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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一章:適正とは一体なんのことなのよ!
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01-05 ゲーム場ですか、ここは?

 美由紀の全身タイツには「04」と振られていたが、全身が黒く怪しげな光沢を放つ美由紀の痩せ型で長身の身体に、その数字だけが目立っていた。他の希望者も身長に多少の違いがあるものの似たような姿であったことから、有機物で創造された機械のようなものであった。


 先ほどこの全身タイツを着るときは、研究員とガイノイドが手伝ってくれたが、一糸纏わぬ姿にされた上に著しく圧迫感のある全身タイツを半ば無理矢理着せられたのである。この光景を前にして逃げ出した人がいてもおかしくはないといえる。それにしても彼女達の試験に臨んでいる姿は大変異様な光景である。全員が黒いマネキンのようになっており、誰か誰なのかわからなくなっている。


 かつての特撮番組のガーディアン・レディのエピソードのなかに、エリカの友人が洗脳されるというものがあった。これは敵対する組織が戦闘用ガイノイドが不足した際に、戦闘員に改造した。その手段は友人の身体にコントロール装置が組み込まれた金属製ビキニをはめ、頭部にマインドコントロールを組み込んだヘッドギアを被せ、さらには洗脳用の黒い全身タイツのようなボディスーツを着せて、その上にガイノイドの外骨格装甲をはめ込んでしまうというものだった。


 この時のアルバイト希望者達の服装がまさにそのものだった。そのため美由紀は研究所は洗脳しようとしているかと疑いだしていた。しかし実際は洗脳するというよりも洗脳するのにふさわしい人材かを選ぶための試験というのが正しいのかもしれない。


  美由紀のグループにはガーディアン・レディのナオミに似た黒色のガイノイドがサポートしていた。彼女の姿の方が人間らしかったが、高度の人工知能が入っているようでゲームの概要の説明やゲーム機の装置を受験生の身体に装着する作業をしていた。外観という彼女らの個性を奪った上で行われたのは4種類のシュミレーションゲームであったが、いずれもゲームセンターにあるもので、身体を機械の拘束して行うものだった。ポットの入って手にグローブをはめてバーチャル映像の中でロボットや戦闘機などを操るゲームをバイザーに映し出すゲームを楽しむものであった。


 この時試験で行われたのは身体自体が場面によっては身体も現実に倒されたりといった衝撃を受けるものであった。そのため格闘ゲームでは相手の攻撃で衝撃を身体に受けてしまっていた。どうも、このボディスーツは仮想現実内の出来事を現実にフィードバックさせる機能があるようだ。乗り物を操るゲームは別に珍しいものではなかったが、美由紀が驚いたのは仮想現実の中でガーディアン・レディのキャラクターになって敵の戦闘用人造人間などと戦うゲームがあったことだ。ゲームの中でキャラクターを選択すると、そのキャラクターのパワードスーツの中に入る場面からスタートした。美由紀は大好きなエリカを選択しプレイをした。この種のゲームをするのは初めてだったが、高い適応能力が潜在的にあったらしく美由紀は受験者の仲では最高得点を出していた。


 他の受験生とは、ゲームマシーンの待機時間に一緒にブースにいたが、美由紀と同じ姿であったため誰が誰なのか区別も付かず話をすることもなかった。やはり黒いマネキンのような物体に「07」や「12」とだけ書かれたものが自分と同じ年頃の学生とは思えなかったためだ。しかし中には生身の人間が入っているのは確かであったが、一切しゃべることはなく有機体で構成された生体マシーンにしか見えなかった。むしろ試験をサポートするガイノイドの方が人間に近い外骨格をしているので、個性を有しているといえた。美由紀は黒いマネキンの姿に閉じ込められたまま陽が暮れるまで試験を受けていた。

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