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00-03 求人票

 単に帰郷するのが嫌だといって帰らなければ、親子の関係がおかしくなるし、最悪の場合、学費を出してもらわなる危険があった。そこで美由紀は口実のため夏休みの間バイトをしようと考えた。しかし美由紀はそれまでバイトした経験が無かった。勉学が忙しい事もあったが、目立たないため消極的な人間と思われバイト募集の張り紙を見て応募して面接を受けても不採用になっていたためである。そのため、うまくいかないと思わなかった。


 駄目もとで大学の教務課の掲示板を見たところ、夏休みの期間だけの短期という条件に合う求人募集票を見つけた。それには「若干名。女性型ロボット開発補助および被験者。日給は相談の上で決定。ただし実験期間中40日間は完全拘束」というものであった。


 この求人票を見た他の学生は40日間も拘束される事に対し「生体実験ではないか」「なんか怪しすぎるではないか」と不審に思い誰一人として応じなかったが、この大学では美由紀だけが応募することになった。


 教務課の職員からは「サイバーテック・ロイドといえば世界的なメーカーですが、うちの大学から研究職として入ることは難しいですよ。まあアルバイトして採用されたら将来なんかの役に立ちますよ。でも、あの研究所は本当に山奥だからね。くれぐれも気をつけてください。それと山奥だからといって途中で引き返さないでください」といわれた。


 教務課で教えてもらった電話番号にかけたところ、先方の研究所は明日来てくれということだった。午前10時過ぎにバスセンターから出る路線バスで向かって指定のバス停で降りてほしいというものだった。


 ただ、不思議なことに選考は二日かかるので泊まることになること、着替えなどは用意するので持ってくるのは履歴書だけでいい、また不採用でも「足代」として3万円支給するというものだった。仕事内容が「新作ガイノイドの販売促進イベントの補助」というわりには、不釣合いな選考と「足代」を行うことに対し、本当にこのバイトは大丈夫なのかと心配になってきたが、美由紀は「乗りかかった船」とばかりに、履歴書を購入してアパートに帰ってから書くことにした。


 履歴書を購入して普段通学に使っている自転車をこいで北吉備の商店街を行ったが、ここは先の大戦で多くの都市で失われた昭和と呼ばれた時代の古い町並みが残されており、比較的観光客が訪ねていた。


 「それにしても北吉備の町をみると、あたしが生まれ育った魚津の町を思い出す。でもあそこは港町だけど、ここは山奥。もう当分海を見ていないな」と言いながら家路についた。

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