を見つけた。そうして獣人は二つに分かれ、東はライカンスロープ、西はウェアビーストと呼ばれるようになった。
・ライカンスロープ。血の気の多い者たち。闘いを楽しみ、ヒューマンの国との国境と魔族との戦線で戦争を頻発している。冒険者になった者は比較的常識を持っている。肉食が多いが強力な草食の勢力もある。ちなみにヒューマンの肉はまずいそうだ。
・ウェアビースト。優しい者たち。戦を好まず、協調を重視する者が多い。連邦国に所属しており、植林や狩猟、採取を担当している。兵士になる者も多くはないがいる。肉食もいる。
ほうほう。なかなかダークな国だったのか。寿命は以外と短いんだな。ケモ耳娘を早く見たい。
「ふう」
ヒト族はここまでのようだキリの良いところで少し休憩する。やはり本を読むのはいいな。んーと声を出しながら体を伸ばし凝っていた筋肉をほぐす。
すると横から机に黒い液体の入ったカップ――コーヒーが置かれる。
「どうぞ」
少しぶっきらぼうな女性の声。見ると知的な印象を受ける赤縁メガネをかけた女性が立っている。髪の色は青みがかった暗い灰色で瞳は水色。顔は無表情で、冷たい雰囲気がある。クールビューティというやつだ。背は俺ほどではないが高く170cmくらいだろう。
この人はキーラ・テスカルデ。この図書室の司書さんだ。格好はいかにも司書といった風で、緑色のエプロンをつけ、黒のパンツに白のブラウスを着ている。
「ありがとうございます」
にこり、とよそ行きスマイルをしておく。
キーラは無表情のまま頭を下げると受付の方へ戻っていく。温度差が悲しい。
(じゃあとりあえずはコーヒーブレイクといくかな)
砂糖を幾らか入れたコーヒーを飲み始める。
ほぼ説明。設定考えるのは楽しいですが、読んでる人はどうなのか…
地図は描いたのでキャラの設定画(顔だけ)と一緒に後々出したいです。




