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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一五章:薫の忘れえぬ夏の日
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15-24 朝かえり

 結局、薫が宿舎に戻ってきたのは朝焼け空が美しい午前5時前だった。回収されてから機体をチェックした上でブラックエリカのスーツを脱いでからもメディカルチェックなどが行われたので遅くなった。さすがの薫も意識朦朧いしきもうろうだった。


 そもそも薫の機械脳は疲労しないようにも思えるが、一部が薫媛のオリジナル脳組織を元に複製した擬似生体組織で構成されているので、長時間起きていると不具合が生じてくるのだ。特に今回は一時遭難というアクシデントに見舞われたため、身体以上に疲労困憊していた。


 宿舎のエントランスには亜佐美が待っていた。彼女は薫が一時行方不明になってからずっと心配で仕方なかったのだ。いくら生存していると知らされていても不安だったからだ。このとき薫はサイバーテックの女性社員二人に両肩を抱えられて戻ってきたが、衣装が間に合わなかったらしくサイバーテックのシックでオーソドックスなデザインの制服を着せられていた。


 「薫! おかえりなさい。でも本当に大丈夫なのあなた?」


 「ごめんね亜佐美心配かけてしまって。それにしても明け方まで待っていてくれたの? 本当にごめんなさいね。このとおり戻ってもどれましたから・・・」そういったところで薫は眠りに落ちてしまった。


 「大丈夫なの、薫! そんなに体調が悪いの?」 亜佐美は絶叫気味に叫んでいた。すると薫を連れてきた女性社員の一人がなだめるように言ってくれた。


 「大丈夫です、海の上を漂っていたので船酔い気味みたいになっているのですよ薫さんは。しばらく横になってもらったら治りますから。すいませんが薫さんの部屋に案内してもらいますか?」


 亜佐美は少し不安気味であったが、亜佐美と相部屋になっているベットに案内して寝かせてもらった。彼女は眠り姫のように綺麗な寝顔をしていた。薫を連れてきた女性社員はその場から立ち去っていったが、彼女らは戻る車中のなかで色々いっていた。


 「薫様のいうとおりに宿舎にお連れしたけど、アレで大丈夫だったのかな? 一応機械脳に目立った異常は起きていなかったけど、結構飛行中の重力の影響を受けていたみたいだけど。本当ならもうちょっとラボで確認したかったけど」


 「薫様の機械脳はリアルタイムでラボのホストコンピューターでチェックしているから、もし異常があったら急行できるから大丈夫よ。まあ、機械脳には人間の三半規管がないから船酔いはしないはずだけど・・・きっと大丈夫よ、初めて漂流という状況で負荷がかかったのかもしれないけどね」


 「それにしても、”奴ら”に電脳化された人は結構いるけど薫様のように機械脳の人は僅かしかいないけど、そのどちらも大変よね。その気になれば洗脳だって簡単に出来るのだから危ないよね」


 「だからこそ、アクセス禁止でしょ! だから機械脳に不具合があっても修正するのが難しいのはいつものことでしょ。でも薫様も本当はかわいそうな方だよ。両親とは死に別れてその直後に大脳皮質とその周辺組織が腫瘍になったので摘出してしまったそうだけど、そもそもの原因は”奴ら”による秘密裏の生体実験によるものだって。なんでも学校に行っているときに無断で行われたそうよ。子供の時から機械娘に改造する素体探しのために。だから薫様いわないけど、相当”奴ら”に憎しみを持っていると思うよ」


 「うちの江藤会長も言わないけど彼も憎しみを持っているようね。だって、今回の飛行ユニットだってまだ捕まっていない本当の指導者探索に使いたかったはずよ。でも、あれはかなり改良が必要よね。あんまりにも制御できていないから」


 サイバーテックの社員が戻ってから、薫はずっと眠っていたが、まるで死体のようだった。まったく寝返りをしなかったからだ。亜佐美には今日の撮影は中止との知らせが入ったので、午前中は寝る事にした。薫が無事とわかっていても戻るまで心配で一睡もせずに待っていたからだ。


 「薫、おやすみなさい。昨日あんな目にあったのだから大丈夫ではないだろうけど、良い夢みてね」そういうと亜佐美は薫の寝顔を見ながら一緒に就寝した。

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