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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一五章:薫の忘れえぬ夏の日
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15-16 次期機兵試作機 ”ガーディアン・エンジェル”

 この日、サイバーテック東京本社第五実験棟は緊張に包まれていた。映画の撮影スタッフがいたこともあるが、サイバーテックグループ総帥の江藤英樹が臨席することになっていたので、実験棟の社員は準備に余念が無かった。


 この日は、謎の組織”赤い輪廻環”によって高橋サトミがガーディアン・エンジェル・エリカのスーツをコピーしたものを着せられるシーンを撮影する予定だった。本編ではわずか一分半しか使われないシーンだが、撮影のために多くの人員と予算がつぎ込まれていた。また、この日臨席している者には、通常ありえない一団もいた。その一団を江藤会長が案内していたが、彼らを案内しないといけないのでいつものようにお忍びができなかったのだ。


 「江藤会長。なにも戦闘用スーツに核融合炉を搭載しなくてもいいのではないですか? そんな大出力装置を搭載するというのは、やっぱり”奴ら”の掃討作戦に投入するおつもりですか? うちとしては、ありがたいですが戦争からの復興費用に取られ予算獲得もままならない状況ですよ、今は!」


 「ああ、それを承知の上だ。もう当面は大規模な戦闘は起こらないだろうが”奴ら”は完全にいなくなったわけではない。だから、次の危機対応への準備というわけだ。本当はこんな戦闘機械など作りたくはないが、とりあえず平和が訪れたと喜んでいる最中に開発するというのも難しい。そこで映画用として開発していたというわけだよ。新型スーツを」


 「そんなことをされるのですから、私も映画撮影の見学名目で来ざるをえなくなったんですよ! 上司に説明するの本当に難しかったんですよ!」


 「それはすまなかった、パク君。君はわが社の次期機兵試作機の査察に来たわけだが、表向きは映画見学という事にしてくれよ。まだ”奴ら”に知られるわけにはいかないから、今度のシステムは」


 この日、江藤会長と来たのは国連機構軍査察部のパク調査官だった。世界各国で開発されている兵器対応のパワードスーツを調査する役目があったが、これはガーディアン・エンジェル・スーツが最先端の兵器に転用可能ということを意味していた。


 「それにしても、これから夏休みのバイトで孫娘さんが被験者になるそうですね? 大丈夫ですか彼女で」


 「ああ、大丈夫だ。それに彼女は張建軍博士の一人娘だ。父が発明した小型核融合炉と一緒になるのだから大丈夫だ」


 一方、薫は困惑していた。いくら演技とはいえ人前で裸になる事が嫌だったからだ。いままで生身の肉体に義眼と機械脳などを埋め込まれた一種のサイボーグのような身体なので、プログラムとして機動してから何度も裸にされて検査を受けてきたとはいえ、第三者の大勢に見られる映像を撮ることに戸惑っていた。それにパワードスーツを着る事も嫌だった。ますます私が機械に近づいてしまうではないかと!


 「お爺様たら、私を新型スーツの被験者にする口実に映画を使ったというわけなのね。アーカイブによればこの肉体を産んでくださった母の香織も、パワードスーツの試作品を着せられたようだけど、あの時と違って相当物騒なものになっているわね。でも、諦めよう。お爺様とは沖縄で亜佐美と遊べるように都合してくれると約束してくれたから」


 そういうと、薫は諦めた表情で昨日の拉致された場面で着ていた、古めかしい半袖のセーラー服に着替えた。今日の撮影はこの服装から始まった。そのあとスタッフによって両手両足を縛られた後で怪しげな雰囲気にした措置室に連れて行かれ、そこから撮影が始まったのだ。

 

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