表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第九章:急変する状況の中で
67/130

09-07 今井泰三との邂逅

 「まあ忘れていてもしかたないなあ。俺があんたに会ったのは大戦前だからなあ。たしかあんたが六歳だったからな。俺に対してあんたは、日本人は母さんと祖父母以外は嫌いだなんていうから、ほとんど顔を会わせてもらえなかったからな。あの時あんたみたいな娘が自分の子になればいいのにと思ったものだよ」といった。彼は薫と会ったことがあるというのだ。薫は幼い遠い日の事を思い出した。たしか熊のような大男の日本人と母に似たおばちゃんが北京の家に来たことを。たしか私はあの日泣き出していたのだ、日本人は怖いといって。まあ今では完全に日本人だけど。


 そう驚いている薫に対し泰三はさらに畳み掛けることを続けたのだ、その時薫はいつのまにか自分が電脳になっていた事以来の衝撃を受けてしまった。「俺の家内はあんたの母の江藤香織と従姉妹だったんだよ、だから俺んところの美由紀はあんたのハトコだ。北京に行ったあの時あんたの母から卵巣から卵子を提供してもらうために行ってたんだ。家内が卵巣の病気で卵子が出来なくなっていたので、家内の頼みで卵子をもらったんだ。あの時もらった卵子を何度か失敗したけど最後の卵子を体外受精して生まれたのが美由紀だ。だから美由紀は生物学的にはあんたの父親違いの妹だ! 」


 さすがの薫も驚いてしまった、自分に血が繋がった妹がいたことを。無論、民法上は姉妹とは認められることはないが、生物学的にはDNAに共通点多いわけだ。だから薫と美由紀の体型が酷似していたことは不思議でもなかった。「それじゃ、あなたの娘さんと私は姉妹だというわけですか? 確かに彼女と似ているなあとは思っていたのですが、私も知りませんでした。母が卵子を提供したこともですが」と言うのがやっとだった。


 無論、薫はスパイが入りこまないようにするため、美由紀の事は様々なことを調べたが、まさか今井家と江藤家は親族だったとは薫も気が付いていなかった。しかも血を分けた妹とは。どうりで体格も顔の作りも似ていたわけだ。


 泰三は用意されたコーヒーを飲みながら「まあ、アンタのことは美由紀に話したことはないから知らないよ。でもなんとかレディーに出演していたアンタを憧れた時にも言ってないし。ハトコとはいえ付き合いがないから言ってないよ。あんたと違い俺の娘だから頭の出来は悪いけどもしかたないさ。まああんたのように大人の色気のある女に成長してくれたのはうれしいけど」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ