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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第三章:機械娘になるとはどういうことか
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機械娘の外骨格の正体とは

 薫の研究所で開発されている生身の人間が装着することも出来るガイノイドの開発計画は「ガーディアン・エンジェル・システム」と呼ばれていた。これは今から十年程前に放送された特撮番組「ガーディアン・エンジェル」とかけていた。この作中世界では四人の女性が様々な事件や事故に対処するため、ガーディアンスーツと呼ばれるパワードスーツに身を包み活躍するというものだった。この番組のスポンサーと劇中パワードスーツ提供をしていたのが、現在薫が所属するサイバーテックロイド社だった。


 「ガーディアン・エンジェル」は、赤色のパワードスーツを着るリーダーの一岡さやか、青色のパワードスーツを着る技術担当の二木えりか、緑色のパワードスーツを着る情報担当の三島みどり、黒のパワードスーツを着る格闘担当の四谷みなよの四人組であった。そのうち二木えりかことエリカが、普段の駄目でドジな女子高生がガーディアンスーツを着ると別人のように活躍するので、リーダーのサヤカよりも人気があった。


 また、この番組では実写であり、効果音や合成があるが実際のアクションもスーツアクトレスを使わず、本人が演じていた。そのためシチュエーションによって違いがあるが、毎回メンバーの一人もしくは全員がガーディアンスーツを着る場面があり、正規のアンダースーツのほか、緊急時に学校の制服や水着などを着たままその上にガーディアンスーツを着る場面もあった。劇中でエリカが急いで下校途中で装着したため、事件が解決した後で汗まみれで皺だらけの姿で同級生に見られ、怖いから狭い場所に隠れていたなどと言われたオチもあった。


 それはさておき、この番組では正体がばれて都合が悪い相手に、ガーディアンスーツにダミー人形を仕込んで、その相手の前にメンバーとスーツがあたかも別人のように見せかける話もあった。このようにパワードスーツが自律した行動を取ることも人間が中に入って行動できるようにしたのが、「ガーディアン・エンジェル・システム」だった。


 その後「ガーディアン・エンジェル・システム」のうち、自律することも可能にする初期段階は成功し実用化されたが、次の長期着用能力と着用者への強制学習能力機能については開発が難航していた。長期着用では理論上は数年可能であるが、その拘束した空間に人体を押し込めることによる弊害が予測できないため、多くの女性を被験者としてパワードスーツの中に閉じ込めて実験をしていた。この実験で、宇宙服のような機能を持たせても長期間の着用は精神的に難しいと判明した。そのため、前もって長期着用が可能なようにする所謂”機械娘”と呼ばれる人体を改造した女性を使うことになった。最終段階で薫は自ら被験者となり十ヶ月もガイノイド”エリカ”の姿で過ごしていた。これで実用化のめどが立った。


 もうひとつの着用者への強制学習能力機能は、着用者が全く訓練を受けていない素人でも、「ガーディアン・エンジェル・システム」によって一流のエージェントへと変えることが出来るし、場合によってはマインドコントロールで着用者個人の意識に関係なく稼動させようというものであった。そうなると、装着者は単なる生体組織で出来た部品となることを意味していた。


 そのため、誰でも被験者に出来るのであれば、そこらへんにいる人間を「ガーディアン・エンジェル・システム」を搭載したアンドロイドやガイノイドのなかに入ると戦力になるというわけである。まさに薫が美由紀や聖美たちを被験者にするガイノイドの外骨格が、実用化直前の最終試作機であった。

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