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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第二章:本当に私で大丈夫なんですか
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機械娘の意味とはいったい

 四人と緒方はエリカこと薫に主任専用室に案内された。先ほど面接を受けた所長室とは違い、様々な機器が置かれ文献や器具のサンプルなど膨大な資料が保管されていた。その片隅に窮屈に置かれた応接セットに集まったが、傍からみるとガイノイドが指図しているようだった。


 「これはあなた達の雇用契約書になります。基本的にはやもうを得ない事情を除いて途中でやめることは出来ません。また守秘義務違反など重大な事態を招いた場合には解雇させていただきます。労働時間ですが一日八時間一週間五日勤務が基本ですが、機械と融合したあとは事実上二十四時間拘束になるので労働時間とみなします。報酬ですが一日アタリ一万二千円ですが、最後までやり遂げた場合、成功報酬として三百万円を支給し残りの学費を負担します。また希望すれば弊社サイバーテックロイドもしくは関連会社への就職の斡旋をいたします。もし不服がありましたら、ここで辞退しても結構です」と薫が言った。


 この想像を超えた高報酬を聞いた四人は一瞬躊躇したものの誘惑に負けてしまい、得体のしれない”人体試験”が行われるのがわかっているにもかかわらず、断ることは出来なかった。この様子を見て薫は心の中で「これほどの条件を断ることは出来ないでしょ。でもこの開発に掛かる経費と得られる利益からすれば、ほんの一部にすぎないけど」とつぶやいていた。


 この条件を聞いたうえでアルバイトの内容を全て説明されていないのに、四人とも膨大な字数の雇用契約書を完全には理解しないのに署名してしまった。これで四人が機械化される作業が進行することになった。彼女らは薫の今の姿のように変貌することになった。


 これからエリカのような機械の体に包まれることに対し美由紀の気持ちは複雑だった。以前、コスプレをする女性の話として、普段の自分とは別人格を演じることが出来るのが魅力だということを雑誌か何かで読んだことがあった。その中でも着ぐるみは基礎となるコスプレーヤーの性別も年齢も超えることが出来するし、体格もある程度は変化させることが出来るのでさらに魅力だという。


 それに着ぐるみは大抵アニメなどの二次元のキャラクターを立体化したものであるが、中には実写キャラクターをそのまますることがあり、サイボーグやアンドロイドなどの二足歩行型機械の場合には機ぐるみという。昔は機ぐるみは裁縫では出来ないので3Dプリンターがなければ自作するのが困難であったが、今では値段は少々高いがロボットの外骨格の外装をオーダーを受け付ける企業はたくさんあるので、中身を「人間」にしたものも可能である。そのようなタイプは美由紀も大学のサークル勧誘の際に自作ロボットを作るサークルで「中身」が完成していないといってサークルのリーダーが着ていたのを見たことがあった。もっともその時は「中身」の男の素顔がおっかなかったので逃げてしまったけど。


 薫はこれから四人が着ることになるガイノイドとパワードスーツの両方にもなり、また長距離宇宙飛行中の間ずっと装着できる能力がある外骨格、ここではマシンスーツと呼ばれているものの説明をしてくれた。「通常、外見上ロボットといわれているマシンは外骨格と内部構造とに分けられます。外骨格は装甲や外部センサーなどが装着され外部からの衝撃から身を守ります。内部構造は人工知能で判断して外骨格を動かしたり周りの事象に対応します。ここで開発されているのは外骨格の中身を機械にしたり人間にしたりできるタイプです。これは一体化すると修理をしたり機能を増設するために全ての外骨格を外す事をしなくてもいいようにするためです。また内部構造だけが破損した時は簡単に分離でして別のバックアップの予備機に交換できます。それでメンテナンス時間を短縮できますし、業務の内容によってグレードアップもスケールダウンも簡単にできます」といって応接セットの横にある黒いガイノイドをいじりだした。


 この黒いガイノイドは私のタンクベットに案内した機体だと美咲は思っていた。薫はカードキーを挿して背中のボタンを押した。すると外骨格が前後に割れて中から人間の骨格にも似た骨組みのロボットのようなものが出てきた。「これが内部構造になります。たとえばこれが故障したとします。そこでスペアの機体を連れてきて中に入れたら時間ロスなして稼動させられます」といって、薫は内部構造のロボットを外して美咲を呼び寄せた。するとガイノイドの空洞に入れと言った。美咲はいわれるまま仕方なく言われるままに入るといきなりカードキーを抜いてボタンを押した。すると美咲の身体に衣装の纏うようにガイノイドの外骨格が覆い首から下はガイノイドのようになった。


 いまだガイノイド姿の薫は「当研究所では外骨格系ガイノイドタイプの中に入る人間のうち、長期着用が出来るように調整された者を”機械娘”と呼称しています。これは、あなた達のコードネームですので良く覚えてください」と四人に納得するようにと迫った。一同は研究所によって機械娘に調整されようとしていた。



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