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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第九章:急変する状況の中で
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09-04 ”奴ら”の眼

 カンナの雇用契約はこの日で打ち切られていた。ただし引き続き東国国防省から派遣された警護官として機械娘の身辺警備にあたることになった。本来なら日本側が身辺警護をあたるべきだが、”奴ら”にばれないようにするため、あえてそのままにする事が方針であったからだ。だから美由紀らにもその事は伏せられていた。


 深夜「近くのコンビニにビールを買ってきます」といって山崎麻美はゲストハウスを出て行った。演習場近くの街道沿いにあるコンビニに車で向かったが、途中で若いカップルが乗った乗用車が付いてきていた。コンビニで買い物を済ませると何故か二台の車は街道をハズレ、今は使われていない潰れた養鶏場の建物の脇に止まった。


 麻美はそのカップルの車に乗り込んでいきなり話を始めた。「15日のサバイバルゲームは中止して! もう連絡は行っている筈だけどドールガールは美貌の都にいくそうだ。だから21日朝にしようよ! 」との謎の言葉を語った。全て暗号のようだった。


 車内の二人は「サバイバルゲームは中止なのか。それは残念だな。まあ機会さえあれば美貌の都にいる誰かが遊ぶだろうけどな。まあ21日にはこっちも遊ぼうぜ! 」と男は言うと麻美から葉書を受け取った。ここには残暑見舞いの挨拶に偽造した特殊なフィルムが貼っており、中には研究所の資料が入ったフィルムが隠してあった。


 「これをボスに送って頂戴、メールじゃあの前田と江藤にばれるから。サバイバルゲームでドールガール共々始末したら大金を貰ってオーストラリアでも移住しようね」といって麻美は出て行った。彼らは”奴ら”の息がかかった者だった。このことは既に薫も認知していたがあえて泳がしていた。


 一方、薫は祐三と一緒の部屋にいた。「山崎がスパイだったとは信じたくなかったけど仕方ないね。」といった。少し前に研究所近くでDNAの検出が不可能なまでに破損した人間らしき遺体の一部が発見されていたが、極僅かに残っていた遺留物から”本物の”山崎麻美の可能性があるという報告が薫の元に寄せられていた。


 「彼女は、”奴ら”のスパイなのは確実だ。そろそろ我々に対し実力行使を仕掛けるのは時間の問題だ。気付かない振りをしていたら問題なかった時期は過ぎ去った。これからはこちらからも仕掛けなければいけないだろう。勝負は東京から戻る時だ。その時には少しでも”奴ら”の息がかかったものを押さえつければいいのだが」と外の窓を見ていた。遠くから麻美が乗った車が戻ってきているのが見えてきた。


 「まあ、せいぜい言いふらしてもらってきたようだ。どうせこっちを叩き潰そうとするだろうな。まあ行過ぎたアンドロイド・アウトソーシングを推し進める研究施設襲撃という名目でも使うだろうが、返り討ちにしてやる」といって祐三はカーテンを閉めた。

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