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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第九章:急変する状況の中で
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09-02 薫の挨拶

 三日間の演習で、聖美は昔の自衛隊時代の感を取り戻していたが、あくまで苫米地指令がいうところの秋村先輩の敵討ちのためという動機であった。そのため聖美も元の生活に戻ったうえ弟が健康に戻ることだけが望みだった。苫米地指令は復帰するようにと促されたが、取りあえず今は新しい強化服の性能試験には協力するけど、それ以降の事は自分にも何が最良なのかわからなかった。


 美由紀はあの松山の事を思い出していた。今までおくてなので異性とあまり付き合っていなかったが、彼だけは例外であったのに、相当会わないうちに大人になっていたことがショックだったからだ。しかし今は人形娘でありこの演習で”今井美由紀”などという人間は演習場にいなかったという事にしておかないといけないと念を押されていた。もし次に松山と再開する機会があれば機械娘でなく普通の女の子で会いたいなと考えていた。その日が来るかどうかは神のみぞしるところであったが。


 食事会も中盤になり所長から機械娘が東京本社に呼び出されているので、明日の夕方出発するとの発表があった。これも本当は所長と薫の差し金であったが、一同には社長の意向によるものとした。その頃に機械娘は整備場の方に移動したので後の話は聞いていなかったが、薫の別れの挨拶だった。


 「一昨日、美咲が着用している外骨格に不備があったのですが、本社のほうでもチェックしようと言う事になりました。それで東京本社のラボに行くようにという指示です。また見本市の予行演習としていくつかの他社さんのイベントに機械娘を参加させなさいということになりました。機体の整備や会場の準備などはほとんど東京本社のスタッフがやってくれるそうです。そのためこの研究所のスタッフで同行するのはごく一部のみとなります。人選については決定しておりますので後で個別に告知します。また明日から二週間の盆休みに入りますが、この中には異動によって、もう私と会う事もない方もおりますので、この場を借りまして、三年間機械娘プロジェクトに協力していただきありがとうございました。今後とも皆さんのご活躍を心よりお祈りします」と少し涙ぐみながら挨拶をした。


 研究所員も九月末で薫が研究職を解任される事を知っていたから、中には少し同情しているものもいた。ただ中には薫が実の会長の孫娘という事を知っていたものもいたので少し覚めた見方をしていたものもいた。どうせ10月になれば、しかるべきポストに就くというやっかみだった。


 食事会が終わり薫も臨時の整備場に来ていた。機械娘三人とカンナに今後の予定を言うためだ。「明日は、出発の準備はスタッフがやるので、あなたたちは出発まで休養ということです。どこかに遊びに行くことは出来ませんけど。午後8時に出発して途中休憩を何度か挟みながら東京には午前7時に到着します。これほどまで予定に余裕はあるのは本社着が時間厳守であることとお盆の帰郷ラッシュにかかっても大丈夫にするためです。なお明後日以降の予定ですが、既にいくつか決定済みですが明後日お知らせします。それと私物は出来る限り持って行ってください」


 そういったところで美由紀は「あのう、すいません美咲さんはどうされたのですか。ここ三日間姿を見ないのですが」と質問した。すると「美咲さんね、先に東京本社に向かっているのよ。別の用事もあるのであなた達と合流するのは15日ごろの予定なのよ」といった。

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