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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一五章:薫の忘れえぬ夏の日
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15-22 バトルモードのブラック・エリカ

 この日撮影される、亜佐と薫の演技がはじまった。この時撮影される「ガーディアン・レディ」の直前の大まかなストーリーは次のようなものだった。


 エリカは行方不明になったサトミの事が心配でしかななかった。一応警察に通報して”赤い輪廻環レッド・リングズ”による拉致事件であると訴えたが、極普通の勤労労働者階級の家庭の女子高生を拉致する理由など思い当たらないと思い込んでいた捜査機関はあまりにも動きが遅かった。


 警察からガーディアン・レディのブルーと呼ばれているエリカの正体が自分で、もしかして自分と間違って拉致されたなどとは説明できなかった。そこで、ガーディアン・レディへの依頼で沖縄に行くことに反対し険悪な雰囲気になった、リーダーのサヤカに謝罪し、裏ルートで探してもらう事にした。


 そんなある日、学校から帰る途中、サトミが拉致された現場に立ち止っていたエリカの腕時計型通信機の画面に、出動依頼のメッセージが浮かんだ。そこには黒いガーディアン・レディが湾岸地区にある国営宇宙造艦廠で暴れていて、特殊部隊の被害も甚大なので、殲滅もしくは撃退を依頼するものだった。


 急いでエリカはスーツに着替え、他のメンバーよりも早く現場に向かった。偶々(たまたま)他のメンバーは別の依頼によって出動していたから仕方なかった。雑魚のような戦闘員達を軽く蹴散らしていたら、集団の奥で待ち受けていたのは、ブラック・エリカに改造されたサトミの姿であった・・・


 工場内で行われるアクションは、エリカの方がナンシー・チャンが行う事になっていたが、マスクオフで行われる場面は亜佐美が演技することになっていた。一方の薫は全て一人で行う事になっていた。そのため薫はナンシー・チャンと猛烈なアクションを工場内で行っていた。


 劇中の設定では、国営宇宙造艦廠であったが今回使用されている廃工場は製鉄所の古い施設であった。そのため建造中の宇宙船などは後で合成することになっていたが、実際にパイプラインや壁を破壊する場面は、実戦方式で行われたので物凄い事になっていた。特にブラック・エリカによる執拗な攻撃によって吹き飛ばされたエリカが壁を突き破り、工場の構造物を破壊するところなどは撮影スタッフにも危険が及びそうであった。


 「それにしても薫。いくら免許をもっているといってもやりすぎじゃないの? これじゃ国連機構軍の特殊機兵部隊みたいじゃないのよ?」


 そんなふうに亜佐美は考えていたが、この時のブラック・エリカのバトルモードは軍事用そのものの動きをしていた。そのためナンシー・チャンは悲鳴を上げていた。


 「この、生身の人間のはずだよね? わたしのように身体の一部が人工物になっている機械娘でさえ耐えられない攻撃力だ! 本当に手加減していないというのか?」


 そう言ってスーツ内で弱音を吐いていたが、薫は本当は手加減していた。もし実力どおりに対戦していたら性能が上回るブラック・エリカの一方的な勝利になるので、見せ場が作れるぐらいに手加減していた。それが出来るのも薫の機械脳とブラック・エリカの制御システムがシンクロしていたからであった。この時、薫はスーツと一体化していた。


 「それにしても私ってやっぱ機械なの? これじゃ本当に全自動無人戦闘兵器の動きよね。まあ、そろそろナンシーさんに私を倒してもらおう!」


 そういって薫はわざと手を抜いて隙を見せ、ナンシーが着ているガーディアン・エリカにわざと打撃を受けて地面にめり込んでいった。そこで「カット」の声がかかった。


 「薫! 大丈夫なの? 気を失っていないの?」


 「亜佐美、よね? 大丈夫と言いたいけど取りあえずめり込んだままでいないといけないわね。ここからあなたの出番だからよろしくね」


 薫は地面に埋もれたブラック・エリカの中から答えた。この時、薫の機械脳に問題なかったが、スーツの衝撃吸収システムの限界ちかい加速度をうけたので全身に軽いダメージを受けてしまい、動けない状態だった。そんな状態だったので亜佐美の準備時間はありがたい休憩だった。


 「あー、いまのきつかったわね。機械娘のスーツを使いこなせる機械脳だといっても、やっぱり身体はフツーの少女の肉体だからしかたないよね。後は亜佐美頑張ってもらって、空を飛ぼう」


 薫はスーツごと土に埋もれた状態で休んでいたが、ようやく亜佐美のガーディアン・エリカの準備が出来たので、そこから解放された。そして後半の撮影が始った。


 「サトミ、サトミよね、あなたは? わ、わたしよエリカよ! ”赤い輪廻環”に改造されたというわけなの?」


 エリカは頭部の破損したフェイスガードの一部を脱ぎ捨てた。残されたフェースガードのキャノピーにはダメージを受け流血しているエリカの悲痛な顔が見えていた。それに対し、サトミは不気味な雰囲気でしゃべりはじめた。


 「サトミ? ああ、このボディの素体になっている娘か? 残念だがそんな娘の自我なんか封印されている!  さっきは渾身の打撃を与えたようだが、もう限界だろ? 本当はお前にとどめを与えてもいいだろうが、取りあえず止めておこう。なんだってお前一人倒してもメンバーが復讐に来るからな。あとは沖縄で会おう!」


 そういってブラック・エリカことサトミは間合いを詰めていたエリカの足を掴むと工場の瓦礫へと投げ飛ばした。その瓦礫から顔を出したところ、ブラック・エリカの飛行ユニットが稼動していた。周囲に物凄い火炎を振りまいたところで大空へと舞い上がっていった。傷つきやっと動ける状態のエリカはただ見上げるしか出来なかった・・・


 そこで当日の撮影が終わったが、大空に羽ばたいて行った薫に異変が起きていた。飛行ユニットにトラブルが起きてしまった。制御不能に陥ったのだ!


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