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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一章:適正とは一体なんのことなのよ!
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本当に私で大丈夫なんですか

 最終面接に残った五人全員が合格だと伝えられたようであった。アルバイト希望者達は一安心したというよりも、これからアルバイトで何をさせるのかという方が不安だった。誰一人として何のために素人のような女子大生を使う理由がイマイチ思い浮かばないような選考内容だったからだ。今回のアルバイトの何の役にたつのだということだ。


 研究所は今回のアルバイトを使い何をするのかわからなかった。美由紀はどんな仕事をするにしてもアルバイトとして本当に私で大丈夫なんですかと聞きたかった。しかし他の五人の誰も同様であったためか、不安のためか話さないので言い出すことはできなかった。


 五人が待たされていた部屋にようやく研究員が入ってきた。昨日見た研究員の一人でかなり背が高く髪も長い女性だった。「みなさん、これからお世話になります。今回のアルバイトの説明をさせていただきます緒方加奈と申します。今日の流れとしては職場見学と仕事の内容説明を行います。その後で雇用契約書の説明をします。その後でうちの研究員と一緒に帰宅していただいて、明日から働いていただきます。それほど重労働でありませんが拘束時間は長くなります。また仕事として海外出張もありますし、高額な報酬も用意しています。社会的に貢献することになる業務でもありますので、是非とも当研究所の業務にご協力をお願いします」といった。これから、ようやく疑問を説明してくれるということで安心したが、海外出張と高額な報酬とは何?という事がきになった。いったい何のことだろう、と美由紀が思っていたが、それよりも他の四人はどんな人なんだろうと思った。


 そう思ったところで緒方が「これから一緒に働く仲間ですから、簡単でいいですので自己紹介をお願いします。時計回りの順番でね」と促された。この時の順番は受験番号順だった。最初は栗田真実といい、身長が145cmぐらいと小柄であるがどちらかといえば「ふくやか」な体型だった。髪はショートヘアであったが髪を染めていていた。美由紀の次に自己紹介をした津田美咲は背格好が美由紀に似ていたが、しゃくしゃきした感じのしゃべり方で美由紀とは対照的だった。次の赤松聖美は運動選手をしていたような洗練された体格で、引き締まったボディラインであったが五人の中では一番年長のようだった。最後の川島カンナは顔がかわいらしいがモデルのようなプロポーションであった。


 それにしても採用決定まで江藤という開発責任者の顔をついに誰も見せなかったことが不安であった。この人の下で働くことになるのにまだ見せていないからだ。所長というおじさんはなんか頼りないようだし、副所長はもっと頼りなさそうだった。この研究所の研究員は大半が女性であったが、その責任者がいればアルバイトの内容に関する疑問も答えてくれたのにとおもった。


 その直後、どういう訳かカンナだけは四人と業務内容が違うので別室で説明を受けてくださいといわれ離れた。四人と緒方は研究棟と呼ばれる建物の内部に案内された。外から見ると古い校舎にしかみえなかったが、研究所の内部は相当改造されていた。途中案内された部屋には様々なロボットが置かれていた。緒方は「あそこにあるのは、近隣の町おこしの依頼で製作した”ヒバゴン”です。また隣はアメリカのサンタモニカ・エレクトロニック・サイバーテックが販売した廉価版アンドロイドのSM150です」などと説明してくれたが肝心のバイトの内容を話そうとはしなかった。


 ようやく、旧校舎の地下にある秘密基地のような部屋に来てから関係ありそうな話をしはじめたが、これもまた前段が長かった。「この研究所は女性版アンドロイドとも呼ばれるガイノイドの研究開発をしています。過去には多くのガイノイドを製品化しています。このガイノイドはヒューマノイドともいわれていますが、要は人間型ロボットのうち女性に似せたものです。このあたりは皆さんが行かれている大学で習ったことですので、これ以上説明しません。


 世界で生産されているガイノイドは外観を可能な限り人に近いものと、表面を強化炭素材や金属出出来た外骨格で覆ったものがあります。前者は介護や接客などに使われるタイプですが、後者は危険な環境、たとえば土木工事や警備用などに使われます。ここでは外骨格型のガイノイドを研究開発しています」といって二体のガイノイドを使い説明していた。外観が人間のようなものは時々見かけたことはあるが、外骨格のものはテレビぐらいしか見たことはなかった。しかし昨日からそのようなガイノイドばかりを見ている。


 「ここでは外骨格型ガイノイドの開発が中心です。しかしロボットの中には人間が乗り込んで操縦するタイプがあります。先ほど皆さんが実技試験のときに乗った”ゴリラ”です。あれはパワードスーツというものですが、ある程度訓練をしなければ乗りこなせません。またガイノイドは内部の一部に有機物で構成された部品を多用していますが、生命体ではありません。


 ここからが本題ですが、あなた達が開発にかかわる機械が何かを考えてください」と質問を振ってきた。それでみんながバラバラに答えたが、緒方は「みんな正解です。実はこれら全ての条件を備えています。稼動するための機関は生体組織、制御するための機関は人工知能、そして能力を発揮するのが機械というシステムを開発しています。人間がロボットの仲に入り機械の知能的サポートを受けて行動するコンセプトです、そのための生体組織を提供する人間が必要なのです。それがあなた達のアルバイトです」といった。


 実におかしな説明なので訳がわからなかったが。ガイノイドの中身を人間にするということではないかと思いついた。ひょっとして私たちってロボットの餌食になれってことかな?という気がしてきた。私って本当に大丈夫なのですか?



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