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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第九章:急変する状況の中で
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09-05 美由紀の誕生日

 朝、研究所に戻った一行は夕方すぎには東京本社に向かわなければならなかった。そのため慌しく準備が行なわれていた。一方で一週間から二週間のお盆休みになる研究員がいるほか、この日を最後に研究所に来る事がない研究員もいた。そう研究所が閉鎖になるからだ。


 それにかわり、ここは「岡山事業所」になるよていだったので、新たに責任者になる福井智美と打ち合わせていた。研究所では「福井のおばちゃん」と呼ばれる69歳の女性で、サイバーテック・ロイド社には大戦前から勤務している古参社員だった。以前は本社の工場で管理職をしていたが今はアンドロイドが製造する製品の管理をしていた。そもそも、この研究所は福井の母校だったのを買収したものだった。


 「福井のおばちゃん、これから留守にしますがお願いします。研究設備の撤去は進めていますが、本格的な工事は九月にはいってから行います。十月にはここも完全に工場になります。その時には私らは他所に異動していますので、その後は頑張ってください」と前田所長が話をしていた。


 「それはそうと、あなたは十月から何をされるのですか? 所長を解任ということは無職になるのですか? 私はいいですがあなたはどうされるのですか? 」と心配そうな声で福井が尋ねてきた。すると「まあ、十月になったら今後の事はふたりで考えますよ。今は私にも夢がありますし、やりたいこともありますから」といって窓の外を見ていた。外はもくもくと立ち上る入道雲が山並みから立ち上るようにみえていた。「この風景も、所長としてみれるのは最後ということだな」と呟いていた。


  8月11日は美由紀の19歳の誕生日だった。本当なら富山の実家に帰省しなければならなかったのに今は機械娘になっている。とてもじゃないが両親に見せれないと思う姿だった。なにせ、父は大がつくほどのパワードスーツ嫌いだった。なぜか陸自の機兵隊員と喧嘩するぐらいだったが、その理由は美由紀にもわからなかった。機械娘になって一週間がたち美由紀の身体は機械娘になじんでいた。生まれた時からこの身体で、これからもずっとこのままでいたいと思うほどだった。


 取りあえず両親には「大手メーカーのサイバーテック・ロイドの開発プロジェクトのお手伝いをするバイトをしている」といって、民法が大戦後に改正され成人年齢が18歳になっているので、本来は問題はなかったが、一応雇用契約承諾書の署名をしてもらったが、バイトの詳しい内容は教えていなかった。もっとも詳しくは美由紀もしらなかったのであるが。


 この日の朝、母から電話があった。誕生日おめでとうという挨拶もそこそこに本題に入った。「あんたねえ、バイトをするとは聞いたけど本当のところは何のバイトなの。まさか怪しいものではないでしょうね。それと父さんはものすごく心配していたよ、大事な一人娘なのに夏休みに帰省しないと怒っていたよ。だから昨日ね仕事が終わって晩御飯を食べた後寝る前になってから、そのままトラックであんたの所にいったようなの。大丈夫だと思うけど父さんとはくれぐれも喧嘩しないでね」と言った。父はこっちに向かっているようだった。

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