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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一五章:薫の忘れえぬ夏の日
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15-19 ライセンス

 最初の劇場版ガーディアン・レディでは、ヒロイン達のスーツ装着シーンやマスクオフのドラマシーンなどは、彩夏や亜佐美などが演じたが、アクションシーンになる戦闘モードなどは格闘専門のスーツアクターが担当した。


 その後製作されたテレビ版や劇場版第二作以降は、ミドリ役の孫玲美とミナヨ役の会澤喜美恵も格闘シーンを担当したが、彩夏だけは技術がスーツのサポート機能をもってしても技能が上がらなかったので、最後まで担当しなかった。


 最初の劇場版の撮影をしていたある日、周薫媛こと薫はブラック・エリカのスーツを着たまま撮影現場に入ってきた。これにはスーツアクター達ですら驚いていた。ナンシー・チャンにいたっては新型ガイノイドだと疑っていた。


 「あんた本当はガイノイドでしょ! 撮影で戦闘員マシーンで稼働中に破壊されるのはガイノイドやアンドロイドだから」


 「いえ、違いますよ私は。ほら、永川亜佐美さんと一緒にいた周薫媛です。今日はこちらの方でお世話になります」


 「周さん? 確か眼鏡をかけた高校生だったよねあなた。新人研修で一緒に来たかと言うのでしょ。あんたが本当に機ぐるみの中に入っているわけなの?」


 「そうです。サイバーテックさんの担当の石橋さんの指示で、担当に適任と言われたので」


 「しかし、それにしても見たことの無いスーツだね、あんたが着ているの。こんな高性能に見える機ぐるみ見たこと無いわ。それにしても、あんた夏休み中のバイトでしょ! スーツを着こなせるようには見えないけど」


 「大丈夫です。こうみても操縦資格をもっていますよ。そこに石橋さんがこられていますからサポートは万全ですよ」


 このやり取りを名指しされた石橋がずっと見つめていた。彼女にとって今回の業務は大変難しいと思っていた。着用者が会長の孫娘で、頭部が自律型人工知能である機械脳になっていて、しかも小型核融合炉を搭載しているスーツであったからだ。前者の二つはなんとかなるにしても、最後の核融合炉はいくら昔の小型電動モーター並みに扱いやすくても、エネルギー放出のタイミングを間違えたら大変な事になるからだ。


 特に難しいのは飛行ユニットのパワーソースとビーム発生装置に融合エネルギーを使うことだった。ガイノイドを使った試験では成功していたが、人間の生身で飛行ユニットの加速度に耐えられるようにするための緩和装置の試験も兼ねていたのだ。


 「被験者が会長の孫娘では失敗した時に私の立場が危なくなるし、第一急いで使うこともないのに。まあ、今日の撮影はそんなに使うことはないからいいけど」


 そう石橋は考えていたが、とりあえず今日はエリカと格闘後にブラック・エリカが空高く舞い上がって逃げる場面の撮影なので、飛行後に無事に戻ってくるかが心配だった。


 撮影やアクションの段取り打ち合わせがかなり進んだところで、亜佐美が別の撮影場所からやってきた。今日はスーツを着用しマスクオフでブラック・エリカとやり取りするカットを撮影するはずだった。


 「薫! そのスーツを着て何日目なの? なんか、あなたガイノイドにされたみたいで可哀想よ!」


 「そうね。三日前に再チェックで一度脱いだけど、またすぐ着てしまったからね。ほら。私は着脱のシーンがないでしょ。だから、しっかりと融合した感じになっているのよ。なんかビキニ姿で着せられた感じなのよ」


 「ビ、ビキニ? そんなの機ぐるみの着方じゃないよね。たしか機兵部隊の女性隊員と同じじゃないの」


 「そういえばあなた、自衛隊の女性機兵部隊の訓練に参加したそうじゃないの。そこで見たの?」


 「そうよ。さすがに自衛隊の制式採用のスーツは着なかったけど、着脱風景など、ひと通り訓練をみたわよ。まあ、私には勤まりそうも無かったけどね」


 さきほど、薫はパワードスーツの操縦資格を持っていると言ったが、これは特殊な作業をする場合に必要な資格を持っているという意味だった。亜佐美のように着ただけなら不要だが、高度の格闘や作業をする時には必要な免許が必要だった。それで亜佐美は薫にその疑問をぶつけた。


 「薫、あなたひょっとして免許を取ったの? まあ15歳になれば取れるけどいつ取ったの?」


 「うん、三週間前の日曜日にサイバーテック東京本社の教習所でとってきたのよ。まあ座学が中心だけどちゃんと産業用スーツを着て合格したわよ」


 その言葉を聞いたナンシー・チャンは驚いていた。そんな初心者が私とスーツによる格闘戦をやるというのかと思うと不安に思った。これで商業映画の要求するアクションができるのだろうかと。

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