15-02 サイバーテック・ロイド関東第三工場
埼玉県北部にあるサイバーテック・ロイド関東第三工場は特注品のパワードスーツなどが製造されるところだった。その製造ラインで映画「ガーディアン・レディ」で使われるパワードスーツが製造されていた。既にガーディアン・レディのメンバー四人と敵役が使うスーツなどが用意されており、後は出演者の衣装あわせを待つばかりだった。
今回の映画では、アクションは格闘専門のスーツアクターが行い、ガーディアン・レディのメンバーを演じる女優が行うのは素顔をさらしてのドラマと着脱シーンが中心だった。そのためパワードスーツを装着する出演者全員が一度訪問する必要があった。
クランクイン直前、亜佐美たちは関東第三工場にやってきていた。メタリックブルーのボディを持つパワードスーツ、劇中ではガーディアンスーツと呼ばれている機ぐるみの最終調整と確認がおこなわれていた。
この工場のラインには自衛隊や国連機構軍に納入される軍事用製品もあったので、警備が厳重で、この建物に入るだけでも何度もボディチェックを受けなければならなかった。
この日、エリカ、ミドリ、ミナヨの三体同時の調整が行われようとしていた。サヤカは既に完成とされていたので、スタジオに搬入されていた。この日、ミドリ役の孫玲美とミナヨ役の会澤喜美恵も一緒だった。一岡彩夏の我侭と広岡の思惑が錯綜したので、急遽行われたオーディションで選ばれた新人だ。
孫玲美は映画会社ジャパン・エンターテイメント・ピクチャーのアクション養成所にいたところを、会澤喜美恵はマシンガールプロレスで付き人をしていたところをスカウトされ、半ば強引に行われた選考を経て抜擢された。
「あたし、ホントは時代劇に憧れて入所したのになんでパワードスーツを着なければいけないのよ」
「あたいだって、パワードスーツに憧れていたわよ。でもそれはプロレスよ! なんで芝居をするために着なければならないのよ! 」
二人とも相当不満のご様子であったが、最終的には応じたようだった。その時薫も亜佐美と一緒に来ていたが、なぜか本名ではなく周薫媛を名乗っていた。ミドルネームは薫の中国名といっしょだ。
それは薫が江藤英樹の孫娘だからといって特別扱いされないように要求したついでに芸名で通せることを要求したためであった。
「薫、いやこれから撮影期間中は薫媛だね。少しめんどくさいわね。でも、あたたが此処に何故来れるのよ? 」
「亜佐美、あたしは今日からあなたの付き人よ。だから荷物もちでも雑用はなんでもするから用事を言いつけてね。付き人だからあなたと一緒に行動するのは当たり前でしょ」
薫いや薫媛は新人の永川アサミの付き人として劇中で使用するガーディアンスーツの衣装合わせについてきたのだ。そうでもなければ厳重な監視下にある工場に用も無く入れなかったからだ。
「今日はご苦労様です。わたしはガーディアンスーツ製造責任者の太田垣学です。こちらはクランクアップまであなた方のスーツをサポートする石橋智香です。実際の着用方法などは彼女が指導します。このスーツですがピッタリあなたがたに合うように調整しておりますが、最終確認をこれから行います。それでは石橋さんおねがいします」
「石橋です。もうご存知だと思いますが、このスーツでもアクションシーンは別のスーツアクトレスが行います。しかし着脱シーンやドラマパートでは女優も実際に着ていただきます。とりあえずこれからこちらのスーツに着替えてください」
そういうと、石橋は三人にスーツケースを渡した。その中にはガーディアンスーツに入る前に着るインナースーツが入っていた。




