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BIG DREAM(7)  作者: ひでかづ
10/11

反撃 後編

「5回の裏 高崎商業の攻撃は」

屈伸して打席に向かう大夢。

「2番 レフト 坂上君」


2打席目とは違い、ベンチの指示はどんな形でも良いから出塁しろとのことだ。

また、ビッグイニングを作れる可能性を見出したのだろう。

大夢は落ち着いて球を見極める。

際どいコースはカットする。

粘って8球目選んでフォアボール。

ここでも大夢はガッツポーズをしなかった。

なぜなら大夢の中では塁に出たからには必ず本塁に還るという構想があったからだ。


機動破壊でお馴染みの健大高崎との練習試合。

大夢は一人一人の走塁意識の高さに感銘を受け、研究する。

偵察して強豪私立を打ち負かそうという意味合いはない。

ただ、よいところを積極的に取り入れて実践に活かそうとする気概があった。

隙があればすぐに先の先まで塁を進める。

先に塁を進めるだけではない。

野球に100%というものは存在しない。

例えば、ピッチャーは足の速いランナーを警戒して牽制をする。

その中で相手のミスを誘うことも戦略のうちだ。

まぁレベルの高い大会ほどあまり期待するものではないが。

実際にその策がハマったこともある。

そんな自信が、本番に強い大夢を作ったのだろう。


ノーアウト1、3塁。

「4番 サード 前田君」

前田は新2年ながら4番を任せられる打力と守備に定評がある。

本職はキャッチャーだが、キャプテン島田と山田が控えており、層は厚い。

田が付くのだからせめてやらせてくれても良いのだが・・・。

それはチームの方針だから何とも言えないのが現実。

肩は強かった。スローイングは安定しており、安心して内野を任せられる。


恒輝はインコースにめっぽう強く、

小豆島バッテリーは長打警戒のため、外角中心の配球に。

ツーボールノーストライク。

3球目だった。

バッテリーは集中していた。

しかし、それが仇となった。

恒輝の目の前には大夢がいた。

どういうわけか。


なんと、ホームスチールを決めたのだ。

スタートを切っていたにも関わらず声掛けが遅かった。

いや、そもそも一歩目が速かった。

キャッチャーがピッチャーにボールを返そうとした時には遅かった。

5点目が成立した。

その隙を見て1塁ランナーは2塁へ。


そこからビッグイニング到来。

6点目も入り、ワンナウト満塁の場面。

「バッター 浦野君に代わりまして 三島君 背番号7」

送りバントにより凡退した神津はキャッチボールしている。

つまり、6回からエースの神津がマウンドに上がり、代打の三島はライトを守る予定だ。

あれ、ランナーは前田、山田、島田、と田の付く奴ばかりじゃないか、

誰がキャッチャーやってるんだ。

キャッチャー、とまではいかなくとも、

ブルペンキャッチャーならキャッチングの良い内野手に任せることもできる。

本来ならスタメンの星野と笹山が、神津と黒岩のキャッチボール相手をしていた。

神津は外野守備からマウンドに上がるので、何が起こるかわからない。

そのもしもに備えて黒岩の存在という保険をかけていた。

何とも気の利くチームだ。こういうのが今の企業にもあってもいいのではないか。

そんな見解はさておき、野球に戻る。


信じられない出来事はここだった。

ここのところ不振でスタメンを外されていた三島君ではあったが、

なんとワンナウト満塁から走者一掃のツーベースで逆転を果たしたのだ。

8ー9。高商リードに変わった。

その後もチャンスを作り、大夢はこの回2度目の打席に向かう。

また信じられないことが起こった。

同じくワンナウト満塁の場面。

小豆島のピッチャーが代ったとはいえ、

初球を走者一掃のスリーベースでまた追加点を挙げた。

またまたアンビリバボーな現象が続く。

3番清水を打ち取って4番恒輝。

キャッチャーはホームスチールを警戒してインコースを攻める。

しかし、恒輝は引っ張ってレフト方向に鋭い当たりを放つ。

ファウルではあったが、小豆島は完全に動揺していた。

変化球がワンバウンドでアウトコースにそれる。


そこでまた信じられないことが・・・。

いや、可能性はあった。

まさかの、大夢のホームスチール、しかも二度目・・・。

1試合に2盗塁決めるだけでも凄いのに1イニングで、

しかも2回ともホームスチールを決めるのはおそらく甲子園史上初なのでは。

高商はこの回9点目を挙げた。8ー13で5点リードになった。


実は恒輝が強い当たりのファールを放った時、

小豆島のキャッチャーがマウンドに駆け寄った時にピッチャーと話していた。

「やっぱあかんわ。これだけ離されたとはいえ、1点と2点どっちが大事や」

「そらもうホームスチールされた方がまだマシやわ。ベストは点取られんことやけどな」

意外に小心者だったという一説もあるのだが。


結局この試合、小豆島も意地を見せるも及ばず。

激戦の末、12ー14で高崎商業が準々決勝に勝ち進んだ。

次の相手は市立船橋。

豪速球投手宮間を擁し、安定感のある守備、攻守バランスの良さが持ち味のチームだ。

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