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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第九章:急変する状況の中で
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09-01 ゲストハウスでの打ち上げ

 公開演習に便乗した機能試験が終わり、機械娘の一行はゲストハウスに戻ってきた。このゲストハウスが演習場における研究所スタッフの宿舎兼整備場になっていた。ここなら警備が厳しいので他の隊員や見物客に気付かれないからだ。


 自衛隊の機関紙には機械娘の事を「新型戦闘用ガイノイド」と紹介していたが、中は普通の女子大生であった。聖美が義体であるのを除けば普通の女性であった。そもそも機械娘の選考のひとつが「強制学習機能」の相性であった。試験の結果は美由紀、真実、聖美、美咲の順で適合すると判断されたが、そのとうり美由紀が一番機能の効果があったといえる。


 この演習では実弾を使ったものであったが、一部は試作レールガンが使われていた。従来のものが大きな設備を必要としたが小型化に成功したからだ。しかし生身の人間が扱える重量でないので、機械娘のようなパワードスーツを着用していたから可能となっていた。


 ゲストハウスの食堂では性能試験に参加したスタッフが集まっていた。「三日間ご苦労様です。大きなトラブルもなく機能試験がおわりました。皆さんのおかげです」といって薫がスタッフ一同にお礼を言っていた。本来なら打ち上げと称して大騒ぎしたいところだが、まだ予定された工程の入り口にすぎなかったので、そこそこの食事会が行なわれることになった。


 参加した機械娘三人も普通の食事が取れない状態なので大騒ぎすることも出来ず、栄養補給飲料を取り込むむしかなかった。そこんところを察したのか薫や所長も同じものを口にしていた。機械娘を十ヶ月もしていた薫はともかく、所長からすれば物足りなかったかもしれないが、仲間意識を作りたいという意思の表れだったのかもしれない。


 食い意地が張った真実は「みんなと一緒の食事がしたい。結構いい料理があるのに」と悔しがっていたが、カンナに「あんた、この身体じゃ食べれないでしょうが。今日のところはあんたの分も食べてあげるけど、そのうち中華料理店でも連れて行ってあげるからそれまで我慢しなさい! 」と言いあっていた。この二人は三日間で相当なじんだようだった。


 美由紀と聖美は二人離れた場所にいた。二人からすれば東京に行くことを聞かされたが、何が起きるのか見当付かなかったからだ。「東京って、修学旅行でいったぐらいだけど私たちに何をやらそうとしているのか薫も教えてくれないので不安だね。そういえば見本市の具体的な内容すら教えてもらっていないし」と美由紀はエリカの外骨格で覆われた足をさすりながらいった。


 「そうだね、これから何が起きるかわからないけど、問題が起きればそれを乗り越えていくしかないだろうね。きっと問題なくバイトも終わるし元の生活に戻れるはずよ、きっと」と言った。聖美は先日苫米地指令から本当の薫の目的を聞いていた。日本を出国するまでは美由紀と真実には教えるなと口止めされていたが、どうも辞めてもらうのを恐れているようだった。


 隠し事をしているのが心苦しい聖美だったが、薫の言う”奴ら”に本当に一矢報いる事ができるのかが、不安だった。「まあ来月になればはっきりする事だが日一日のバイトをこなす方が肝心だよ、美由紀」というのがせいいっぱいだった。


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