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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一一章:それぞれの想い
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11-02 これから何処に行くというの

 一足先に出発した機械娘に調整された津田美咲と菊池優実の二人はサイバーテック東京本社の敷地内にある研修施設に泊まっていた。この施設ではパワードスーツ装着の訓練設備や工場が併設されていた。


 サイバーテックはグローバル・コーポレーションのグループ企業のひとつであった。グローバル・コーポレーションは元々サイバーテックの不動産管理会社であったが、事業の多角化にともない様々な業種に進出し現在では巨大多国籍企業に成長していた。いわば子供が大きくなって全てを飲み込んだというわけだ。そうなったのもパワードスーツやパワーローター、アンドロイドの製造販売だけでなく、世界同時多発戦争で疲弊した企業を”救済”の名目で買収したが、これらはパワードスーツやアンドロイドのほか、核融合プラントを実用化したことで、巨大な利益を使うことが出来たことが大きかった。


 この時、二人の衣装は対照的だった。優実は機械娘のままであったが、美咲はリクルートスーツのようなものを着ていた。しかも薫のプレゼントだった。なんでも機械娘に調整するために実測したデータで特別にオーダーメードしたのだという。


 「あのう、このスーツわたしにくれるということで本当にいいのですか? こんな高価そうな生地ですが? 」と美咲は服の感触を確認するかのように触りながら優実に質問していた。この時、美咲はスーツの下はGインナースーツを着たままであった。


 「なんでもサイバーテックの社長、いやグローバル・コーポレーションのCEOがあなたに会いたいとおっしゃっていてね、非武装エリア内にCEO執務室があるので機械娘の姿では入れないそうよ。それでうちの薫が急いであなたの衣装を用意したそうよ。なんでもあなたにとっていい話とお願いしたいことがあるということだそうです」と答えた。


 いくら美咲が優秀な学生とはいえ、巨大企業の経営者がわざわざ時間を割いて会見しようとしているのかが不思議だと優実は思っていた。実は優実はCEOに会ったことはなかった。なおCEOは薫の養父であった。


 「あなたはねえ、CEO執務室の秘書が迎えに来るから、案内されるところに行ってほしいというそうです。それと、予定ですがあなたの機械娘の衣装ですが東京本社研究部で大幅に改良するそうですので楽しみにしていてください」と優実は美咲を説得するようにいっていた。


 優実は薫の機械娘を開発した目的を知っていた。その時ひとつの考えが浮かんできた。本当はCEOは美咲を機械娘から外したいと思っているのではないかと。


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