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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一章:適正とは一体なんのことなのよ!
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01-03 美咲には負けたくない

 バイト募集に来たのは当然女子大学生だけであったが、これは今回は機械娘の被験者を選抜するのが目的で、適正が合いさえすれば採用になるはずだった。しかし二人は適正の如何に関わらず採用されることになっていた。


 一人はこれから機械娘プロジェクト一行を警護する、とはいっても実際には偵察もかねているのは明白であるが、警護役の若い女子大生であったが、それが誰なのかは研究所の誰も判らなかった。そしてもう一人は薫の叔父、サイバーテック・ロイド社長の指示で採用が決まっていた。


 その学生こそ津田美咲で、先日行なわれたサイバーテック・ロイドの懸賞論文大会で優勝したが、何故か副賞のドイツ研修旅行をキャンセルしたのだ。この研修旅行自体がサイバーテック・ロイドの採用活動の一環であったが、理由もわからなかったので、色々と周辺を調査した。すると研修はやめたけど何か理工系のアルバイトをしたいとこぼしていたのを聞きつけた。


 そこで社長は薫が機械娘を公募する事を聞きつけて、どうせやるなら津田美咲が応募してきたら採用しなさいと指示したのだ。もっともこの事を美咲が知ったのは後の事であったが。


 美咲の背はあまり高くなかったが、人が誰もが振り向くような魅力ある美人であった。先日などは見知らぬ乗用車に後を付けられていたことがあったぐらいだ。もっとも体力的には平均以下で、高校の時に小学生に腕相撲や徒競走に負けたという”実績”があった。


 美咲がボディスーツに着替えようとすると後ろから来た女に「美咲、なんであんたがこんな山奥に来ているのよ? てっきりドイツに行くのが怖くて家に閉じこもっているかと思っていたのに」と、美咲を挑発するようなそぶりをした。


 その女は藤井明奈といい美咲と同じ大学の工学部に通っていた。とかく彼女は美咲をライバルとして見ていたが、美咲からすればただのクラスメートぐらいにしか見ていなかった。体力はともかく彼女が美咲に勝っているモノは何一つなかったからだ。


 「藤井さん、私もあなたにお会いするなんて思っていなかったね。この適正試験が終わって私とあなたが落ちていたら倉敷にでもいきませんか? 私、こんな体力勝負のような試験じゃ落ちるかもしれないし。それにボランティアで子供の勉強を教えたり遊んだりしたことしかなくて、本当バイトに採用される自信がないのよ」といった。


 この言葉に明奈は怒りを覚えていた。だいたいボランティアといったって、保護者の間では美咲を高額な報酬で家庭教師として雇いたいというぐらい評判がいいし、なんでライバルと倉敷に遊びに行かなきゃいけないのよ、と思っていた。


 そのように激しい感情を持っている明奈をほっといて美咲はボディースーツに着替えていた。その美咲のプロポーションはとても綺麗で同性がみたら嫉妬するほうが多数であるのは間違いなかった。


 「うう、なんでこんなにプロポーションがいいのよ美咲の奴は。あんたに根性だけは負けないよ。本当に私のほうが採用されるに決まっているのよ! 絶対」といって美咲に遅れを取られまいと急いで着替える明奈だった。美咲には負けたくなかったからだ。

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