プロローグ 上 『青年は考える』
「ただいまー」
誰もいない部屋に声をかける。もちろん返事はない。もはや癖となってしまった独り言。
「・・・」
一人暮らしを始めて1年と数ヶ月。同時に仕事を始めてから1年と数ヶ月が過ぎた。
・・・もうすぐ二十歳か。
高校時代、大学はめんどくさいと思っていたが今では逆に羨ましい。去年の夏、数少ない友人から夏休みを満喫していると言うメールが届いた時はキレそうだった。
俺は高卒で今は三交代制の工場に勤めている。何故ここに決めてしまったのか...
今日は夜勤明け。眠い。頭がいたい。
・・・ものづくりが好きだったという理由で入ったのは間違えだったな...
辞めるつもりは今の所ない。だがこの生活が数十年続くというのは、今から考えるだけでさらに頭がいたくなる。
冷蔵庫の中にあるものを適当に食べる。服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる。
・・・いつも通りだ。
タンスにあるTシャツとパンツに着替える。
その後スマホをいじり、少し小説を読む。
・・・いつも通りの日常。
布団を敷き、そこに転がる。そして少し考える。
昼に起き、会社へ行く。深夜に帰宅し昼まで寝る。休日はぐだぐだ過ごし、また一週間が始まる。仕事の時間帯は変わるが、同じことの繰り返し。
正直つらい。
生きていく以上仕事はしなくてはならない。だがそこまでして生きる価値があるのか?
・・・遠くの国では戦争が起きているところがあるらしい。食べ物がなく餓死するこどもがいるらしい。金がなく病気を直せない人がいるらしい。
普通の人に話したらお前は贅沢だ、その人たちに比べたら幸せだと言うだろう。
だがこんな生活を幸福だと言うのだろうか?
「だったら転職しろやとか言われそうだな」
と一人で苦笑する。
友人達の顔を思い浮かべる。小学校の頃からの仲のやつ。中学からのやつ。高校からはみんな別の学校だったな。
外を走り回ったのはいつまでだっただろう。中学時代は俺の家に集まりゲームをしたな。高校は集まる機会は減ったがたまに遊んだよな。今も交流のあるやつもいる。
・・・学生時代は楽しかった。良くも悪くも自由な時間がたくさんあった。休み時間にアニメやゲームの話で盛り上がったことがあった。放課後、悪い点のテストを見せびらかしたことがあった。雨の中をチャリで帰ったこともあったっけ。
だが、今はどうだろうか?あれだけやっていたゲームは飽きてしまった。友人とは時間が合わなくなってきた。ただ車で会社を行ったり来たりする日々。
両親は自分の時間を削って俺を育ててくれたのか。
「親の大変さがわかったよ」
ここにいない両親に語りかける。俺は生涯独身で結構だ。
・・・俺自殺でもするのか?
死にたいわけではない。かといって無理して生きたいとは思わない。そんな感じだ。
午前5時、日の出だ。すこし眠くなってきた。
天井を見ながら呟く。
「つまらない世界だ」
「どこか遠くの誰も知らない辺境へ行きたいものだ」
そう言って俺は目を閉じた。
―――『世界への接続を解除。』
―――『炉心を解体、再構築を開始。』
―――『炉心、身体の構築完了。』
―――『身体機能制限を80%に設定。』
―――『他世界への最適化、領域の安定化確認。』
スマホのアラームで目を覚ます。
目を覚ますとそこは森の中だった。
「やったぜ。」
初投稿です。思いついたことを頭の中でこねくり回して書いています。
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。ありません。




