奇跡の金髪少女
年末、寒い冬の季節ではあるが、
坂上家にホームステイすることになったサンチェス一家。
その娘であるアンドレア・真緒・サンチェス。
大夢とは2年年下だ。
つまり、大夢の妹と同級生である。
真緒の父は大夢の父の兄弟の息子であり、
真緒にとっては大夢は祖父の兄弟の息子だ。
わかりやすく言うと、日系3世のクォーターだ。
そんな縁もあってか、わざわざベネズエラから日本に移住し、
遂に坂上家の近所に家が立つところまで実現できた。
2学期の途中から不登校だったあゆみは、
遊ぶ友達もおらず若干心細かった。
しかし、真緒の存在が彼女を助けてくれた。
真緒の父も中南米の独立リーグで野球選手だった。
そんな父の影響を受けた真緒は小さい頃から大の野球好き。
ベネズエラ出身ではあるが、
米国フロリダ州に一時暮らしてたこともあり、思い入れもある。
そのためマイアミマーリンズのファンだそうだ。
真緒はスペイン語と日本語と英語を話すトリリンガルでもある。
日本国内でも複数の言語を操る人間は中々いないだろう。
むしろ一つの言語で精一杯なはずだ。
真緒はあゆみに英語を教えた。
あゆみもまた真緒に日本語とマナーを教えた。
あゆみの母にそこまで真面目じゃないでしょ、と突っ込まれると、
2人は大笑いした。
真緒は身体能力も高く、
榛名中では陸上部に所属する。
特にストイックというわけでもないが、
陽気なラテン気質なのか、
今を楽しめれば良い、という感じだった。
金髪というよりちょっと茶色かかった髪の色と、
ちょっと薄い褐色肌。
スタイルも良くて校内ではまたたく間に有名になっていった。
もちろん野球が好きなもんだから、
ソフトボールにも積極的だ。
あゆみのピッチングに何一つ嫌な顔せず黙々と受けていた。
一球一球に魂を感じたようだった。
学校生活で多忙な大夢に会えることも楽しみにしていた。
言うまでもなくBIG DREAMの主人公である。
この日、大夢は部活が早上がりになるそうで、
真緒は大夢の人物像を想像していた。
ぽっちゃりだけど筋肉質なあゆみの兄は
長身でマッチョな姿ではないかと期待していた。
身長190センチ?いやいやそこはご想像にお任せしますよ(笑)
大夢は帰ってくると部屋に居たのはあゆみと真緒だった。
「ただいまー」
「おかえりー」
あゆみがいるのはわかる。
問題はそのもう一人だ。
そうか、この子がその真緒ちゃんだな。
「はじめまして、妹が世話になってます。兄の坂上大夢です。」
真緒の第一声は、
「わあああああああ、ネコが喋ったあああああああ!!」
大夢はキョトンとした。
「は?」
あゆみは大夢の耳元で、
「ほら、にゃーんって言って」
せっかくだから大夢は乗ってみた。
「にゃ、にゃーん」
期待していたのとは違ったが、真緒はテンションが上がった。
「今日から私のペットね!ささ、お風呂入って背中流してあげる!」
「ちょ、ちょっと、あんた恥ずかしくねーのかよ!」
「良いじゃんかー、背中流すくらいどうってことないわよ!それに一応親戚だし!」
「ははっ、いいか、前ちゃんと隠せばどうってこと・・・」
「隠さなくていいわよ!私こういうのは慣れてるし!」
「ええーっ(;゜Д゜)」
これ以上はヤバいのでやめておこう。
大夢と裕登の会話。
「ってことが昨日あったんだよ・・・」
「ええーっ(;゜Д゜) 羨ましいではないか(;゜Д゜)」
「反応に困った時の俺の顔すんなし・・・信じ難いかもしれないけどとにかくまた家族が増えたんだよ」
「いや、俺は信じるよ!だって大夢はイケメンだし体力あるし成績優秀だし、そんな特権持っててもおかしくないし!」
「ははっ、俺はそのつもりなんて全くないけどな。」
「トラとライオンに束縛されてるネコみたいだな!」
「裕登お決まりの妄想が膨らんできたぞ」
「いいか、大夢!明日からネコミミつけて学校に来い!」
「そっちかい!」