表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/130

車中にて機械娘は

 サイバーテック松山本社の望月宏はこれが社内で噂の機械娘だと思うと興奮を隠しきれなかった。パワードスーツを大量に製造販売しているメーカーとはいえ、軍事用の大型機種と同等かそれ以上の性能があるのに、大きさがほぼ人の背丈だし、しかも中には若い女性が入っているという。「中身」はさすがにわからないが、昔見た「ガーディアン・エンジェル」とその模倣作品と同じコンセプトなので、なんとなく興味があった。


 カンナはタブレットで本国の国防部と連絡を取っていた。これは薫も許可を出しているが、非公式には今回の薫の”奴ら”に対する計画は、自衛隊と国家情報部、SEAF国防部と国連軍東亜方面司令部も協力しているが、あくまで薫達が個人的に全てを担当していることになるはずだった。


 「それにしても、あなたたちは機械になりきっているわね。わたしなんかプロモーション用のパワードスーツを着ただけでいやになったわよ」と聖美と真実に話しかけていた。実はカンナが薫たちのグループに潜入したかであるが、拳銃やレールガンの扱い方が超一流だったためだ。それで警護に最適だとされたが現状ではいかなる武器の所持もできないので宝の持ち腐れであった。


 聖美はどんどん兵器としての機械に近づいている今が怖かったが、その反面父や秋村先輩など多くの人々を死に追いやった”奴ら”と対峙する日が近くなっている方が恐ろしかった。苫米地指令の話では僅かな期間で終了することしか行なわないということなので、すぐもとの生活に戻れるということだったが、不安でいっぱいだった。


 「このバイトが終わったら、早く看護師の資格をとって就職しよう。そのほうが母さんが安心するだろうから。でもそんな日がくるのだろうか?」と、まだ何も知らない真実をみつめていた。


 真実のほうは「東京でイベントに参加する予定」という言葉を聞いて楽しみで仕方なかった。それがどんな内容かを知らないのにだ。どうも楽しいイベントだと思っているようだった。そのため真実は機械娘なのになんだかおどけた行動をしていた。


 真実を見ながら聖美は「何も知らないということは、どんだけ幸せということなんだろうか。どうも真実はそれほど作戦に参加しないようだから良いけど、美由紀や美咲は大丈夫なんだろうか? 」と、この車中にいない二人のことを思っていた。


 二人を乗せたガイノイド運搬車は東に向かっていた。「美貌の都」といわれている東京に向けて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ