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夏バイトに行て機械娘にされてしまった  作者: ジャン・幸田
第一五章:薫の忘れえぬ夏の日
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15-09 薫のメンテナンス

 宿舎に帰った後、薫は自分のコメカミの生え際にあるポートに特殊な電極を挿していた。自分の機械脳のメンテナンスをするためだ。薫の機械脳は自分で設定を変更する事が出来ないようになっていたので、外部から操作してもらう必要があった。


 大規模な変更は出来ないようプロテクトがかかっていたが、多少のメンテナンスなら遠隔操作で可能だった。そこで通信端末を繋ぎサイバーテック・メディカルの担当者に指示をしていた。


 「達川さん、とりあえず私が自然に人らしい失敗をしないようにプログラムを改変してもらったけど異常はありませんか? 」


 「薫さん大丈夫ですよ。今のところ順調です。ただホルモンを分泌する器官が変調をきたしています。今度一度検査をしてください。まあ沖縄から戻られてきた時にでもお願いします」


 彼女の大脳皮質は後天的に製作された機械脳であるが、生体を司る小脳も”機械娘”と同じように電脳化されていた。ただ唯一体内にホルモンを供給する器官は培養されて作られた部分なので、薫の頭部で生身なのは頭蓋骨と筋肉組織しかなかった。


 薫は十三歳 ーそれは肉体の年齢であるがー の時に今の自我に目覚めたが、十六歳以降は自分の意思で機械脳の機能を調整するようになった。しかし、自分自身で基本的な自我の書き換えはできないので、こうやって専門エンジニアに指示をだして変更してもらっていた。


 調整している間、薫はベットで横になっていた。その間何が起きても意識が戻る事は無いので、最も無防備な姿だった。出来ればラボで行えばよかったが、明日からクランクインだからしかたなかった。


 しばらくすると、薫は目覚め外部出力した自分の脳のデーターを確認していた。


「達川さん、ありがとうございます。これで映画の撮影が出来ます。亜佐美の役にたちたかったので助かります」 その先のモニターには演技表現をスムーズにするためのソフトがダウンロードされた事を示していた。


 薫は本当に女優になる気は無かったが、もし機会があれば亜佐美と一緒に出演したいなと思うようになっていた。さきほど、祖父が亜佐美をものすごく気に入ったと話していたので、もしかすると出番が増える可能性があった。それなら彼女に協力するため自分にできることを増やそうとしていたのだ。


 モニターを確認していたところ薫の機械脳にトラブルがあることを確認した。それは普段は使う事がすくない領域だった。


 「GPS機能の一部に認証エラーがあるわけなの? これでは私がどこにいるのか掴めない訳ね。おじいさまったら変な機能を私につけていたわけなの? でも取り外したりするには頭蓋を開けないと無理だね。でも砂漠に行くわけじゃないから沖縄のロケに行って帰ってから達川さんに見てもらおうね」


 そういうと薫はすぐベットに横になった。いくら頭脳が機械脳であっても肉体は普通の女子校生なので、疲れたら眠るほかなかった。


 「おやすみ、私の身体。いや薫媛の身体。あしたからしばらく酷使するから休んでね」そう心で思った後、機械脳もスリープモードになった。

 

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